沈黙の春

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捜索令状はパスワードにも有効か 捜査当局とテクノロジー企業の法的闘争ぼっ発

2012-09-07 19:11:19 | 政治、法律など
テクノロジー企業と米政府の間で、捜査当局が容疑者のスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)のパスワードを入手する権利があるかどうかを巡り、法的闘争がぼっ発している。


REUTERS


 米検索大手グーグルGOOG+2.74%は今年、売春をあっ旋したとみられる容疑者が所有する、同社OS(基本ソフト)「アンドロイド」搭載のスマホを解除することを拒否した――米連邦捜査局(FBI)が捜索令状を取得した後でさえもだ。

 グーグルの異例で物議をかもしたこの対処は、スマホといった新しい技術に対する法的基準がいかに曖昧かを物語っている。米最高裁のいわゆる「第三者主義(Third Party Doctrine)」(訳注:第三者の保有する個人の情報を連邦政府が取得することについては合衆国憲法修正4 条<令状主義>の適用がないとの立場)のもと、政府関連機関はたいてい捜索令状なしに第三者が保有する情報を入手することができる。

 しかし、この基準はパスワード――電子メールや携帯メール、通話、アドレスといった膨大な情報を解除するカギ――のような機密事項については想定されていない。

 第三者にパスワードを聞くことは「ひどく攻撃的だ」と話すのは、コロラド大学法科大学院の准教授で元連邦検事のポール・オーム氏だ。オーム氏は「一般的に世間は、捜索令状があってもFBIがわれわれのカギを入手するのは好ましくないと思っている」と述べた。

 FBIの報道官は携帯電話の解除に関する同局の方針についてはコメントを避けた。

 捜査当局はしばしば、電話のロックは解除せず、単に電話のメモリーの中身をダウンロードするために捜索令状を使う。

 だが、携帯電話のデータにアクセスできなかったり、データが暗号化されていることもある。そのような場合、当局は携帯電話のオーナーに大陪審の召喚状を送り、パスワードを提出するよう求めることができる。

 ただこれらの要求は法的に困難である。というのも憲法修正第5条が自己負罪から人を守っているためだ。その結果、大陪審の召喚状によって入手したパスワード――およびそのパスワードで保護されているデータ――が起訴材料には使えないことがままある、とウィリアム・アンド・メアリー大学法科大学院のアダム・ガーショビッツ教授は話す。

 連邦捜査当局はこのため、グーグルや米アップルAAPL+0.90%といったスマホのソフトウエアメーカーに携帯電話のパスワード問題を迂回(うかい)する助けを求め始めているように見える。このような要求がどの程度行われたかに関する公的記録はほとんどないが、全米自由人権協会(ACLU)が情報公開法に基づいて請求した当局の資料文書のなかに、パスワードの迂回でアップルとグーグルに協力を求める文書のひな型が含まれていた。

 アップルとグーグルの2社はいずれも、そのような文書や請求についてコメントしていない。また、このような請求のほとんどは公表されないため、どの程度発生しているのか見極めるのが難しい。グーグルは毎年、捜査当局から受け取った請求を合計したリストを公表しているが、請求の種類に関する詳細については公表されない。アップルはこのようなリストは公表していない。

 だが、スマホのソフトウエアメーカーはパスワードの引き渡しには慎重であることは明白だ。アップルの広報担当者は、「(アップルは)捜索令状なしには、いかなる個人情報も提供しない。またパスコードを共有したことは一度もない。仮に、裁判所にiPhone(アイフォーン)から情報を引き出すよう命じられれば、自分たち自身で行う。誰か別の人間に顧客のアイフォーンを解除させることは決してない」と述べた。

 米マイクロソフトMSFT+3.14%とカナダのリサーチ・イン・モーションCA:RIM+2.16%(RIM)の広報担当者は、顧客のパスワードの収集・保存はしないとしている。このため、捜索令状があったとしても、当局にパスワードを引き渡すことはできないという。

 インターネット関連の法律が専門のマーク・ツビリンガー弁護士はヤフーYHOO+0.13%やマイスペースといったテクノロジー企業を代表して当局の法的手続きに挑戦してきた。顧客のパスワードに対する請求は頻繁にはないが、企業がそれを受け取った場合は請求に応じるかどうか、慎重に考慮すべきだと指摘する。

 企業が捜索令状を受け取り、それに合意しない場合は、裁判所に持ち込むことも可能であるし、請求内容を狭めるよう直接、当局と交渉することも可能だと同氏は言う。

http://jp.wsj.com/IT/node_508223?mod=WSJFeatures


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