平成→令和の改元さわぎがあったのでずいぶん前の話に感じられるが、4年に一度の統一地方選挙が終わった。
東京では前半戦はなかったので、4月21日投票の後半戦のみ。わたくしは地元以外では、世田谷区長選に告示前に2回ポスティング、三鷹市議選に2回ポスティング、1回電話入れにいった。
地元は告示前に1200枚ポスティング、告示日のポスター貼りを3投票区21枚、それ以降も5回通い、主として公選ハガキの宛名書き、街宣カーに乗車して証紙ずみチラシの配布を2回手伝った。
結果は3人とも当選、こんなことはめったにないことでめでたい。それほど深くかかわったわけではないので、勝因は分からないが、現職の強みはやはりあると思う。
とくに世田谷は3期目だったが、自民推薦女性候補との一騎打ちで危ないかと思った。しかし18万9000票対12万票なので圧勝だった。選挙スタッフは古い人もいたが、常駐スタッフは知らない人ばかりだった。三鷹もじつは新庁舎建設をめぐる市長選がメインで、新人が4期務めた現職に勝利したのだがその新市長は元の副市長なので、大して変わり映えがしない。
ここも市民選挙なので、地元のボランティアは少数。事務局長は千葉の人、その他、街頭のアシストは末武あすなろさんがやっていたようだ。末武さんは元わらび座のミュージカル女優、だからよく声が通る。どこかでお聞きした名前だと思ったら、昨年3月の財務省前「納税者一揆」でコールをしていた方だった。
自分が住んでいる区内は、いろんな会派の区議と接触があることもあり、いままで区議選の運動に加わることがなかなか難しかった。それで近隣の板橋、杉並、豊島などの候補の応援をしていた。転居した先は、ある意味でオール与党体制、野党は共産党のみという区なので、これならまあよいかと無所属候補の応援をした。ただやはりいろいろ差し障りが生じるのでここでは候補者名を伏せる。
注目は、中央区の区長選だった。
8期32年勤めた矢田美英区長が引退し、新人5人の争いとなった。
自公推薦で矢田区長の後継指名を受けた本命・山本たいと氏(区体協会長、山本海苔の社長の弟 70歳)、立憲民主・共産・自由・社民・新社会推薦の対抗候補・西田ちから氏(元環境省官僚、NPO法人理事 56歳)、それに加え、ジャーナリスト・上杉隆氏(50歳)が出馬し、結果は山本氏が当選、上杉氏が次点だった。上杉氏が立候補を決意したのは、告示の5日前、元は故・鳩山邦夫衆議院議員の秘書の一人だった。その他、ゴルフメーカー勤務のあとゴルフスクールを経営した方と、御木本で経営企画・財務の仕事をしていた方の5人が立候補した。
中央区の問題は、人口急回復(20年で2倍)とそれにともない個人医院や保育園が少ないこと、昼間人口が夜間人口の4.3倍と多いこと(在勤者、通学者含む 2015年国勢調査)、それに伴い東日本大地震や阪神大震災クラスの大地震など災害に弱いこと、土地価格が高すぎるので、固定資産税などにも大きく影響し、たとえばクリーニング料金、散髪代なども含め小売店の物価が高く、かつ商店が減り買い物難民が増えていることなど。もちろん区長や区議が変わったからといって地価について何ができるというものではない。しかし歪みを意識し、緩和するような政策は打ち出せるだろう。
告示前日の4月13日(土)午後、JC主催の区長選公開討論会が開催された。
自己紹介、共通質問(子育て世代が住みやすいまちづくり、2020東京オリ・パラのレガシーの活用法)、最優先で改善すべき問題、候補者から他の候補者に「子育て、防災、福祉、まちづくり」からひとつ選んで質問するクロストーク、最後に候補者から来場者への一言コメントという流れだった。資料として、基本的考え、子育て支援・高齢者福祉・防災など・コミュニティなど9分野の政策比較の候補者別アンケートが配布された。しかし上杉氏ともう一人の候補は立候補の決断が急だったせいなのか、空欄だった。
候補者たちの発言を直接聴くと、上杉氏は「みんなでつくる、中央区長」をテーマに「出産一時金100万円」「待機児童辞退家庭へ10万円優先支給」「湾岸地区のビル風対策として地下歩道を早急に設置」など政策面のアピールはピカ一だった。また区内に20年在住しているそうで、山本候補を別にすれば、区内の課題に詳しそうだった。
告示日以降、上杉氏の街宣は見たことがないので、ツイッターなどネットのみの運動だったと思われる。2017年の森山都議選のときは応援演説をしていたので、街宣が苦手というわけではないはずだ。
