コーサンビー（ヴァンサ国首都）における仏教徒のエピソード

ここまでが言い伝えである。まるで、我々が持つ2つの古いお伽話がインドで1つにまとめられたような、懐かしい響きのある物語である。これを真実の歴史だと見なす人は誰もいない。おそらく、有名で人気のあったストーリーを、よく知られた歴史的人物に当てはめたのであろう。

さる学識ある人が、これを「ウデーナは象に乗って彼女と駆け落ちし、逮捕を逃れるために金をいっぱい詰めた袋を落としていった」と要約しているが、このように表現を少しだけ変えて説明し直したことで、この話の中核となる重要部分が変化してしまっている。
しかし、この言い伝えが作られたとき、アヴァンティ国のパッジョータ王とコーサンビーのウデーナ王は、同じ時代に隣同士の国の施政者であり、婚姻によるつながりがあり、戦争をしたと信じられていたことの十分な証拠となる。

コーサンビーのヴァツサまたはヴァンサ国王である、このウデーナについては、他にもたくさんの逸話がある。
昔、ピクニックに出かけたときに、彼が寝ている間に、女性の家族がピンドーラ（仏教教団で非常に尊敬されていた有名な僧侶）の説法を聞くために彼から去った。彼は、酔っぱらって激しい怒りに燃え、褐色蟻の巣をピンドーラに縛り付けて彼を拷問したことがあった。
それからずっと後、王は、同じピンドーラと、自制心について会話し、自分のことをブッダの信者であると公言するようになった。

別のピクニックでは、女性用の東屋が火事になり、女王サーマヴァティーやその従者たちの多くも焼け死んだ。彼の父親の名前はパランタパである。彼にはボーディという名前の息子がおり、教典の1つは、この名前を題名に使っており、そこに色々な細々したことが語られている。しかしウデーナはブッダより長生きしたので、ボーディが結局王座についたのかどうかは、よくわからない。