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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 天国の宴会
私たちが出発点に戻ってみると、
神社のような建物の中から、ドン・ガラッキーの歌う
演歌が聞こえてきたので、入っていった。
テーブルの上には海の幸、山の幸があふれていて、
皆は宴会の最中だった。
天国の美男・美女も加わって、
飲めや歌えの大騒ぎをしていた。
地獄の刑罰とは、大違いのようだった。
「おーい、オッさん、無事帰ったかい?」
天トレが声をかけてきた。
「チーコちゃん、うまくいったのね」
「うん、OK」
私は、Vサインを送りながら、
誇らしげに答えた。
みんなの歓声があがった。
みんなと乾杯をして、喜びを分かちあった。
しかし、もともと馬鹿騒ぎはあまり好きではないので、
宴会には、加わりたくはなかった。
やっぱり、もう少しツーリングしていた方が良かった。
私と良ヒネといーヤンは、あまり酒を飲まないが、
他の連中は強いの何の、もう底無しだった。
料理を少し食った。
味は悪くないのだが、Oさんの手料理の足許にも及ばない。
天国の料理も口あたりの良さばかり狙って、
心がこもっていないように思えた。
もっともこれは私の超主観的な感覚であるから、
Oさん以外の者が作ると、
誰が作っても、同じ事ではあるのだが・・
宴会もよく観察してみると、いろいろなタイプがある。
大きく分けると、引っ張り役がいて、
話題を巧みに、次から次へと変えていって、
皆の興味をはずさないものだ。
残念ながら、そういうモノには、
めったにお目にかかれない。
もう一つは、宴会とは名ばかりで、
ただ、その場に皆が居合わせ、
所定の時間を、単に消費するばかりである。
ほとんどの宴会が、この手のタイプだ。
酒飲みには、理由などいらない、
ただ酒を飲めれば、それでいいのだろう。
適当なところで、喧騒な宴会場からチーコちゃんを
連れ出した。
夕焼けがとても綺麗だった。
東の空で、赤い夕焼けが波をうっていた。
ここでは東に陽が沈んでゆく。
地球の5倍ぐらいのお日さまが、
チーコちゃんに、
バイバイと手をふりながら、去ってゆく。
星が、きらきらと、手にとるように輝いていて、
空は、陽が消えても、薄青く拡がっていた。
これなら、夜間照明も要らないだろう。
チーコちゃんは目を輝かせて、そんな光景に見入っていた。
いろいろ私のお節介のせいで痛い目、
つらい目に合わせてしまった。
頭を撫でてやりながら心の中で、謝った。
私と、知り合ったばかりに、
被らなくともよい災難に出会わさせてしまった。
これも何かの縁だろう。
わけの元を訪ねてゆけば、
当たり前の説明がつくのだろうが、
つけたところで、
過去の事実が消え去るというものではない。
また、知ったところで、次の役に立つとも思われない。
そんな事ばかりに気を奪われていると、
何もせず、誰とも係わりを持たずに、
暮らした方がいいという事になって、
最後には、干乾しになり、地獄にでも、
落ちるのが関の山だろう。
つづく