サイトに出ている「88の政策」でも、上記に加え「2. 「中央こども手当」制度を創設」「16. 「e-デモクラシー」構想。区政の徹底した情報公開」「21. 80歳以上給付金(区内居住年数による)」「28. ひとり月額5万円の起業ベーシックインカム(居住年数、収入制限などの条件あり)」「79. 「築地ルネッサンス100年計画委員会」~築地場外市場の再興」、最後のしめくくりは「88. 「◯◯◯◯◯」?あなたの作る政策です」などユニークなものが多い。「法的な実現性、行政権限の検証、および予算配分においては未実証の部分があります。(略)今後も、引き続き「中央ポリシー」を成長させていきます」と注が付いているところが、おかしいというか、周到だ。
とはいっても、4月21日の即日開票で、次点の上杉氏の得票は自公候補の1/2以下のダブルの票差だった。
なお、公開討論会に参加し、翌朝立候補して初日夕方まで街宣活動をしていたのに、夕方立候補を取り下げた候補が一人いた。公開討論会では、「社立子ども園の設立」「グーグルキャンパスを築地跡地に誘致し新しい産業づくり」など上杉氏の次に、興味深い政策を訴えた人物だった。ネットニュースでは、事前に他候補と政策協定を結んでいたので立候補取りやめもできたが、「出馬すると言った以上、有権者に自分の政策を説明する必要があった」という「むずかしい」弁解だった。考えようによっては選挙妨害にほかならない行動だ。
自公の当選者数は、2015年と比較して23区で53.0%から50.3%(3月投票の台東は含むが、葛飾、足立は含まず)、市部も含めた都全体(選挙時期が異なるあきる野、小金井、立川、西東京は含まず)で46.3%から44.8%とほんのわずかにすぎないが下がってよかった。12年に一度の亥年の選挙は荒れるという話があるが、東京の統一地方選ではそういうことは起こらなかった。参考に立憲+国民民主+共産+社民を4年前と比較すると2015年25.4%に対し2019年24.9%と微減である(旧民主と立憲+国民民主とは異なることはもちろんなのだが)。
中央区の期日前投票は有権者全体の9.3%、総投票者の21.2%に及ぶ。つまり選挙最終日に、「最後のお願い」の電話や街宣をすることが多いが、そもそも電話に出る人、あるいは街頭の歩行者のうち、半数はそもそも投票に行かないし、行く人だけ考えても、うち2割はすでに投票ずみ、わかりやすくいえば目の前の人が10人いたとすると投票する人は5人だけ、しかし5人のうち1人はすでに投票ずみというのが今回の選挙だった。 国会議員選挙では、投票率はもう少し上がるだろうが、選挙期間が少し長い(参議院議員は17日、衆議院議員は14日)ので期日前投票に行く人はもっと多くなるはずだ。
全国的に投票率がさらに低下したことが報じられた。中央区もたしかに45.64%から44.05%と1.6ポイント低下している。全国で開票が終了した4月23日夕方NHKラジオのNラジで「統一地方選挙 深刻な課題と新しい動き」という番組を放送していた。地方自治ジャーナリスト・相川俊英さんの解説で、新しい取組みとして小平や長野県木島平村の合同演説会、候補者インタビューをウェブマガジンに投票日前日にアップする犬山の試み、議員も巻き込み模擬投票をする取手の主権者教育が紹介された。公選法に対する配慮が必要だが、わたくしは、木島平の昼はうるさいので選挙カー運行はやめ、代わりに候補者全員の合同立会演説会を行い、夜ケーブルテレビで放映する方法に、とくに関心を抱いた。過去、国政選挙では複数回公営の立会演説会を行っていた。まだ供託金が低額だった時代で、いわゆる「泡沫」候補がたくさん立候補していたが、まるで芝居を目の当たりにするようで、楽しいアトラクションだった記憶がある。
☆冒頭、引き合いに出した改元さわぎの天皇退位、新天皇即位の件である。平成になったときは昭和天皇死去と同時だったので、テレビは歌舞音曲、さらにCMまで自粛と戒厳令の下のようでひどかった。今回はたんに長めの祝祭日に過ぎないのだから、考えようによってはマスコミによるさらに悪質な天皇奉賛イベント週間だった。連続10日休暇についても、日給の人は10日収入がゼロになるとか、「公務員を含めたサラリーマンはよいだろうが、わたしたちにとっては銀行の引き出しはATMでできても振込などがうまくできないし、郵便も投函はできても配達がないので、不便なことばかりだ」という声を聞いた。
5月1日即位の日におわてんねっとの「新天皇いらない銀座デモ」が開催された。「新天皇の即位を祝わない」「いますぐやめろ」「終わりにしよう、天皇制」と雨にもかかわらず500人が声を上げたことは意義がある。「天皇制はいらないよ」というテーマソングも流れたデモだった。
●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。
