おはなし屋パモンの日記

おはなしを書くのが大好きなパモンの日記です。

「庭物語」3

2016年02月22日 | 小説

パモンの小説

「庭物語」3を更新します。

 

無料メルマガにて、最新版も読めますよ~ん。(^O^)/

http://www.mag2.com/m/0001648036.html

 

どうぞお楽しみください~。

 

☆それでも今日もよい1日を。

 

 

■『庭物語』3

 


                       BY パモン


カーテンがざわざわと動き始めた。

すると急に突風が吹いて大きく巻き上がった。

外は徐々に黒雲が近づいていた。

遠くで雷の音も聞こえている。


嵐が来るのね、と思った。

 

部屋の中は蒸し暑い空気が入ってきていた。


雲が近づいては通り過ぎていく。

パラパラと乾いた音までしてきて、
雨が降り始めたようだ。

 

私はベッドに寝転んだまま、その雲の動きを見ていた。

雲たちは、切れ切れに飛んで来ては、また流れていく。

その様子がダイナミックで、私はなんだか見とれていた。

ずっと見ていても飽きなかった。


それは、しばらく感じたことなどなかった気持ちだ。


私の中は常に停滞していて、何一つ動かない。


けれど、自然は刻一刻と変化しているのだ、と思った。

その姿は美しかった。

 


やがて空は真っ黒になり、
雨が激しく降り注いできた。


私の部屋-それは、アパートの二階だが-
の窓にも、雨が入り込んでくる。


その雨粒を顔に受けながら、私は慌てて起き上がると、
窓を閉めた。


けれど、いつの間にこんなに窓は
重くなってしまったのだろうか。


私は精一杯力を込めていると言うのに、
窓はなかなか閉まらなかった。


そんな中でも容赦なく雨は吹き込んでくる。


「うわっ、うわ……」


と私は声を上げながら、窓の取っ手に体重を掛けた。


すると呆気なく、するすると窓が閉まった。

 

ほっとしたのもつかの間、見ると、

カーテンの端が窓に挟まれている。

 


けれどもう一度開ける気はしなかった。

すでに外は大雨になっていたからだ。

 

「……」


しかたなく、力任せにカーテンを引っ張っていると、

スポンと抜けた。

 

そしてその勢いで後ろにひっくり返った私は、
びっくりして目を丸くしてしまった。


くるんと体が仰向けになり、頭がベッドのスプリングに弾んだ。

何だか世界が半反転したような気持ちだった。


「あ、はは……」


私はなんだかおかしくなり、
ベッドの上でひとり笑ってしまった。


笑っているうちに、止まらなくなり、
やがて「あはは!」と大声で笑い転げた。


なんだか子どもみたいな自分が可笑しかった。

まるで無力。

まるで無抵抗。

 

でも、こうして揺れるベッドの上で
体が跳ねることが、単純に面白かった。


私は何度も自分の身体を布団に押し付けては、
その軽く浮く感覚を楽しんでいた。

 

 

つづく

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする