トムは15あるファイルを全て開けると、その全てをプリントアウトしてくれると言った。
「全部で大体300ページ位あるかな?時間が掛かりそうだから、庭でも散策してきたらどうですか?」
僕はさっきMrs.ケッチャムに組み臥されたことを思い出し、とても安心して庭を歩けはしまいと内心身震いしながらその提案を辞退した。
トムはクスクスと笑うと、僕をからかい始めた。
「トールはウブだね。だけど、正直、あなたとこの部屋で2人きりでいるのは、僕には結構つらいんですけど……」
「え?!」
「ほら、顔色が変わった!正直だね」
「……年上をからかったりしないように」
僕は精一杯虚勢を張って、出力されているプリントに手を伸ばし、目を通し始めていた。
――――私は今回の取材を通し、C&H社の未来を明確に断言するものである。
現在業界2位に付けている……――――
「トオルは、恋人、いるの?」
「……ん、いるよ?」
僕の思考はトムに遮断されつつも、ケッチャムの記事を追った。
――――現在業界2位に付けているAMH社の驚異的な急成長は、やがてC&H社をも凌駕し……――――
「どんな感じのコ?」
「……」
「トール?」
僕は記事に没頭していて彼の質問を聞き逃してしまっていた。
「え?!ああ。ええっと、……ごめん。聞いてなかった。……何?」
彼はもう一度、「恋人はどんなコかって聞いたんだけど……」と嘆息した。
「う~ん。そうだな。良く笑って……、良く泣いて……。
一生懸命頑張って生きてますって感じの女の子かな……」
ハルナの笑顔や泣き顔が思い出され、自然と笑みが零れた。
「ふ~ん……」
トムは椅子の背に肘杖を付きながら冷めた口調で僕の話に相槌を打った。
「愛してる、ってわけか……」
「とてもね」
僕は微笑むと、再び原稿に目を滑らせ始めた。
暫くしてある程度まとまった枚数のプリントが出てきた時、トムが僕にそのプリントを揃えて手渡そうとしてくれた。
「サンキュ……」
そう言い掛けて、手を伸ばした瞬間、彼は僕の手を掴み、壁にダン!と押し付けると同時に、僕の体も壁に押さえ付けて貪るようなキスをした。
「ん!……んぐ!!んー!」
僕は必死に抵抗し、渾身の力を振り絞って彼を突き飛ばすと、手から滑り落ちたプリントがランダムに宙を舞った。
「はぁっ、はぁっ!い、一体、何を……」
何をするんだ!と言い掛けて、彼がゲイであることをカミングアウトしたことをハタと思い出し、タラリと冷や汗が背中を伝った。
トムの目は鋭く獲物を追う目となって煌いている。
僕は、袖で唇を拭うと、男にキスされたショックに頭はすっかりパニクってしまっていた。
トムを甘く見過ぎて、隙を作ってしまっていたことを僕は心底後悔し始めていた。
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僕はさっきMrs.ケッチャムに組み臥されたことを思い出し、とても安心して庭を歩けはしまいと内心身震いしながらその提案を辞退した。
トムはクスクスと笑うと、僕をからかい始めた。
「トールはウブだね。だけど、正直、あなたとこの部屋で2人きりでいるのは、僕には結構つらいんですけど……」
「え?!」
「ほら、顔色が変わった!正直だね」
「……年上をからかったりしないように」
僕は精一杯虚勢を張って、出力されているプリントに手を伸ばし、目を通し始めていた。
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「トオルは、恋人、いるの?」
「……ん、いるよ?」
僕の思考はトムに遮断されつつも、ケッチャムの記事を追った。
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「どんな感じのコ?」
「……」
「トール?」
僕は記事に没頭していて彼の質問を聞き逃してしまっていた。
「え?!ああ。ええっと、……ごめん。聞いてなかった。……何?」
彼はもう一度、「恋人はどんなコかって聞いたんだけど……」と嘆息した。
「う~ん。そうだな。良く笑って……、良く泣いて……。
一生懸命頑張って生きてますって感じの女の子かな……」
ハルナの笑顔や泣き顔が思い出され、自然と笑みが零れた。
「ふ~ん……」
トムは椅子の背に肘杖を付きながら冷めた口調で僕の話に相槌を打った。
「愛してる、ってわけか……」
「とてもね」
僕は微笑むと、再び原稿に目を滑らせ始めた。
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「サンキュ……」
そう言い掛けて、手を伸ばした瞬間、彼は僕の手を掴み、壁にダン!と押し付けると同時に、僕の体も壁に押さえ付けて貪るようなキスをした。
「ん!……んぐ!!んー!」
僕は必死に抵抗し、渾身の力を振り絞って彼を突き飛ばすと、手から滑り落ちたプリントがランダムに宙を舞った。
「はぁっ、はぁっ!い、一体、何を……」
何をするんだ!と言い掛けて、彼がゲイであることをカミングアウトしたことをハタと思い出し、タラリと冷や汗が背中を伝った。
トムの目は鋭く獲物を追う目となって煌いている。
僕は、袖で唇を拭うと、男にキスされたショックに頭はすっかりパニクってしまっていた。
トムを甘く見過ぎて、隙を作ってしまっていたことを僕は心底後悔し始めていた。
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