自然文化研究科

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モンゴル高原における自然 ★人と家畜の共生関係★                         

2013年09月03日 | 暮らし
9月3日 9/5 9/6日追記分
今日から2学期 本日の授業は国立民族博物館(大阪府吹田市千里万博公園内)で
国立民族学博物館民族研究社会学部教授・部長、総合研究大学院大学地域文化学専攻長併任又、平成25年4月29日紫綬褒章を受章されました、小長谷有紀教授に「モンゴル高原における自然★人と家畜の共生関係★」に就いてのご講演を頂きました。

モンゴルの概略(ウィキペディア)より
モンゴルはモンゴル高原(現在のモンゴル国と中華人民共和国の内モンゴル自治区を合わせたものにほぼ一致する地域)にバイカル湖~興安嶺の一帯とバイカル湖~アルタイ山脈の一帯を合わせた地域。または、当該地域や中央ユーラシアに居住するモンゴル諸語のモンゴル語などを母語とする民族。

大雑把な人口の内訳は、モンゴル国に200万・内モンゴル自治区に400万・ロシアのブリヤート共和国に20万である。詳細に見るとモンゴル国では人口約253万3100人のうち95%(約241万人)がモンゴル族(2004年統計年鑑)であり、中国には約1000万人(内モンゴル自治区に約400〜500万、それ以外の中国内に約500〜600万)のモンゴル族がいる。


 ご講演頂いた小長谷 有紀教授

①モンゴルの気候、人口密度等

モンゴル国と中国内蒙古自治区 クリックで大きくなります。


モンゴル国の草原と砂漠
面積 総計1,565,000km2(18位)
   水面積率 0.6%



モンゴルの降水量は最高でも夏場に80㎜、10月から翌年の3月くらいまでは20%前後と降水量は少なく又気温は9月前から5月位まで氷点下が続き、非常に厳しい条件の国である。

モンゴルの夏と思われる画像緑豊かですが、放牧のため草の長さは10㎝位と思われる(羊・山羊などが食べるので、他の虫が食べるより少し長く残る)

中国内蒙古自治区では人口密度も多く、ゲル以外に恒久的な建物も見え定住性も確認できる。

モンゴル国の人口密度は極端に少なく、中国内蒙古自治区では約1.2倍の人口密度が有り、定住化も進んでいるようです。

モンゴルにはオアシスはなく、小規模の農業は行われていたが、自給程度で有った。又市場が無く一部で贅沢品の取引は行われていたが、ほとんど商取引はなかった。

モンゴルは先程書いたように、自給的な生活のため家畜のオスは、種付け用の家畜を残し殆どが雌と去勢されたオスが大半だった。

家畜のオス・メス比はご覧の様にメスが多くオスの殆どは去勢され、馬は足が速いので戦闘用、牛は、荷役 ラクダは 冬季の馬牛の変わり、羊・山羊は歩く冷蔵庫(夏場は肉が腐るので放牧しながら、食料にした。特に馬は19世紀までは、軍事行動を実施するための資源に成っていた

20世紀からは社会主義化によって 去勢オス事態が商品化され、家畜からの畜産物の商品化もなされた。又メス家畜からも畜産物の商品化とされた、

②実際の放牧民の生活、放牧風景等



住居のゲルと内部(国立民族博物館展示物)


放牧される家畜の群れ


冬季の放牧(3月頃)


馬の放牧 牡馬を中心にハーレムを組む


搾乳情景(羊の頭を交互にロープを巻き付け整列される)


出産期には子育て放棄の母親が居るため人が育てる場合も多い


去勢風景去勢後の睾丸も食料になる。


羊の毛の刈り上げ風景


羊の解体(ほとんどの国では血液は放棄するがモンゴルでは血液も利用する)




お祭り?お祝い事の様です


新婚の夫婦


③ 現在のモンゴルの現状と課題


約10年を掛けて土地法は制定された。










モンゴルのウラン確認埋蔵量は約6万トンと世界15位ですが、未確認埋蔵量は世界1位の約139万トンとも言われています。(2007年)


鉱産資源は石炭、銅、金、ウランも生産されているが、ウランは最終処分までの問題が有るので採掘されていない(?)

1996年まで旧ソ連がウランを採掘し、撤退。

しかし2009年11月10日 央日報/中央日報日本語版では 中国核工業集団公社(CNNC)はモンゴルのウラン開発権を持つウェスタン・プロスペクターグループに2870万ドルを投資しウラン開発権を獲得した。と発表しているので、現在は発掘しているか?

又昨年5月、毎日新聞が「日米が核処分場極秘計画 モンゴルに建設」とスクープ記事を発表した
その後の報道を調べてませんが、日本の核処分場が満杯に成ったから海外へとは由々しき問題と考えます。

20世紀農業開発地(1986年共産主義から解放後)



近年ゲルを利用したホテル(ツーリストキャンプ)が観光客の人気に成っていますが、トイレなどの汚水処理等の問題が発生している。

今回は大変長くなりました、先生には小生の知らない事ばかりのお話大変楽しく学ぶことが出来ました、本当に有難うございました。
モンゴルは広大な国でロマンすら感じますが、近い将来文明化が進み、放牧など非効率なものは徐々に無くなるであろうことを思うと、寂しい思いを禁じえません。











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