姫路大手前・岡崎外科 消化器肛門クリニック ブログ・肛門科通信

姫路城が好きで姫路在住の消化器・肛門科医によるクリニックのブログです。胃腸肛門の情報あり、気軽にお越し下さい。

通常通りの診療です+質問のお答え 岡崎外科 姫路の肛門科ブログ

2020-04-06 14:26:29 | 裂肛(切れ痔)
新型コロナウィルスの影響で、不要不急の外出を控えておられることと思います。引き続き無理をしないで体力を温存し、しっかり手洗いを心がけてください。

現時点で当院は通常の診療体制としております。お困りの方はこれまでどおり診察を受けにおいでください。初診の予約は必要ありません。直近の健診結果などお持ちになればさらに早く対処できる場合があります。

当院にはレントゲン設備がありませんので、肺炎の確定診断が困難であり、かつ規定の防護体制にての検体採取ができません。当院から新型コロナウイルス検査をお願いすることは、できない体制になっております。ご理解のほどお願いいたします。

さて質問いただいたのでお返事しますね。お尻の穴の大きさについてのお尋ねです。「大きさはどのくらいが普通で、人差し指が入るくらい?」とのことです(一般化してお答えしています)。
一般的な正常の大きさとしては、「その人の人差し指が2本入る大きさ」と言ってよいと思います。しかし、それは、麻酔をかけて、痛みをとって「示指2本」なのです。切れ痔があったりすると痛みがありますし、診察するだけでも痛みでキューっと締まってしまい指2本はいらない場合もよくあります。ですから、正確に広いか狭いかの判断はなかなか難しいものです。本当に狭いのか、それとも広がりが悪いのかを見分ける必要があり、これは一般の方には困難と思います。簡略的には、ゼリーを使用して大腸内視鏡が入るかどうかが一つの目安になります(内視鏡は人差し指よりも細いです!)。切れ痔を繰り返していて、肛門が狭くなっている場合、手術をするべきかどうかの基準がこの大きさになります。内視鏡が入らないと大腸癌を見逃すおそれがあるからですね。また切れ痔の場合は、治療として便秘の治療も必須ですよ。詳しく説明しますので、ぜひ受診されることをおすすめします。当院にお越しになれない場合、お近くの肛門科を探すには、日本臨床肛門病学会のサイトがよいでしょう。こちらからお近くのドクターを探せます。痛みで広がりが悪いだけなのに、肛門が狭いから手術しなくてはならないと判断されることがあるので注意が必要です。

さて当院はお城のすぐそば。今日も歩いて用事を済ませてから帰りがけにこのような景色に出会えます。お花見を我慢しておられるでしょうから、写真だけお見せしましょう。姫路城の旧中濠の西の端、埋門(うずみもん)から千姫の小径沿いに北へちょっとあるいて、車門跡への間の景色です。右側が空濠になった中濠跡、左が外堀川になります。こんなところがお散歩できるのって、いいでしょう。

「おしりラボ」みてください。
検索サイトで「じなび」で検索。jinavi.comでもアクセスできます。じなびの最初のページの右下に「教えて!ドクター」があります。ここをクリックしてご覧ください。スマホの場合は一番下におすすめコンテンツとあり、そこに「教えて!ドクター」があります。ここからもリンクしています。教えてドクターへの直リンクは「こちら」です。

「便秘のお話」YouTube ごらんいただけましたか?こちらからご覧ください。現段階でのガイドラインにそった説明をしています。一度ご覧ください。
今年も週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2019」に掲載されています。本屋さんでご覧ください。

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六甲肛門疾患研究会で発表 岡崎外科姫路の肛門科のブログ

2017-05-28 18:06:37 | 裂肛(切れ痔)
2017年5月27日(土)は、神戸市で開催された第40回六甲肛門研究会に参加して、発表を行いました。今回のテーマは、裂肛及び狭窄でした。座長は加古川田淵クリニックの田淵先生がされました。私は「当院での裂肛治療方針と成績」と題して発表をしました。常々思っていることですが、裂肛(切れ痔)の治療は「総力戦」であると言えます。女性には多い裂肛ですが、手術をしなくてはならない症例は、診断例の10パーセント以下です。大半の症例は排便コントロールを含めた保存的治療、つまり生活習慣の調整、投薬によって対応することになります。できる限り切ることなく治療し、現状維持ができる程度に持ち込むことが大切なのですね。手術治療については、方法論が議論となり充実したディスカッションができました。今回の世話人会で、今回から世話人になっていただいた大阪中央病院の斎藤先生からは、裂肛根治手術のテクニックにつき貴重な提案をいただきました。当院でも検討することにします。またニフェジピン軟膏を用いた治療(カルシウムチャネルブロッカーを用いた治療)については、当院処方で臨床研究を始めていただいている病院もあります。全国狭いもので、臨床研究の広がりを感じさせる提案もありました。本研究会での発表から、論文になった事例もあります。年に2回60人程度の参加者を集める研究会は全国的にも珍しいです。参加者も今回は東京から広島まで広範囲になりました。世話人の一人として、この研究会をさらに発展させ、少しずつでも肛門病学の進歩に寄与できるように努めたいと思いました。

