新宿散策(2011年3月)

 今回の地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一人でも多くの命が救われることと1日も早い復興を祈っております。人命救助が最優先ですが少し落ち着いたら早くお風呂に入ったり、音楽を聴いたりできればよいのですが・・・。私たちに今できるのは節電に協力することと義援金を贈ることでしょうか。

 会社の方も大きな被害が出て、情報収集、支援物資を送ったりとあっという間の1週間でした。広島で経験した呉の地震ほど激しくは揺れませんでしたがこんなに長い時間の大きな横揺れは初めてでした。それと3/11(金)、3/17(木)の停電です。信号、街灯が消えるとまるでゴーストタウンのようです。小さい頃、おそらく停電があったように記憶していますが、まさかこんな大規模の停電をまた経験することになるとは思ってもみなかったです。幸いにして自転車で通勤できることが分かったので電車による渋滞、徒歩での帰宅といったことは避けられました。

 ただ、経済が停滞すると復興が遅れるだけなので、前に進んでいくしかありません。この3連休は会社に出なくても済んだので、今日は久しぶりに新宿に出向きました。今、奥田英朗の「純平、考え直せ」という新作を読んでいるのですが舞台が新宿、歌舞伎町で懐かしくなったものです。
 考えてみると新宿に最後に行ったのはいつだろう。おそらく、12~13年前に職場の先輩と2次会で歌舞伎町のランジェリーパブに繰り出して以来かもしれません。私は家族と上京した後、京王線、西武新宿線沿いに住んだので都会、街といえば新宿でした。中学生、高校生には映画を観るか、紀伊国屋で本を買うか、タカキューで安い服を買うかくらいしか用事はありませんでしたが、よくブラブラとしていたように思い出します。燦然と輝く新宿伊勢丹の高級感を頂点として晴れの舞台でした。
 その後、首都圏での住まいは東横線沿線になったので出掛ける街は渋谷か横浜になりました。新宿にあって渋谷にないもの、いろいろあるんだと思いますが、当時はあまり思い付かずに足が遠のいていました。

 事前に調べて行ってみたいとリストアップしたのは、食事は「王ろじ」か「新宿つな八」、音楽ショップはディスクユニオン、ピンボールの「ガンズ」を置いているミカドというゲームセンター、伊勢丹、紀伊国屋、それに新宿武蔵野館で映画を観ようとイメージしました。

 本当に久しぶりの新宿。ざっと歩いた印象では予想以上に変わっていません。安い単価の立ち飲み屋のような形態が増えているようですが、大きなところは変わっていないかなあ。それでも歌舞伎町の中心の広場に進むと右側のプラザ、コマ劇場が閉鎖、前の映画館ビルも閉鎖、左奥のミラノ座だけ営業していました。ここは変わったというか寂れたというか、少し驚きです。中学生で上京して初めて行った映画館が新宿プラザで「未知との遭遇 特別編」でした。映画館が満席という事実にショック。熊本の映画館は3本立てでガラガラでした。1本での上映で満席になるとは東京は凄いところだなと思ったのを覚えています。再開発のためなのか、もう映画館では採算が取れないのか。


          

 食事は「王ろじ」でとん丼にしました。店内はリフォームされて、カウンターも出来ていました。懐かしいカツカレーです。他の店にはない面白いカツです。ぺろりといただけましたが肉が形成肉でしょうか、からっと揚がってはいましたが、記憶のイメージほど絶品とは感じませんでした。


          

 ディスクユニオンが新宿にあるのは今回初めて知りました。御茶ノ水の方にある印象でしたが、新宿にもかなりの店舗、スペースがあるようです。紀伊国屋の隣りのビルの8階にあるクラシック館に行きました。いやぁここは凄いです。オーディオとCD、それにレコードです。中古と新品と両方、大量に扱っています。それにマニアそうなお客さんが沢山います。タワーレコードやHMVのクラシックコーナーは最近、お客さんが少なくて寂しい感じですが、ここには沢山、久しぶりに見ました。なんかうれしくなります。凄いですね・・・やっぱりレコードの音がいいんでしょうね。
 買わないつもりだったのですが、店頭にSACDのカゴがあり、そこに手書きで「普段はレコードを聴いているスタッフですが、この幻想には驚きました・・・」とあります。ミュンシュ、パリ管のベルリオーズの幻想交響曲、名盤です。3300円ですが、記念に一枚です。

 さっそく聴いてみましたが前回のエイジアでの印象に近いです。バスクラリネット(?)など木管、金管でぞくっとするような音が聴こえる箇所もありますし、全般的に音がクリアで各パーツがよく整理されています。いいサウンドなのは分かるのですが・・・決定的に違うかと訊かれるとそうだとは肯けない微妙な印象です。最もよくてこの程度なら、他のディスクまで買い直したいとは思わないかなあ・・・という感想です。


 新宿伊勢丹はやっぱりいいですね。高級感、幸福感があります。「純平、考え直せ」に登場したメンズ館8階の高級喫茶を見学にいったのですが、8階全体が富裕層向けの高級品を取り揃えたフロアになっていてこういう秘密風の場所があるんだと勉強になりました。どのフロアもスタッフは男性も女性も上品で美しく性格が穏やかそうでさすがです。こういう人になりたい。
 「バビントン・ティー・ルーム」や「イルサルマイヨ」が今でもあれば。あのレモンパイ、ミラノ風カツレツ、オリーブ、生ハム・・・。
 貧乏だった学生から少しは購買力も増していると思うのですが、如何せん、今は買いたいものが何もありません。すいません。

 ピンボールのガンズはゲームなどはほとんどしない私が唯一結構プレイした台で一部でまだ稼働している情報を得ました。ただ、残念ながらミラノボウルすぐそばのミカドビルが見つかりませんでした。探し方が悪かったのか、もうなくなったのか分かりません。

 映画もパスして一体を散策しました。新宿三丁目では末広亭の近くに「海老忠」という焼き鳥屋がまだありました。以前、カウンターで食べていた時、ねずみ男のような店員に隣のお客さんが「社長」と呼ばれていて、へぇー社長さんも来るような店なんだと考えていたら、私も「社長」と呼ばれました。味もいいし、なんかいい雰囲気の店です。また寄ってみようと思います。

 久しぶりの新宿、無機質なビルの並ぶ新しい街と比較すると変わらない文化、歴史を感じました。次回は夜ですね。





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