東京では前半戦はなかったので、4月21日投票の後半戦のみ。わたくしは地元以外では、世田谷区長選に告示前に2回ポスティング、三鷹市議選に2回ポスティング、1回電話入れにいった。
地元は告示前に1200枚ポスティング、告示日のポスター貼りを3投票区21枚、それ以降も5回通い、主として公選ハガキの宛名書き、街宣カーに乗車して証紙ずみチラシの配布を2回手伝った。
結果は3人とも当選、こんなことはめったにないことでめでたい。それほど深くかかわったわけではないので、勝因は分からないが、現職の強みはやはりあると思う。
とくに世田谷は3期目だったが、自民推薦女性候補との一騎打ちで危ないかと思った。しかし18万9000票対12万票なので圧勝だった。選挙スタッフは古い人もいたが、常駐スタッフは知らない人ばかりだった。三鷹もじつは新庁舎建設をめぐる市長選がメインで、新人が4期務めた現職に勝利したのだがその新市長は元の副市長なので、大して変わり映えがしない。
ここも市民選挙なので、地元のボランティアは少数。事務局長は千葉の人、その他、街頭のアシストは末武あすなろさんがやっていたようだ。末武さんは元わらび座のミュージカル女優、だからよく声が通る。どこかでお聞きした名前だと思ったら、昨年3月の財務省前「納税者一揆」でコールをしていた方だった。
自分が住んでいる区内は、いろんな会派の区議と接触があることもあり、いままで区議選の運動に加わることがなかなか難しかった。それで近隣の板橋、杉並、豊島などの候補の応援をしていた。転居した先は、ある意味でオール与党体制、野党は共産党のみという区なので、これならまあよいかと無所属候補の応援をした。ただやはりいろいろ差し障りが生じるのでここでは候補者名を伏せる。
注目は、中央区の区長選だった。
8期32年勤めた矢田美英区長が引退し、新人5人の争いとなった。
自公推薦で矢田区長の後継指名を受けた本命・山本たいと氏(区体協会長、山本海苔の社長の弟 70歳)、立憲民主・共産・自由・社民・新社会推薦の対抗候補・西田ちから氏(元環境省官僚、NPO法人理事 56歳)、それに加え、ジャーナリスト・上杉隆氏(50歳)が出馬し、結果は山本氏が当選、上杉氏が次点だった。上杉氏が立候補を決意したのは、告示の5日前、元は故・鳩山邦夫衆議院議員の秘書の一人だった。その他、ゴルフメーカー勤務のあとゴルフスクールを経営した方と、御木本で経営企画・財務の仕事をしていた方の5人が立候補した。
中央区の問題は、人口急回復(20年で2倍)とそれにともない個人医院や保育園が少ないこと、昼間人口が夜間人口の4.3倍と多いこと(在勤者、通学者含む 2015年国勢調査)、それに伴い東日本大地震や阪神大震災クラスの大地震など災害に弱いこと、土地価格が高すぎるので、固定資産税などにも大きく影響し、たとえばクリーニング料金、散髪代なども含め小売店の物価が高く、かつ商店が減り買い物難民が増えていることなど。もちろん区長や区議が変わったからといって地価について何ができるというものではない。しかし歪みを意識し、緩和するような政策は打ち出せるだろう。
告示前日の4月13日(土)午後、JC主催の区長選公開討論会が開催された。
自己紹介、共通質問(子育て世代が住みやすいまちづくり、2020東京オリ・パラのレガシーの活用法)、最優先で改善すべき問題、候補者から他の候補者に「子育て、防災、福祉、まちづくり」からひとつ選んで質問するクロストーク、最後に候補者から来場者への一言コメントという流れだった。資料として、基本的考え、子育て支援・高齢者福祉・防災など・コミュニティなど9分野の政策比較の候補者別アンケートが配布された。しかし上杉氏ともう一人の候補は立候補の決断が急だったせいなのか、空欄だった。
候補者たちの発言を直接聴くと、上杉氏は「みんなでつくる、中央区長」をテーマに「出産一時金100万円」「待機児童辞退家庭へ10万円優先支給」「湾岸地区のビル風対策として地下歩道を早急に設置」など政策面のアピールはピカ一だった。また区内に20年在住しているそうで、山本候補を別にすれば、区内の課題に詳しそうだった。
告示日以降、上杉氏の街宣は見たことがないので、ツイッターなどネットのみの運動だったと思われる。2017年の森山都議選のときは応援演説をしていたので、街宣が苦手というわけではないはずだ。
