copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 地上へ帰ろう
私とチーコちゃんが、夜空を眺めていると、
パーアッと花火のような閃光が走った。
キヨヒメが帰ってきたのだ。
キヨヒメは娘姿に戻って、おれたちの傍にきた。
「キヨちゃん、アンジン君は元気だったかい?」
「あのバカ、まだ篭もりっきりの生活しているのよ。
会えなかったわ」
何となく元気がない。
私は、どんな言葉で慰めてよいのか分からなかったので、
黙って<夜空を見つめていた。
「チーコちゃん、まごころあった?」
「お姉ちゃん、ありがとう。ここに入ったわ」
胸を指差して答える。
「そう、よかったね」
「うん」
「キヨちゃん、明日帰ろう」
「そうね、オッさん、チーコちゃん、ありがとう。
こんな所まで、つきあわせてごめんね」
「気にすることないよ。いろいろ面白かったよ。
それに、この子の事もあったことだし」
「わたしも、面白かったわ。また来たいな」
キヨヒメの眼には、
星の光りが、
そっと飛びこんでいた。
そこには、耐える女の美しさがあった。
いつまでも、いつまでも、
辛抱強く、待ち続ける女。
キヨヒメには、それがよく似あっている。
この旅も明日で終わりだ。
短いながらも、色々な経験が出来たし、
「行こ行こ」グループの皆とも、交友を深める事が出来た。
何もしなくとも、時間はいたずらに過ぎて行く。
ぼぉーっと過ごすのもいいかもしれないが、
機会があれば、また出来るだけ、
色々な事に参加をしてみたい。
Mキラリーを生みだした現実は、
何ら変わってないし、
キヨヒメも、また行こうと誘ってくるかもしれない。
どんな明日が待っているのか知らないが、
ただ流れにまかせるだけでなく、
可能な範囲で、精一杯の努力はしてみたい。
それが、人間として生まれた、
ただ一つの証のような気がするからである。
おわり
<エピローグ>
最後に、ループ界には縁のない人のために。
三途の川に縁のない人も多いかと思われますので、
ドン作の橋の渡り方を、お知らせしておきます。
彼は、「蜘蛛の糸」の話をカンダタから、
聞かされていたので、何かの時、
利用できるかもしれないと、
強化炭素繊維を編みこんだ5km余りの
透明に近い糸を、持って行ったのです。
その巻き糸の端をタイタイから、そっと受け取り、
身体に括りつけ、橋を引き返しました。
糸は、見つからないよう、念のため、
三途の川に垂らしながら歩いてゆきました。
これは違反ではないと思うのですが、
カンニングに近い行為だからです。
チェッカーによっては、
不合格になる危険性もありました。
幸いなことに、「うん、よかろう」という事で、
これは、結果的には成功しました。
ドン作が、橋の向こうにつく。
糸を通して、タイタイに合図を送る。
タイタイが、力まかせに引っ張る。
ドン作は、青鬼の残念そうな顔を後に、
意地悪顔のお返しを送りながら、
さっ、と空を凧のように飛ぶ。
向こう岸では、キヨヒメ、むーみぃ姫、
秀香、チーコちゃんの4美女勢揃いで、
ドン作を受けとめました。
こうして無事に渡りきったのです。
ドン作の鼻の下が、すーっと伸びたのは、
言うまでもありますまい。
めでたし、めでたし。
そういう次第でありました。
よーに、おわり
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 地上へ帰ろう
私とチーコちゃんが、夜空を眺めていると、
パーアッと花火のような閃光が走った。
キヨヒメが帰ってきたのだ。
キヨヒメは娘姿に戻って、おれたちの傍にきた。
「キヨちゃん、アンジン君は元気だったかい?」
「あのバカ、まだ篭もりっきりの生活しているのよ。
会えなかったわ」
何となく元気がない。
私は、どんな言葉で慰めてよいのか分からなかったので、
黙って<夜空を見つめていた。
「チーコちゃん、まごころあった?」
「お姉ちゃん、ありがとう。ここに入ったわ」
胸を指差して答える。
「そう、よかったね」
「うん」
「キヨちゃん、明日帰ろう」
「そうね、オッさん、チーコちゃん、ありがとう。
こんな所まで、つきあわせてごめんね」
「気にすることないよ。いろいろ面白かったよ。
それに、この子の事もあったことだし」
「わたしも、面白かったわ。また来たいな」
キヨヒメの眼には、
星の光りが、
そっと飛びこんでいた。
そこには、耐える女の美しさがあった。
いつまでも、いつまでも、
辛抱強く、待ち続ける女。
キヨヒメには、それがよく似あっている。
この旅も明日で終わりだ。
短いながらも、色々な経験が出来たし、
「行こ行こ」グループの皆とも、交友を深める事が出来た。
何もしなくとも、時間はいたずらに過ぎて行く。
ぼぉーっと過ごすのもいいかもしれないが、
機会があれば、また出来るだけ、
色々な事に参加をしてみたい。
Mキラリーを生みだした現実は、
何ら変わってないし、
キヨヒメも、また行こうと誘ってくるかもしれない。
どんな明日が待っているのか知らないが、
ただ流れにまかせるだけでなく、
可能な範囲で、精一杯の努力はしてみたい。
それが、人間として生まれた、
ただ一つの証のような気がするからである。
おわり
<エピローグ>
最後に、ループ界には縁のない人のために。
三途の川に縁のない人も多いかと思われますので、
ドン作の橋の渡り方を、お知らせしておきます。
彼は、「蜘蛛の糸」の話をカンダタから、
聞かされていたので、何かの時、
利用できるかもしれないと、
強化炭素繊維を編みこんだ5km余りの
透明に近い糸を、持って行ったのです。
その巻き糸の端をタイタイから、そっと受け取り、
身体に括りつけ、橋を引き返しました。
糸は、見つからないよう、念のため、
三途の川に垂らしながら歩いてゆきました。
これは違反ではないと思うのですが、
カンニングに近い行為だからです。
チェッカーによっては、
不合格になる危険性もありました。
幸いなことに、「うん、よかろう」という事で、
これは、結果的には成功しました。
ドン作が、橋の向こうにつく。
糸を通して、タイタイに合図を送る。
タイタイが、力まかせに引っ張る。
ドン作は、青鬼の残念そうな顔を後に、
意地悪顔のお返しを送りながら、
さっ、と空を凧のように飛ぶ。
向こう岸では、キヨヒメ、むーみぃ姫、
秀香、チーコちゃんの4美女勢揃いで、
ドン作を受けとめました。
こうして無事に渡りきったのです。
ドン作の鼻の下が、すーっと伸びたのは、
言うまでもありますまい。
めでたし、めでたし。
そういう次第でありました。
よーに、おわり