写真は先週の九州鉄道記念館の保存客車チブ37の車内の様子です。明治時代の鉄道旅行の気分になれます。畳敷きの席に座ることもできました。


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ニフェジピン(NFD)軟膏の論文が刊行されました 姫路岡崎外科肛門科のブログ

2015-06-23 14:11:05 | 裂肛(切れ痔)
岡崎外科消化器肛門クリニックとして6本目の学術論文として、「ニフェジピン軟膏およびニトログリセリン軟膏を用いた裂肛治療」が、臨床肛門病学に掲載されました。写真は、タイトルと抄録の部分です。ニフェジピンやニトログリセリンによる治療は、実は直接裂肛を治しているのではありません。肛門括約筋が不必要に、余計に強く締まっている状態(=括約筋攣縮)に対する治療です。この攣縮を改善することにより、血流が良くなり、お尻が少し開くことによって、本来の治癒力により裂肛の傷が治りやすくなるのですね。日本ではしばらく前まではニトログリセリン軟膏を各肛門科で自家調剤することで対応していましたが、現在はその材料を使用することができません。それで当院では、諸外国では標準治療の一つとなっているニフェジピンによる治療を自家調剤することで良好な成績を得ていますので、今回報告となりました。日本では製剤が「ない」だけです。その辺りの事情は昨年刊行された、「肛門疾患診療ガイドライン」にも記載されています。「正しい」治療の一つには違いありません。海外では普通に使える薬が日本では「ない」という状態、つまり「ドラッグ・ラグ」は抗癌剤だけではないのですね。更にもう一つ大変なことに、この治療は保険診療と併用することができません。自由診療になります。現在混合診療が認められていませんから、法律違反にならないように、良く事情を説明して、了解の上での自由診療になりますので、ご了承ください。

もう一つニュース。2015年6月20日(土)は大阪で開かれた近畿肛門疾患懇談会に参加しました。学会発表や論文が評価されまして、今回の懇談会の世話人会において、私を世話人として推薦していただいたようです。にわかには信じられないびっくりなニュースです。これは、「もっともっと勉強しなさい」ということと受け止めて、(クリニックの運営も大変ですが!)できる限り尽力したいと思います。忙しくなりますね!


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臨床肛門病学の校正が来ました 岡崎外科 姫路肛門科のブログ

2015-05-02 17:19:08 | 裂肛(切れ痔)
近畿肛門疾患懇談会(日本大腸肛門病学会の近畿地方会に相当します)の発行する「臨床肛門病学」は、肛門科(肛門外科)領域の学術雑誌です。現在のところ日本大腸肛門病学会雑誌と臨床肛門病学のみが肛門外科領域の学術雑誌です。昨年11月近畿の懇談会と、今年2月の中四国懇談会(岡山)で発表し、今回論文とした「ニフェジピン軟膏およびニトログリセリン軟膏を用いた裂肛治療」の校正依頼がきました。論文もここまで来ると、終着間近。電車旅行なら「到着のアナウンス」が始まったタイミング。最後(荷物)のまとめと、忘れ物がないかのチェックが大切です。ゲラ刷りにチェックを入れるのは、大変だけれど、ちょっと楽しい最後の作業です。論文が発表されたら、またご紹介しますね。

裂肛治療のためのニフェジピン軟膏については、本ブログを見て頂いて、各地の病院からお問い合わせをいただいています。先日も横浜地区の日本で一番たくさん肛門科手術をしている病院から、問い合わせを受けました。論文に処方も記載してありますので、今後は本論文を見て頂いて、当院処方での利用が広がることを期待しています。もちろん現在の処方よりもさらに良い処方(調剤、製剤)を目指して行きます。


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裂肛について質問いただきました。 岡崎外科 姫路の肛門科のブログです

2015-03-28 11:42:56 | 裂肛(切れ痔)
質問いただきました。症状についての問題についてはお答えしかねますが、「東海地方でニトログリセリン軟膏を使っている医療機関」についてお答えいたします。
 以前より肛門科では、バソレーター軟膏という心臓用の軟膏を材料にしてニトログリセリン軟膏を作っていました。全国でもかなりの数が使用されていたと思われます。ところがこの材料を生産していた三和化学が供給を停止したため、現在材料は手に入りません。それで全国でも、現在新たに調剤して、処方している医療機関はないものと考えられます。
 裂肛についての情報は、本ブログの「裂肛(切れ痔)」カテゴリーをごらんください。世界的に使用されているレクトジェシック軟膏についての情報もあります。
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中四国肛門疾患懇談会で発表 姫路の岡崎外科 肛門科のブログ

