思いがけない雨漏が起こり、その原因を調べる職人さんが入ったり、おこたがサボタージュを起こし、さてどうしようかと駆けずり回ったりして、美容院行きが随分遅れてしまいました。月曜日やっとパーマ・カットに行ってきました。
もう30年ほど通っている美容師さんです。私も歳を取りましたけれど、美容師さんもいいお歳です。3年ばかり前、軽い脳梗塞を起こされ、それからは無理をしないでと、火・水が定休日です。完全予約制で、お客同士が顔を合わせることもないように余裕を持った時間配分です。30年も通っていると、黙って座ればもう何も注文しなくても、上手く仕上げてくれます。コロナ禍でも、お互い信頼で続きました。
やっていただく間、マスク越しですが、いろいろお話もします。
Dさんがね(ご主人のことを名字で呼ばれます)親戚の結婚式の写真を見ながら言うのよ、
「ねえ、この人僕かしら。こここんなに薄いかい?」と映っている男性の後ろ頭を指さすのよ。
「確かにあなただけど。これ光線の具合ではないの。大丈夫よ。あなたはまだまだ大丈夫!」
私は優しく、否定してあげたのよ、とおっしゃいます。「だって後ろ頭で自分では見えない所ですもの、否定してあげるのが夫婦でも大事なことではない?」と。
はっと、目を伏せたおせっちゃん。ああこれが人付き合いの秘訣だよなあ。私にはこれが欠けているのだ。白黒はっきり、キチンと事実を言う、それこそが正しいとわが実家では親子10人生きてきました。他人の気持ちを思いやって、柔らかく接するよりは、真っ正直にはっきり言うのが正しいと生きてきました。
この美容師ご夫妻と似た場面が我が夫婦にもあったことを思い出しました。
「ああこれ、間違いなくあなたよ。髪の毛ご不自由になってきているね」と答えた私でした。
そうした環境で暮らした私が、東京に出てきて、PTAのお母さんたちとのお付き合い、煙たがられました。そんな中でも、仲良くしてくれた友だちが言いました。
「おせっちゃんは黙っているといい人なんだけれど・・・」と。