おはなし屋パモンの日記

おはなしを書くのが大好きなパモンの日記です。

「庭物語」2

2016年02月15日 | 小説

パモンの小説です。

最新版はこちらから

読めますよ~(^O^)/

 

http://www.mag2.com/m/0001648036.html

 

 

 

■『庭物語』2

 


                       BY パモン


あの日、店長会議で本部に呼ばれた。

売上に関して部長から叱責された後、
どうやって帰ったのかもよく覚えていない。


ただ、もう店へは行けなかった。

その日のうちに私は大量の睡眠薬を飲んだからだ。


私はずっと眠っていたらしい。


店の子たちが「店長が来ない!」と
何度も電話を掛けたらしいのだが、
まったく記憶に残っていなかった。


やがてその連絡が本部に行き、
本部から部長が私の部屋へ訪ねてきて、
それで発見されてしまった!


私はすぐに病院へ運ばれたようだが、
それでもなかなか目を覚まさなかった。

それから一週間。

 

こんこんと寝続けた私が目を覚ました時、
そこは、真っ白い部屋の中だった。

部屋の真ん中に、私一人だけが寝かされて、

ああ、ここが天国なのね……

と思ったものだった。


看護師さんが私に気付いて、

「東雲(しののめ)さん、ようやく気がついたのね」

と声を掛けたので、ぼんやりとした頭で、


ああ……助かったのか、余計な事を……

と思ったのまでは覚えている。

それから私は再び眠りに落ちたのだった。

 

そんな私は現在、休職中。


医者からは「うつ病」という診断を貰って、薬を呑んでいる。

うつ病は、仕事をしている時から言われていて、
病院から睡眠薬を貰っていた。

けれど呑んではいなかった。

薬なんかで私の病気が治るとは思っていなかった。


第一、 自分が病気だなんて考えたこともなかった。

私はまだやれる。私は頑張れる、と思っていたからだ。


だから、会社から病気をゆっくり治してから出勤してください
と言われても、何だか狐につままれたみたいだった。

私が病気?

そんな馬鹿な……!!


大体私が行かなければ、バイトの女の子たちのシフトは誰が組むの?

私以外に彼女らの状態を把握している者は、いないのに……!?


けれど、そうなんだと自覚したのは、それっきり体が動かなかったからだ。


そう、私は退院しても、自宅のベッドから起き上がれないでいたのだ。

 

以来、私は食事を摂ることと、お手洗いに行く以外は、
ほとんどを寝て過ごしているのだ。


一日の始まりがどこなのか?終わりはどこにあるのか?

はては今は何日なのか?


さっぱり分からなかった。

ましてや季節が変わったことなど、知る由もないのだった。

 


つづく

 

 

 

コメント
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