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姫路大手前・岡崎外科 消化器肛門クリニック ブログ・肛門科通信

姫路城が好きで姫路在住の消化器・肛門科医によるクリニックのブログです。胃腸肛門の情報あり、気軽にお越し下さい。

ALTA(ジオン注)は痛いの?

2009-03-23 00:04:58 | 内痔核(いぼ痔)
いぼ痔にたいするALTA(ジオン注による硬化)療法は痛いの?という疑問をよく耳にします。

注射自体は痛くありません。内痔核部分に注射するので、痛くないのです。正常な肛門の様子を参照してください。注射の針が内痔核の奥の括約筋に触れると痛みが生じます。括約筋へ注射してはいけないので、手術中針先の位置に注意しつつ、「痛くないですか」と何度も尋ねながら注射を進めて行くのです。内痔核の部分にきちんと注射するために必要なことです。

では、なぜ局所麻酔をするの?とお思いですね。「麻酔したはずなのに、どうして痛くないかと聞くのだろう」って、当然の疑問ですよね。この場合の麻酔は、括約筋の浅い部分に麻酔をすることで、肛門を広げて、十分視野を確保して安全に手術をするためにおこなうのです。この麻酔は括約筋を緩めるためにおこなうのです。

結論:括約筋の強い方は、局所麻酔をします。これはちょっとチクチク痛いです。でも、ALTAは痛くありません。痛い部分に打ってはいけないからです。

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内痔核についてまとめてご覧になるためには、左のカテゴリーの「内痔核(いぼ痔)」をクリックしてみてください。
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ALTA(ジオン注)の実際

2009-03-21 01:12:03 | 内痔核(いぼ痔)
図でALTA療法(=ジオン注射によるいぼ痔の硬化療法)の「四段階注射法」について説明します。

内痔核に注射をする手術です。肛門括約筋の強さに応じて、局所麻酔あるいは無麻酔でおこないます。図の1~4の四段階で注射をしていきます。痔核の大きさ、線維化(硬さ)、他の痔核とのバランスを取りながら各段階の注射量を調節します。注射部位は無菌性の炎症を起こし、一ヶ月程度で硬化が完成します。

合併症として、疼痛、発熱、潰瘍形成、肛門狭窄などがあります。また一年後の再発率は(一般的に)10数%です。

内痔核については、左側「カテゴリー」の「内痔核(いぼ痔)」をクリックしてごらんください。
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ジオン注後の再発予防には便秘の解消が大切です。
便秘のお話し始まりました。便秘の最新情報へ。
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内痔核(いぼ痔)治療の注意点

2009-03-02 00:40:55 | 内痔核(いぼ痔)
内痔核の治療は、よほどのことがない限り(肛門科ってすぐ手術なの?参照)、まず軟膏、坐薬を使い、かつ排便コントロールをおこないます。これでまず1週間から2週間様子をみます。これで症状がなくなれば、しばらくは、そのまま薬で維持することも可能です。それでもやっぱり手術しよう、と思われるときが手術(ALTAなども含む)になります。まずは薬による治療がどの程度効果があるのかを実感することが、痔を理解して、つきあって行く上で大切な注意点です。急になったのでなければ、焦りは禁物です。

「以前からあるいぼ痔が悪くなった」と思われている場合でも、大腸癌でないことを確認することは大切です。「正常な肛門の様子」を見ていただければ、肛門の奥の腸の粘膜には感覚がありませんので、小さな大腸癌は症状を出さないことがお分かりでしょう。このポリープなどの症状が、おしりの症状として感じられることがあるのです。以前から痔がある人でも、最近の「変わった症状」には注意が必要です。
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内痔核(いぼ痔)の程度について

2009-02-28 11:58:17 | 内痔核(いぼ痔)
内痔核の治療は、脱出、出血の程度で総合的に判断して決めます。内痔核の程度は「ゴリガーの分類」が世界的に用いられています。正式にはローマ数字(ローマ字の大文字で表す数字、I, II, III, IVなど)で表します。ネット上の文字化けをさけるために、1,2,3,4を使っています。

