今朝の朝日新聞を読んでいて、広告欄に「医者は今日も睡眠薬を出したい放題」という本を見つけました。これはきっと睡眠薬が使い方によっては害になるという、否定的な意見なのだろうなと思ったことでした。
私は医学の知識があるわけではなく、薬についても意見が言える立場ではないけれど、今までの人生で睡眠薬なるものを飲んだことはあるなと、振り返ってみたことでした。
所謂女性の身体の変わり目というのでしょうか、更年期の最後頃でした。とにかく体がだるい。すべての器官が不具合、食欲はない、心臓は不整脈、夜は眠れない、半分死んだような状態になりました。かかりつけの内科医に訴えたら、血液検査などして、「健康体です。何処も悪くありません」と投げられてしまいました。苦しんだあげく、友人が「そんな時は神経内科に一度行ってみたら」と勧めてくれ、すがる思いで駆け込んだのでした。
「ああ、自律神経失調症ですね。薬を出しますから・・・弱い薬ですけれど・・・飲んでみてください。別に眠れるように薬を出しますから、とにかくよく寝て、元気を取り戻しましょう」と処方してくれたのでした。
1錠飲んで寝ました。落ち込むように眠りの国へ。あとは記憶がありません。夫の「どうしたの、まだ寝てるの、お昼だよ」の声で目覚めました。これを二晩ほど続けたら、元気が返ってきました。この時ほど睡眠薬をありがたいと思ったことはありません。
症状は収まりましたが、精神科医はこの軽い薬(睡眠薬ではないもの)はおまじないと思って少し続けましょう。と言い、私も飲んでいると不快でなく、かなり長く服用しておりました。いよいよやめようという時、その医者は「自律神経と言いましたが、鬱病でしたね。それを言うとショックが大きい人が多いので、自律神経と言っておりましたが」と言い、卒業させてくれたのでした。
故郷は山口県です。同じ年齢の頃、田舎の舅姑が老齢になってきておりました。ひと月一回、帰省して世話をし、話し相手になり、を繰り返しました。まだ子どもが中学生でしたから、自分の家も長くは空けられず、両親の所もなるべく長くいてやれるように、夜行バスで行き、夜行バスで帰るという強行軍をしておりました。
兎に角睡眠さえとればと、大いに助かった睡眠薬をいただけないか精神科の医者に相談しました。「やたらに続けるのは勧められませんが、バスで寝る時だけならいいでしょう」ということで出してくれました。遠距離介護はこれで乗り越えました。
今、83歳になりました。寝ても寝ても眠いという眠りはどこに行ったのでしょう。寝入り端、2~3時間はかなり深く寝ているようですが、その後はごくごく浅く、ウトウトウトウト転々と朝を待つようになってしまいました。少し早めにベッドに入るとその日のうちに目が覚めてしまうということもあります。日中それほど眠いとも思わないのですが、心理的な不満足があります。眠れない、困った、という不満が常にあるのです。
かかりつけの内科医に(どこも悪くない、と言った内科医とは違います)眠れないと訴えました。医者曰く
「どうしても欲しければ眠れる薬は出しますよ。でも、細切れでも足せば結構寝ているんじゃあないですか。寝不足で死んだ人はいません。どうしても欲しい時は言ってください。その時考えましょう」と。
年寄りの身体の波長に慣れてきました。3時頃目覚めると、もう寝ようとしないで、本を読むことにしています。
年寄りの特権、昼間眠くなればちょいと一休みもできます。細切れ睡眠を足し算しましょう。薬を飲むよりいいかもね。