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腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

July

2008年10月06日 23時53分13秒 | ドリームキャストゲーム感想文
今年、まだDCゲーやってないなぁ。
と言うわけで「July」。ジュライ。
ドリームキャスト本体と同時発売。つまり10年前のゲーム。
どうせなら、10周年記念日の11月27日にプレー開始した方が
良かったかもしれない。どうでもいい。

今から10年前は、もちろん1998年。
つまりは20世紀であり、キバヤシさんの絶頂期だ。
このゲームのタイトルも、もちろん例のアレに絡めてある。
当時盛大に消費され、今や誰もが忘れている大予言。
正確には、世界の週末を予感させる「雰囲気」。
ああ、90年代後半である。
大好きだなぁ。
俺、正直、ちょっとキバヤシさん信じてたんだよね。
でも、今それを馬鹿だったとは思わないんだよね。
ホンのちょっとの真実味、それを感じ取れる「時代の空気」。
今じゃもう、いやもう二度と味わうことができないと思う。
ああ90年代後半。
はぁ……。

落ち込んでても仕方ない。
ジュライ。例の予言に絡めての7月だと思うかもしれないが、
実は例の予言はゲームに全く関係なく、
また他にも舞台が7月である必然性は全くなかった。
つまりこのタイトル、意味不明である。
なんでジュライなのか? 誰か教えてくれ。

発売は「フォーティファイブ」という今は存在しない会社だが、
クレジットを見た所、どうやらセガの子会社に近い存在であり、
つまり準セガタイトルと言える。
あんましセガっぽさは感じなかったが。

ハードと同時発売されたこともあり、売り上げはそこそこあったらしい。
しかし中古への流れも激しく、俺は数年前に90円で購入した。
まぁ、ずっと手元に置いておきたいと思えるゲームではない、な。
だが妙な魅力を感じるのも事実。
これもまた、世紀末の魅力なのかもしれない。



ジャンルは、まぁコマンド選択アドベンチャーと言っていいだろう。
行ける場所を選択し、フラグが立つと物語が進む。
時には選択肢が出現し、間違えるとゲームオーバーになったり、
後半には分岐も存在する。
また、このゲームは「EVE」よろしくマルチサイトシステムを採用しており、
二人の主人公を交互に操作し、異なる視点から物語を進めていくことになる。
あんまそれが成功してるとは思えないが、まぁ単独よりは話に厚みがある。

場所選択が面倒臭いが、アドベンチャー部分はまぁ許容範囲だと思う。
しかしDC同時発売でありながら、音声が一切ないのはどうなのか。
この時期には、PSでもSSでもボイス付きゲームが当たり前だった。
フルボイスも決して珍しくなかった。
DCの優位性を示すべきこのソフトが、どうしてボイス無しにしたのか。
これは納得できない欠点である。
クリアな声優ボイスを聞かせれば、少なくとも
ハードのデモ効果はバッチリだったのに。


物語は……世紀末の雰囲気を軸に、宗教団体や亜人類が絡み、
最終的には世界征服の野望を阻止する事でハッピーエンドとなる。
さほど面白いものではないが、かと言ってつまらないとも思わなかった。
大して期待していなかっただけに、「意外と良かった」と言える。
「宗教は悪なのか?」「自分の存在する理由は?」といった
永遠ものの問い掛けは、永遠ものだけに考えさせられた。
結局の所、こういった問題は生きてる限りそれぞれが考えていかねばならん。
もちろん俺も。まぁ、テキトーに。

キャラは、まず絵が異様。
辛うじて二次元キャラしてるのは主人公周辺の主要キャラくらいで、
大半のサブキャラは、非常に尖がった顔つきの人ばかり。
ユーザーに媚びる所がまるでない。このセンスには驚いた。
思い出したのが、DCを代表するゲーム、「シェンムー」。
あのゲームでは、横須賀商店街を練り歩くおばさん達が
ジュライと似たセンスで描かれていた。
要するに、全然美しくないのである。ある意味リアルなのである。
ここは素直に「普通」をやればいいタイトルだと思うのだが……
こういうセンスはセガっぽいと言えるかもしれない。

絵を除けば、キャラは普通。普通に感情移入でき、普通に魅力的。
主人公の一人・高村誠にはヒロインのえり子、
もう一人の主人公・ヨシュアにはロリっ子のパティ
が相方として登場する。
えり子には作中唯一のパラメータとして誠への好感度が存在し、
選択肢次第で変動、エンディングが変化する。
まぁこんなもんだろうか。
全体的に「協力者」としての側面が強いので、ヒロイン要素は薄い。
もう少しラブコメってくれても良かったかもしれない。

ヨシュアとパティはもちろんラブコメ関係ではなく、仲間。
復讐心に凝り固まった29歳の男の心を、8歳のロリっ子(生意気盛り)が
徐々に癒していく。ありがちな展開だが、これでいい。


ゲーム中に登場する人物は、全部で150人にも上るらしい。
これら登場人物を埋めていくリストがメニュー画面に存在するので、
やり込むとすれば、このリストを制覇することが考えられる。

しかし、登場人物は多いが、主要なのはごく一部。
大半は「ただの通行人」レベルの存在価値であり、
後半になると探すのも面倒になってくる。
あんまし面白い要素とは言えないな。
数多い通行人と、無駄に用意されている彼らの設定。
なんかこのゲーム、シェンムーと似てると言えば似てるなぁ。

アドベンチャーではお馴染みの立ち絵とイベント絵でゲームは進むが、
このゲームはイベント絵がかなり少ない。
その上立ち絵のバリエーションも殆ど無く、表情は常に一定。
絵に関しては、センスはともかく分量は失格。
もう少し新ハードと同時発売という立場を考えろ。
すごい所をユーザーに見せ付けなきゃいかんだろうに。



んなとこか。
ボリュームはそこそこ。
全部で18日の物語だが、1日1日はかなり短い。
毎日少しずつ進めるのが一番いいやり方だと思う。
音楽は割といいかもしれない。少なくとも、PSじゃこの音は出せん。
絵の美しさはさしてないが、音楽では「次世代感」を感じられただろう。


あまり心に残る作品とは思わないが、
世紀末を、あの頃を思い出すとせつなさが炸裂する90年代野郎なら、
是非ともこのゲームをプレーし、あの頃を胸に刻んでおくべきだろう。
ゲームそのものだけでなく、発売当時の時代背景、ハード状況なども、
立派にそのゲームの楽しみ方に関わってくる要素だと思う。
そんなこと気にするのは俺くらいかもしれないが、俺はそうすることで
各ゲームをより楽しんでいると思うので、これでいい。
ジュライをプレーし、あの頃の空気を少し感じられた。
それだけでもアリだ。
比類なき90年代後半に幸あれ。ないよ。世界滅ぶんだよ。
はぁ。




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