すべて安価なるものはそれだけ価値が少ないのである。
吾々の得る所の喜びは、その値打を払っただけのものであって、
それ以上のことはあり得ないのである。
奮闘の後に得られたる獲得こそ、
しみじみと自分の魂にその価値が感じられるのである。
たんにその獲得の価値が感じられるばかりではなく、
凡(およ)そ困難と戦ってそれを克服することによって
吾々は新たなる力を獲得することが出来るのである。
いつまでも浅瀬で足を砂の上につけて泳いでいたのでは、
本当の泳ぐ力は出て来ないのである。
さればこそ吾らは 「 困難にたわむれよ 」 と云うのである。
困難を困難とせず、困難をのりこえることに喜びを見出(みいだ)す者は、
困難きたるごとにその能力を増すのである。
小人(しょうじん)は困難に遭って屈服してしまうのであるが、
偉大なる人は困難あるごとに一そう自己が偉大となるのである。
『 生長の家 』 誌 昭和二十四年七月号
「 困難の受け方に就いて 」 一日の法語 谷口雅春先生