サイトに出ている「88の政策」でも、上記に加え「2. 「中央こども手当」制度を創設」「16. 「e-デモクラシー」構想。区政の徹底した情報公開」「21. 80歳以上給付金(区内居住年数による)」「28. ひとり月額5万円の起業ベーシックインカム(居住年数、収入制限などの条件あり)」「79. 「築地ルネッサンス100年計画委員会」~築地場外市場の再興」、最後のしめくくりは「88. 「◯◯◯◯◯」?あなたの作る政策です」などユニークなものが多い。「法的な実現性、行政権限の検証、および予算配分においては未実証の部分があります。(略)今後も、引き続き「中央ポリシー」を成長させていきます」と注が付いているところが、おかしいというか、周到だ。
とはいっても、4月21日の即日開票で、次点の上杉氏の得票は自公候補の1/2以下のダブルの票差だった。
なお、公開討論会に参加し、翌朝立候補して初日夕方まで街宣活動をしていたのに、夕方立候補を取り下げた候補が一人いた。公開討論会では、「社立子ども園の設立」「グーグルキャンパスを築地跡地に誘致し新しい産業づくり」など上杉氏の次に、興味深い政策を訴えた人物だった。ネットニュースでは、事前に他候補と政策協定を結んでいたので立候補取りやめもできたが、「出馬すると言った以上、有権者に自分の政策を説明する必要があった」という「むずかしい」弁解だった。考えようによっては選挙妨害にほかならない行動だ。
自公の当選者数は、2015年と比較して23区で53.0%から50.3%(3月投票の台東は含むが、葛飾、足立は含まず)、市部も含めた都全体(選挙時期が異なるあきる野、小金井、立川、西東京は含まず)で46.3%から44.8%とほんのわずかにすぎないが下がってよかった。12年に一度の亥年の選挙は荒れるという話があるが、東京の統一地方選ではそういうことは起こらなかった。参考に立憲+国民民主+共産+社民を4年前と比較すると2015年25.4%に対し2019年24.9%と微減である(旧民主と立憲+国民民主とは異なることはもちろんなのだが)。
中央区の期日前投票は有権者全体の9.3%、総投票者の21.2%に及ぶ。つまり選挙最終日に、「最後のお願い」の電話や街宣をすることが多いが、そもそも電話に出る人、あるいは街頭の歩行者のうち、半数はそもそも投票に行かないし、行く人だけ考えても、うち2割はすでに投票ずみ、わかりやすくいえば目の前の人が10人いたとすると投票する人は5人だけ、しかし5人のうち1人はすでに投票ずみというのが今回の選挙だった。 国会議員選挙では、投票率はもう少し上がるだろうが、選挙期間が少し長い(参議院議員は17日、衆議院議員は14日)ので期日前投票に行く人はもっと多くなるはずだ。
全国的に投票率がさらに低下したことが報じられた。中央区もたしかに45.64%から44.05%と1.6ポイント低下している。全国で開票が終了した4月23日夕方NHKラジオのNラジで「統一地方選挙 深刻な課題と新しい動き」という番組を放送していた。地方自治ジャーナリスト・相川俊英さんの解説で、新しい取組みとして小平や長野県木島平村の合同演説会、候補者インタビューをウェブマガジンに投票日前日にアップする犬山の試み、議員も巻き込み模擬投票をする取手の主権者教育が紹介された。公選法に対する配慮が必要だが、わたくしは、木島平の昼はうるさいので選挙カー運行はやめ、代わりに候補者全員の合同立会演説会を行い、夜ケーブルテレビで放映する方法に、とくに関心を抱いた。過去、国政選挙では複数回公営の立会演説会を行っていた。まだ供託金が低額だった時代で、いわゆる「泡沫」候補がたくさん立候補していたが、まるで芝居を目の当たりにするようで、楽しいアトラクションだった記憶がある。
☆冒頭、引き合いに出した改元さわぎの天皇退位、新天皇即位の件である。平成になったときは昭和天皇死去と同時だったので、テレビは歌舞音曲、さらにCMまで自粛と戒厳令の下のようでひどかった。今回はたんに長めの祝祭日に過ぎないのだから、考えようによってはマスコミによるさらに悪質な天皇奉賛イベント週間だった。連続10日休暇についても、日給の人は10日収入がゼロになるとか、「公務員を含めたサラリーマンはよいだろうが、わたしたちにとっては銀行の引き出しはATMでできても振込などがうまくできないし、郵便も投函はできても配達がないので、不便なことばかりだ」という声を聞いた。
5月1日即位の日におわてんねっとの「新天皇いらない銀座デモ」が開催された。「新天皇の即位を祝わない」「いますぐやめろ」「終わりにしよう、天皇制」と雨にもかかわらず500人が声を上げたことは意義がある。「天皇制はいらないよ」というテーマソングも流れたデモだった。
●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。