シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その23・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-01-17 12:03:51 | 日記
このページでは「表面雨量指数」について書いていく。
本来は飯山に関連が深いのは土石流災害と関連する「⼟壌⾬量指数」の方なのだが、これはまた別の機会に譲る。

第一章
「表面雨量指数」
さて、降った雨が最終的に川に流れ込み川の水を増加させそれで洪水にいたる、と言う状況を計算するのが流域⾬量指数だった。
その計算の途中では降った雨は地表表面を流れるか、地面にいったんは吸収され伏流水として下流で表面に現れるか、そのどちらかである。
そうしてこの時、表面を流れる水に注目して計算したものが「表面雨量指数」となる。

水が流れる時の表面状態は流域雨量指数で使っている定義と同じで、地図データを使う。
水が流れる方向も地図データから標高差をだして使う。

その時、山間地では川にたどり着いた水はもう一度もとに戻る事はなく、その水は「流域雨量指数の対象」となる。
それ以外の表面を流れる水を扱うのが「表面雨量指数」となる。

市街地では川が流れていれば、その川の堤防までたどり着いた表面水はそのまま堤防をこえて川に入りこむ、として計算される。(注1)
市街地に張り巡らされた排水路などは一切考量されていない。
ただそこの表面状態、コンクリートかアスファルトか土か畑か、あるいはトタン屋根か、そういった状況は考慮される。

つまり「水はそこでは吸収され地下に入る」のか「表面を流れる」のかという事だけに注目している。
そうして、そうやってその場所に降った雨、それから山から流れてきた雨水を扱う。
計算する量は「面積当たりのその場所での雨量」となる。
そうして「表面雨量指数」は「計算された雨量をその場所の面積で割った値」つまり「その場所での雨水の水深」となる。

但しこの場所での水深はそのようにして計算されるが、この値もまた「流域雨量指数」がそうであったように「実際の水深を表す」という事にはなっていない。
そうではなく「実際の水深と比例関係にある数値が計算される」という事である。
またその数値の上昇やピーク到達時間や降下状況などは水深の時間変化と1対1に対応する様になっている。

その様な状況もまた「流域雨量指数」と同じである。
そうであれば「警報基準の作り方」もまた同じであり、過去の災害の歴史を反映させた基準が用いられる。

ざっとした説明は以上となる。
もう少し詳しい説明は
表面雨量指数
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/hyomenshisu.html

【平成30年2月28日気象等の情報に関する講習会資料】
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/koushu180228/shiryou1.pdf
にあたってくれ。

大事な事を書き忘れた。
「流域雨量指数」が3時間後の川の状況を計算し公表している様に
「表面雨量指数」は1時間後のその場所での表面水の状況を計算し公表している。
いずれの指数も『予測値」となっているが、当然これは「人が避難行動をとるのに必要な時間を考慮している」という事である。

第二章
台風19号での飯山の状況確認。
https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/meshjirei/jirei03/suigaimesh/inund.html

例によって地図を拡大し飯山まで移動してくれ。
飯山、木島、野沢ぐらいが見れる拡大率でOKだ。
飯山市街地の位置がよく分からんので
飯山地図
https://www.google.com/maps/place/%E9%95%B7%E9%87%8E%E7%9C%8C%E9%A3%AF%E5%B1%B1%E5%B8%82/@36.9168818,138.2593844,11z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x5ff61a9363101c59:0x6683365a43b813e0!8m2!3d36.8517344!4d138.3654889
をつけておく。

後は時間を追って見ていくだけだ。
ちなみに表示される最少正方形は1km四方である。
まずは12日13時に黄色が見える。
これは14時にこの場所が「注意報級」に達した事をしめす。

12日
13時    黄色出現
13時40分 黄色が消えた
14時40分 黄色再び出現
15時    黄色エリア拡大
16時50分 赤色エリア出現、黄色エリア急拡大
17時    なお、各エリア拡大中
18時~18時20 この辺りがピークか
18時40分 赤色エリア消滅
19時    黄色エリアふたたび拡大
20時    赤色エリア再出現
21時50分 このころからようやく減少に転じる
22時30分 赤色エリア消滅
13日
4時10分  黄色エリア消滅
以上終了

以上の経過は1時間後の予測状況でありますから実際は
12日14時 がスタートで
13日5時10分 に終了
という事になります。

さて飯山市公表の第二報によれば
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1028iiyama.pdf
『12日
20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始
21:00 城山雨水排水ポンプ場 2 号機運転開始
13日
1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。
・・・
5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。
  城山雨水排水ポンプ場3台フル稼働等しており、市街地の内水対策は、機能していた。
とされ、これが市長の主張でもあります。

そうして雨水排水にとって重要な意味をもつ
飯山樋管
栄川樋管
がその操作担当者によって適切に操作されていたならば、山間地および市街地に降った雨は5時40分の時点では完全に城山雨水排水ポンプ場によって処理され、つまり「何の問題もなく千曲川に排出され終わっていた」という事が「表面雨量指数の状況確認」によっても裏付けされた事
になります。

つまりは「5時40分時点で市街地に水があふれていた」とするならば、「その水は山間地および市街地に降った雨水ではない」という事になります。

注1
実際の市街地の構成としては、表面を流れる水は側溝に流れ込みそうして最終的には樋門、樋管のある所まで流れていく事になる。
そこで千曲川の水位が低ければ排出口から自然流下することになる。
しかし、千曲川の水位が高い場合はそこの場所の樋門、樋管を閉じて排水ポンプにて千曲川に強制排出することになる。

ただし、計算上はそんな細かい処理はできないので「堤防に流れ着いたら堤防を越えて川に合流する」としている。
そうしてそうやっても実用上はそれほど大きな問題とはならないとしている。
そうしてまた当方の印象としても「そのように計算処理するのが妥当であろう」ということになる。

追伸
12日20時から20時30分まで今まで赤色が現れていなかった飛び地(常盤周辺:長峰の東側)に赤色が出現しています。
そうしてこの場所に近い所で「内水の氾濫による浸水:大塚区」が報告されています。
pdf2ページ下段参照願います。
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kikakuzaisei/koho/r01.11/2-11.pdf

追伸2
この話の続きは「その26」になります。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