フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

見つめ合う瞳

2006年02月12日 09時57分42秒 | 第12章 逡巡編
「お、女の子は色々準備があるんだから、30分で、なんて無理だよ」
ハルナは泣きじゃくりながらオレの胸を叩いた。
「う・・・・・・ん、そっかぁ。ごめんなぁ、せっかちで・・・・・・」
オレはハルナの腰に腕を回すと、強く抱きしめた。

それでさっき出れなかったのかと、早とちりした自分を笑った。

「だけど、オレが入ってから準備すればいいじゃん・・・・・・」
ハルナは、はっとした顔で「そっか・・・・・・」と1人頷いていた。
「待ちきれなくてシャワー浴びるなんてさ。ハルナのスケベ~」
「ち、違うもん!!!」
真っ赤になる彼女のうろたえ振りが可愛くて唇を啄ばんだ。

「じゃ、オレ、ちょっとフロントに行って来るよ」
「え!?なんで?」
「ドア、閉まっちゃったからさ。お前のことだからカードキーは中なんだろ?」
ハルナは真っ青になって、後ろを振り返りドアノブをガチャガチャと回し始めた。

「外からはカードキーがないと、開かねーんだよ」
オレはハルナのデコを指で弾くと、「こっから動くなよ」ともう一度キスをした。


オレはエレベーターの中で飛び上がりたい気持ちを押さえて、フロントまで走った。

スペアキーを貰い、部屋まで全速力で走った。
全てのことが夢のようで実感もなく、だけど嬉しくて仕方なかった。

そして、所在無くドアにもたれ掛かるハルナの前に立ち、彼女を抱きしめキスをすると、そのままキーを差し込んだ。

ドアを開け、ハルナを抱きしめたままヨチヨチとペンギン歩きをすると、ハルナが「変だよ。この歩き方」と恥かしそうに笑う。

オレ達はそのままベッドに倒れこむと、笑いながらお互いの瞳を見つめあいキスをした。

「かずにぃ・・・・・・」
オレは咄嗟にハルナの唇に指を立てた。
「頼むから、『かずにぃ』は止めてくれ。なんか、妹をヤッちゃうみたいで萎える・・・・・・」

困惑顔のハルナの頬を撫でながら、瞳を見つめた。
「カズトでいいよ」
「カズ・・・・・・ト?」
「まぁ、それでいっか」
「カズト?」
「うん?」
「この間、凄く恐くて、凄く痛かったの・・・・・・だから・・・・・・」

ハルナは思い出していた。
だけど、それでもオレを許して受け入れようとしてくれていたのか。

オレは、彼女が壊れてしまわないようそっと背中に手を回すと、
「ごめんな。今度は優しくするよ・・・・・・」
と、抱き寄せた。


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