朝、目覚めると夜中病院から呼び出しがなかったことにホッとする。
母は手はかすかに手すりをつかめるほど。点滴をやめたので手の浮腫はひいてきている。この頃嬉しいことは時々意識がはっきりしているときに出来る会話。
「まだ(私)生きてるの?」にはじまって
「今日も可愛いね。いい娘だ。」「今が一番幸せ」「ありがとう。みんなに宜しく言ってね。」長男を見るとやはり嬉しそうに笑う。「OOちゃはいい男だね。ありがとうね。」「もうすぐ楽になるからね」
この頃母の目は空中をみている。その瞳はとても澄んでいる。
掃除婦さんが掃除をしに来た時、母は起きていたそうだ。そして、壁を見ながらこんなことをいったのだという。「女神様が見える。今お話してる。」それは天使?マリア様?それを聞いて胸がいっぱいになった。それというのも3日前地獄の夢を見たと言って自分は地獄におちるのだと怯えていたからだ。お母さんはイエス様を信じたんだから絶対地獄なんか行かない天国にいくんだよと説明しお祈りしたのだった。神様が護ってくださっているんだと嬉しくて泣きたくなった。
「今日を一番いい日にするの。2人の記念日にするの。2人で協力しあってね。」そして長野に旅行に行くのだという。父の夢でもみたのだろうか?
母の心は平安で満たされている。それが何より感謝だ。