Doll of Deserting

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人殺し。(ギンイヅ小説版)

2005-06-29 20:21:55 | 過去作品(BLEACH)
人殺し。
 疾走する音が響く。水の羽音が長くする。竹がしゃんしゃん鳴いている。しかしこの牢獄のような場所にはそのどれも届かず、ただ宙に舞い落ちるだけだ。ギンは孤独というものを嫌というほどに知っていたので、外から流れる音というものはもう諦めかけていた。護廷に来てからというもの、季節ごとに風情ある音は絶えず聞こえてくるものの、その全てが偽りに聞こえるようになってしまった。
「イヅルー。おらんの?」
「はい、どうなさいました?」
 座敷の外にある部屋で控えていたイヅルが返事をした。今日は非番の日なのでギンの相手をしなくとも構わぬはずなのだが、いささかギンの調子がおかしい。暇さえあればぼうっとしている。いやそれはいつものことと言われればそれまでなのだが、今日はいつもと違い喪失したような表情をしているのだ。イヅルはそれが気になって仕方がない。
「見てみい、アレ。」
「アレ、ですか。」
 見ると、そこには一匹の鯉がびちびちと音を立てながら跳ねていた。そこに水はない。こんなところであるから不思議なことが起きてもおかしくはないが、その光景は流石に常軌を逸していた。
「ここ最近よう見るんよ。…あの鯉も魂なんやろうなあ。なしてあんなんなっとるんやろ。」
「鯉はもしかしたら、自殺しているのかもしれませんね。」
「…鯉にすら見限られとるんか、ここは。」
 うっすらと嘲笑し、ギンは身体を倒した。天井を見つめる。そして暫く呆然と考えていたかと思うと何を思ったのか再び身体を起こし、鯉の方を見た。
「イヅル…命の消える音やで。」
 鯉は、もう跳ねてはいなかった。ぴくぴくと全身を動かし、ともすれば果ててしまいそうだ。そう思っていると、やはりすぐに息を引き取った。
「儚い、ものですね。」
 イヅルが言う。ギンはうん、と短く返事をすると、イヅルの髪を梳いた。イヅルはそのまま暫くいいようにさせてから、静かにギンの肩にもたれかかった。
「今日はやけに積極的やな。」
 ギンが面白がったように言うと、イヅルはへたりと身体をしならせてギンの着物の裾を掴んだ。その姿が可愛らしく、ギンはイヅルの背を抱いてやる。
 イヅルが儚いと言ったのは、自分達の命を含めて、なのかもしれない。ギンは漠然と思った。自分達もあの鯉のように、足掻きながら死んでいくのだろうか。むしろ、とイヅルは思う。自分はいつか彼に殺されてしまうのかもしれない。刀などではなく、その心で。彼の一言一言にこんなにも一喜一憂してしまうのだから、あり得ないことではないと感じた。ギンはギンで、自分はそのうちイヅルを抱きながら死んでしまうのではないかと思う。互いを必要としながら、世界は二人を望まない。たった一言でお互いを殺すことが出来る僕達は、凡庸なただの人殺し。
 命の尽きる最期の瞬間、紡ぐ言葉は。
 ああ、ああ、いっそのこと、『愛していると、言えたなら』


 やっとこさ小説UP。詩と見比べてみると色々困るけどご愛嬌。(何)何ていうか、やたらとラブくなりました。共依存って理想だよー。本誌では色々やられたけどもういいよ。捏造してこそだよ。二次創作に入り込んで×年、はまったジャンルは計3つ。しかしここまで原作に苛められるCPにはまったのも初めてですよ。(笑)ギンイヅとか藍桃とか日乱とか。ギンイヅや藍桃はともかく日乱で同志の方を見つけるととても嬉しくなります。(笑)いやでもマイナーなんかじゃないもん!!(開き直り)
 ええととにかく突っ込むべきところは多々ありますがスルーしてやって下さい。お願い致します…!!(泣)

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