本日紹介するのは寺崎廣業の晩年の作と思われる作品ですが、ちょっと真作と判断するには至っていない作品の紹介です。
雪景山水図 寺崎廣業筆 大正3年(1914年)その136
絹本水墨軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:横520*縦2180 画サイズ:横410*縦1280
一見すると良さそうな作品・・。
落款からは大正7年の最晩年の作。山岳を盛んに描いていた頃になりますね。
本作品のように雪景の題材の作品も数多く描いており、作風にも違和感はない。
ところどころに着色してあるところも心にくい。
薄墨の使い方も異論はないが、ちょっと絵がかたいかな?
落款には全く違和感はありません。問題となるのは印章ですが、白文朱方印の「廣業印▢」の印はこれに似た印章が資料にはありますが、印影が違うように思います。また朱文白方印「宗山」は資料には見あたりません。
ここで比較するのは「孟宗竹図」という作品です。これもまた「贋作考」としており、真作と判断するには至っていない作品です。
贋作考? 孟宗竹図 伝寺崎廣業筆 大正3年(1914年)作
絹本水墨着色軸装 軸先木製 誂箱入
全体サイズ:縦2040*横620 画サイズ:縦1320*横470
この作品の落款(下写真左)と本日の作品「雪景山水図」の落款(下写真右)を比較してみましょう。ほぼ同じ書体のようです。
「孟宗竹」の印章も珍しい印章ですが、資料の印章とほぼ一致・・???若干「印」の部分に印影に違和感があるかな? という理由で真贋保留にしてある作品です。
本作品もまだ4真贋保留とせざる得ない・・・、当方の審美眼はまだまだか。ものごとに真偽は奥が深い・・・。安易に贋作とも言えず、大ぴらに真作とも言えないのものが世の中には数多くあるようです。