ユジャ・ワン/アバド/MCO「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番他」

             

 タワーレコード横浜でレコード芸術の読者チョイス1位のディスクとして推薦してありました。ユジャ・ワンを知らなかったのですが、中国出身のピアニストなんだそうです。

 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」と「ピアノ協奏曲第2番」が収録されています。狂詩曲がとても良かったです。有名な曲らしいのですが初めて聴きました。以前聴いたことがあるのかもしれませんが覚えていません。まるで映画音楽かと思わせる分かり易くロマンチックな音楽です。ユジャ・ワンの硬質て純度の高いタッチのピアノが鳴り響きます。普段はあまり技術的な上手さには関心がないのですが、この曲でのテクニックの冴えは心地いいです。キレがある。曲を気に入ったのか、演奏を気に入ったのか、両方ですね。

 ピアノ協奏曲第2番は名曲ですが、これまでこの演奏がベストと思える突出したディスクはない印象です。というより個性を出しにくい曲なのかもしれません。もともと濃厚な楽曲なのであまりやりすぎるとくどいし、著名なピアニストと録音するオケであれば概ね厚みのある弦で不満はありません。
 このディスクも初めは普通の演奏に聴こえたのですが、何度か聴くうちにこれで十分でこれ以上は不要なんだと思えました。ユジャ・ワンの情感溢れる打鍵、アバドとマーラー・チャンバー・オーケストラの新鮮かつ迫力ある生き生きとした伴奏。アシュケナージ盤、ツィマーマン盤などとの違いは素人の私には分かりませんが、十分に満足できる演奏です。


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