心の中は深い井戸：アイデンティティー（2003）

Identity (2003)

面白いサスペンス・スリラーを見たいって言う人に一番でお勧めするのがこのアイデンティティー。ジェームズ・マンゴールド監督、その展開に腰抜かしつつ、予想を覆すラストでまたまたびっくりしちゃう、ネタバレ厳禁スリラーの鏡。

舞台は嵐の日、孤立したモーテルに偶然足止めされた１０人の男女。女性をはねてしまった元刑事で雇われ運転手のエド（ジョン・キューザック）、はねられた女性の家族の少年と父親、凶悪犯（ジェイク・ビジイ）を護送中の刑事ローデス（レイ・リオッタ）、女優、売春婦、若いカップル、モーテルの管理人。そして一人づつ殺されていく・・・犯人は誰だ！


↑運転手のエド（ジョン・キューザック）と刑事ローデス（レイ・リオッタ）。

真っ当な正攻法で始まったサスペンス。いきなり第一被害者の生首出てきます。気の弱い方はこりゃスプラッターかいっ！と思って海老のように引いてしまいそうですが、我慢しましょう。我慢した甲斐ありますから。犯人が誰かわからないまま、一人、一人と殺されていき、残った人々はお互い疑心暗鬼になってきます。被害者の現場に残された部屋の鍵の謎、そしてだんだん明らかになってくる、モーテルに集まった人々の奇妙な共通点・・・その合間に同時進行で、殺人を犯し死刑判決を受けた囚人リバース（プルーイット・テイラー・ヴィンス、コンスタンティンで牧師役で出てた人ですね）の再審議の様子が挟み込まれます。囚人リバースがモーテルの事件の犯人なのか？しかし、弁護士はリバースは無実である、と証明できると主張します。では犯人は誰・・・


↑部屋の鍵の秘密とは？ジョンが手にしているのは焼き芋ではない。

ジョン・キューザックが元刑事で陰のある運転手エドを演じています。またこのエドがかっこいい！彼がこのストーリーの主役で、中心になって謎を解いていくのです。正義感が強く、頭脳明晰だけど警官時代に人を助けられなかったことを気に病んでいる男。珍しく真っ当な役ですねぇ！まあちょっと妙な人役のほうがジョン・キューザックらしいと思いますが・・・そして対する刑事レイ・リオッタがいかにも怪しい。最初のレイ登場シーンで気が付く人は気が付く、ある「証拠」があって、それで最初から完全に怪しい！って思ってましたが・・・もちろんストーリーはそんなに簡単じゃありません。

とにかくアイデアが面白い！そしてサスペンスの盛り上げ方も、緊張感満点。どうなるんだ？犯人は誰？と引っ張っておいてどっしんがらがらと常識を覆される気持ちよさ。一番犯人らしくないヤツを疑えってのが鉄則ですが、その鉄則さえ通用しない。結末は絶対明かさないで下さい、ってよくありますが、この映画は結末だけじゃなく、コンセプトそのものがネタバレ厳禁。なので見ていない人は見てください（笑）。星5つですよーーーー！