「ハルナ!こっち!こっち~!!」
トモが人垣の向こうから手を振っている。
「遅れちゃってごめん。浴衣って着るの結構難しくって」
私は、額の汗をハンカチで拭い、トモに謝りながら江ノ島駅の電車から降りてくる人の波に流されないように足に力を込めた。
「しっかし、すんごい人だね~。電車の中なんて、チョ混みで死ぬかと思ったよ」
トモもふーっと一息吐くと、額を伝う汗を拭った。
「そうだね。あの込み具合はゴーモンだった。あれっ?スズは?」
「コンビニでアイス買ってくるって。でもさ、私も喉乾いたからウーロン茶買って来ていい?ハルナの分も買ってきたげるからさ、ここで待っててくんない?」
トモは、申し訳なさそうに両手を会わせるとコンビニに向かって走っていった。
程なくして、人の流れに逆らってトオル君がやってきた。
頭一個分他の人達よりも背が高くて髪が金色だからすぐにその人だと分かった。
私が手を振ると、気が付いたらしく真っ直ぐにこちらに向かって歩いてきた。
「え?!あれっ?ハルナ……ちゃん?」
「うん。そうだけど。何か変?」
「いや、ほんの数日振りなんだけど、随分、印象が変わったなと思って」
「……変わったって?」
「なんて言うのかな。その、少し大人びて見えるというか……」
「え??そ、そっかな。きっと、この浴衣のせいだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
私達は一瞬目が合い、お互いが慌てて目を逸らした。
しまった。
しかも会話が続かない……。
長引く沈黙に、心なしか鼓動が速くなってしまう。
「あのぉ……トオル君。花火はどこで見るの?」
やっと言葉が口から出てくれた。
「友達が場所を取ってくれてるんだ。結構、いい場所だよ」
「そっか。楽しみだね」
「うん」
そして、再び長い沈黙が二人の間を通り過ぎた。
し、しまった。
やっぱり会話が続かない。
「今日、僕の家に泊っても家の人は大丈夫?」
「あ、うん。トモとスズも一緒に泊まるんならいいって。でもこんなに大勢押しかけて大丈夫?」
「部屋は沢山あるから大丈夫だよ」
「凄いね……」
……どっ、どーしよう。やっぱり会話が途切れちゃう。
この間、普通に喋れたのが奇蹟に思えて泣けてきた。
「あのさ。スナフキンがさ、『早くハルナちゃんに会いたい』って泣いてたよ」
「ホント?!」
「僕もね」
冗談なのか本気なのか分からないトオル君の言葉に、どきっとしてまた会話が途切れてしまったんだ。
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「遅れちゃってごめん。浴衣って着るの結構難しくって」
私は、額の汗をハンカチで拭い、トモに謝りながら江ノ島駅の電車から降りてくる人の波に流されないように足に力を込めた。
「しっかし、すんごい人だね~。電車の中なんて、チョ混みで死ぬかと思ったよ」
トモもふーっと一息吐くと、額を伝う汗を拭った。
「そうだね。あの込み具合はゴーモンだった。あれっ?スズは?」
「コンビニでアイス買ってくるって。でもさ、私も喉乾いたからウーロン茶買って来ていい?ハルナの分も買ってきたげるからさ、ここで待っててくんない?」
トモは、申し訳なさそうに両手を会わせるとコンビニに向かって走っていった。
程なくして、人の流れに逆らってトオル君がやってきた。
頭一個分他の人達よりも背が高くて髪が金色だからすぐにその人だと分かった。
私が手を振ると、気が付いたらしく真っ直ぐにこちらに向かって歩いてきた。
「え?!あれっ?ハルナ……ちゃん?」
「うん。そうだけど。何か変?」
「いや、ほんの数日振りなんだけど、随分、印象が変わったなと思って」
「……変わったって?」
「なんて言うのかな。その、少し大人びて見えるというか……」
「え??そ、そっかな。きっと、この浴衣のせいだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
私達は一瞬目が合い、お互いが慌てて目を逸らした。
しまった。
しかも会話が続かない……。
長引く沈黙に、心なしか鼓動が速くなってしまう。
「あのぉ……トオル君。花火はどこで見るの?」
やっと言葉が口から出てくれた。
「友達が場所を取ってくれてるんだ。結構、いい場所だよ」
「そっか。楽しみだね」
「うん」
そして、再び長い沈黙が二人の間を通り過ぎた。
し、しまった。
やっぱり会話が続かない。
「今日、僕の家に泊っても家の人は大丈夫?」
「あ、うん。トモとスズも一緒に泊まるんならいいって。でもこんなに大勢押しかけて大丈夫?」
「部屋は沢山あるから大丈夫だよ」
「凄いね……」
……どっ、どーしよう。やっぱり会話が途切れちゃう。
この間、普通に喋れたのが奇蹟に思えて泣けてきた。
「あのさ。スナフキンがさ、『早くハルナちゃんに会いたい』って泣いてたよ」
「ホント?!」
「僕もね」
冗談なのか本気なのか分からないトオル君の言葉に、どきっとしてまた会話が途切れてしまったんだ。
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