プリテンダーズ「ラーニング・トゥ・クロール」


 8月26日に女の子の赤ん坊が生まれました。初めて見た時は我が子とピンときませんでしたが暫くするともう可愛くて仕方のない存在です。3250gと標準サイズですが、なんて小さくて軽くて周りの加護を必要とするか弱い生き物なんだろうというのが実感です。
 独身時代が長いと一人で生活することに慣れてしまい、3人で生活するなんてとても不思議な感じがします。3人での生活の始まりはまだ1~2ヵ月先のことでまだ実感はありませんが今から楽しみです。

 大好きなプリテンダーズの第3作「ラーニング・トゥ・クロール」です。1979年に数々のヒットを飛ばし華麗にデビューを飾ったプリテンダーズですが、その後、ベーシストをドラッグ中毒で解雇、ギタリストがヘロインの大量使用で死亡するという崩壊状態になりました。当時盛んだったチャリティライブの演奏でもとても聞けるような水準でなかったことを覚えています。
 もうダメになったんだなと思っていた1984年に登場したのが、復帰作であり最高傑作でもある「ラーニング・トゥ・クロール」です。リーダーのクリッシー・ハインドが子供を生んだ後、新メンバー2人を迎えた作品で、赤ん坊と再起を期すバンドとが這い這いを覚えるという意味なんでしょうか。
 収録されている「バック・オン・ザ・チェイン・ギャング」、「ミドル・オブ・ザ・ロード」、「ショウ・ミー」などのヒット曲のかっこよさには夢中になりました。叙情的な要素も含まれたミディアム・ロックとでも言えばよいのでしょうか。ロックファンから熱狂的に支持されて、著名ミュージシャンからも尊敬されるクリッシー・ハインドの音楽が確立された作品だと思います。

 「ショウ・ミー」の中の次の一節が好きです。


 Welcome to the human race
 With its wars, disease and brutality
 You with your innocence and grace

 ようこそ人間界へ
 この世界には戦争も病気も残虐行為もある
 でも無邪気で気品のあるあなた

 Welcome to a special place
 and a heart of stone thats cold and gray
 You with your angel face

 ようこそ特別な場所へ
 人の心は石のように冷たくて灰色
 でも天使のような顔をしたあなた

 Welcome here from outer space
 The Milky Way Still in your eyes

 ようこそ 宇宙からこの地へ
 瞳にはまだ銀河がきらめいている


 2004年2月の17年ぶりの来日公演を幸運にも観ることができました。渋谷公会堂に集った中年ロックオヤジの前でクリッシー・ハインド姐御は、相変わらずの粋なロックを聞かせてくれました。かっこよかったです。痺れました。オリジナルメンバーであるドラムのマーティン・チェンバースが復帰して姿を見せてくれたのもうれしかったです。
 赤ん坊にはクリッシー・ハインドほどの激動の人生は希望しませんが力強く生きて欲しいものです。




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