1度:脱出はなく、出血のみ。軟膏、坐薬治療。出血が止まらない場合は、ジオン注による硬化療法(ALTA)が有効。

2度:脱出するが自然に戻る。軟膏、坐薬治療で維持療法。不快感が解消されない場合は、ALTAやゴム輪結紮療法(RBL)。

3度:毎回手で戻す。手術治療が基本。内痔核のみの場合ALTAが適応。外痔核が大きいなどの場合は結紮切除術(LE)。外痔核切除+ALTAなどの方法も有効。

4度:常に脱出。手術による結紮切除術(LE)が基本。

以上簡単に説明しています。出てくるのは内痔核とは限りませんので、ご注意を(「出てくる」のはいぼ痔だけじゃないを参照)。また、いずれの場合でも、良いお通じを心がける「排便コントロール」は必須です。嵌頓(かんとん)痔核は、4度の痔核に似ていますが、違います。血栓性外痔核も別の扱いとなります。このあたりも今後説明をしていきますね。
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いぼ痔の注射療法(ALTA)の歴史的な位置づけ

2009-02-27 13:46:24 | 内痔核(いぼ痔)
内痔核に対する注射療法は2005年に始まったALTA(ジオン)とそれ以前から使われていたフェノールアーモンドオイル(パオスクレー)の2種類が主に使われています。効果の強さから最近はジオン注がよく使われていますが、嵌頓といって脱出した痔核部分が締め付けられて腫れている場合などは使えないので、パオスクレーが使われることがあります。更に歴史をたどれば、様々な硬化療法の注射が使われていました。硬化療法よりも強い薬剤が使われていたのが「腐食療法」です。30数年前までは注射といえば、この腐食療法の時代でした。逆に言えば現在のALTAはこれらの薬剤を、コントロールしやすく、安全に使いやすく改良していったものとも言えます。医学や医療は少しずつ、でも確実に進歩しています。その中で、我々の先人は何をどう考えどうしてきたのか、振り返ることも大切なことです。肛門科の領域でも、以前は「秘伝」などとして検証されてこなかった、「古典的療法」を見直す動きも、最近では大きな流れとなってきています。新しいものだけ、古いものだけにこだわることのない柔軟な姿勢が大切だと考えています。

さて、本日はおまけとして、ジオン注射の製薬会社の「バーチャル診察」がよく出来ているので、ご紹介しておきます。
http://www.e-zi.net/
です。製薬会社だけに本心は注射療法を強調したいところでしょうが、全体に穏やかで、正確であると思います。参考にしてください。私も時々チェックを入れて不適切な場合などについては、皆さんにも、製薬会社さんにもコメントしたいと思います。
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いぼ痔の注射療法(ALTA(=ジオン注)療法)について

2009-02-26 22:28:35 | 内痔核(いぼ痔)
いぼ痔(内痔核)で、脱出・出血のあるものに対して、注射で治す治療法が2005年から始まっています。ALTA療法といいまして、内痔核の各部分に注射をすることで治して行く「硬化療法」のひとつです。

この薬は認可される条件として、厚生労働省からのお達しがありました。研究会を立ち上げて、注射薬の使用法について、十分な指導管理をするようにとのことです。医師なら誰でも使える薬ではなく、肛門科医として十分な経験があり(基本は、日本大腸肛門病学会認定 大腸肛門病専門医)、研究会主催の講習を受けて資格を得た医師のみが使えるようになっています。資格のある医師が勤める医療機関にしか薬品が納入されないので、現在のところ、他の薬とは違う十分な管理がなされているように思います。それだけ期待される新薬であり、また我々医療者も大切に育てて行こうという思いがあります。よく効く薬だけに、いい加減な使い方をされて、重い合併症が起こるのが心配なのです。また、注射といいましても、立派な手術です。保険診療の上でも「四段階注射法」という手術扱いになっています。

まずは、http://www.zinjection.netをごらんになってみてください。色々怪しげな「研究会」がネット上にはありますが、この「内痔核治療法研究会」は怪しくないのです。私もこの資格をもっています。そろそろ研究会に施設変更の届けをしないといけませんね。

最新情報(2009.4.19)です。研究会のページからリンクされました。
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