2015-03-01 23:22:20 | 裂肛(切れ痔)
2015年2月28日は岡山で開かれた第64回中四国肛門疾患懇談会で発表しました。前回の懇談会で、今回座長をされる高知の小野二三雄先生(おの肛門科胃腸科外科)と愛媛の小野芳人先生(渡辺病院)からニフェジピン軟膏による裂肛治療について報告をするように宿題を頂いていました。今回「ニフェジピン軟膏による化学的括約筋切開の経験」と題して発表しました。以前から全国の肛門科でニトログリセリン軟膏により裂肛治療がおこなわれていましたが、ニトログリセリン軟膏製剤が発売中止になり、軟膏治療は減少していました。ところがこの間世界的にはニフェジピンを代表とする「カルシウム拮抗薬」による治療が進んでいたのです。今回の発表で、ニフェジピン軟膏による治療によって、ニトログリセリンとほぼ同等の治療効果が出ていることを示しました。「日本の肛門科治療を世界レベルに」というのはいささか大げさですが、そのような方向で少しずつ進めています。肛門科の学術雑誌から論文投稿を依頼されています。さて、今月も忙しくなりそうですね。
 今回の発表では座長の小野先生はじめたくさんの方から、コメント、質問、励ましをいただきました。中谷外科病院(玉野市)の中谷先生、児玉クリニック(福山市)の児玉先生、藤原胃腸肛門科外科医院(広島市)の藤原先生、増田肛門クリニック(神戸)の増田先生ありがとうございました。ヤノ肛門外科(高松市)の矢野先生とも情報交換、先日は良い統計の参考書を紹介していただきました。野上病院(大阪市)の金川先生は隣席で色々教えて頂きました。また懇親会、二次会では、中川外科胃腸科肛門科(広島市)の中川先生、チクバ外科胃腸科肛門科病院(倉敷市)の竹馬彰先生、大橋胃腸肛門科外科医院(新居浜市)の大橋先生(親子で)、森谷外科医院(岡山市)の森谷先生、冨岡先生、高木先生、そしてもちろん師匠の瀧上先生、お世話になりました。瀧上先生には、4月から姫路聖マリア病院へ就任される予定の姫路出身の治田先生をご紹介して頂きました。こうして「ひととのつながり」が増えて行くのは、とてもうれしいことと思います。
 写真は岡山駅で、新山口行きの500系こだまです。(A7 Summicron 35/2)


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近畿肛門疾患懇談会で発表「裂肛」 岡崎外科姫路の肛門科のブログ

2014-11-16 11:28:23 | 裂肛(切れ痔)
2014年11月15日はグランフロント大阪で開かれた第101回近畿肛門疾患懇談会で発表しました。「裂肛治療における化学的括約筋切開の試み」と題して、当院で手術以外の治療法としての、ニトログリセリン軟膏(開院後~約2年)とニフェジピン軟膏(2010年~)の治療成績について報告しました。ニトログリセリン軟膏製剤の発売中止により、当院ではニフェジピン細粒製剤を用いた局所用軟膏を調剤して使用しています。今回両方合わせて100例となる症例が蓄積しましたので、まとめて比較解析したものです。いずれの治療も改善率80%台を確保しており、副作用も軽微で、使用上の困難となるものはないことを示しました。先週の学会参加後に突貫工事でデータを解析しましたが、短期集中が良かったのか、頭の中もクリアな状態で発表ができました。質疑応答では、嬉しいことに黒川梅田診療所の黒川彰夫先生に、「いつも科学的に治療、評価、研究ができていて尊敬します」とまで言って頂きました。黒川先生のクリニックに見学に行かせて頂いてからもう10年になります。とてもうれしく、励みになります。ありがとうございました。
 ニフェジピンなどの軟膏による裂肛治療は世界のスタンダードになりつつあります。ただし日本では、発売認可されていませんので、医師である私が自ら調剤したものによる自由診療になります。自由診療は保険診療と併用はできませんので、当該疾患の治療については、すべて自由診療にしなくてはなりません。法律違反にならないように、きちんと仕組みや実際の流れを説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
 写真は新快速から撮影した明石海峡大橋です。先週は上空からの写真を掲載しましたので、今度は地上から。(A7 Summicron50/2 f4)

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ニトログリセリン軟膏(個人輸入)についての質問 岡崎外科肛門科ブログ

2013-09-27 13:03:05 | 裂肛(切れ痔)
「切れて痛む」のでニトログリセリン軟膏を個人輸入(といってもサイトからの購入でしょう)されたかたからの「塗り方」について質問がありました。薬物の個人輸入と使用についての法的な適否は別として、いずれにしても専門医の診断なく使われるのでしたら、お勧めできません、というかやめた方がよいです。また輸入サイトの出来も色々、翻訳などは間違っているものもあるようです。またその使用についてもアドバイスできる立場ではありません。ただ、事故防止の点から一言お話しておきます。お尻の穴のなかへ入れるのは危険です。濃度の濃いものもあり、また吸収のよい基剤のようですので、自己責任で塗るとしても、お尻の縁、あるいは周囲に塗るにとどめてください。直腸から吸収されると副作用、合併症の原因になります。ですので、かならず信頼できる専門医の診断、指導をお受けください。ご本人が切れ痔(裂肛)と思っても、違う場合があります。別の病気が隠れていることもあります。診断が裂肛で正しかった場合でも、ご本人の病状により、どこにどういうふうに塗ると良いかは違ってきます。我々はそれにあわせて塗り方の指導をおこなっています。お願いです。どうかきちんとした診断を受けてください。また便秘や下痢のコントロールは必要です。
 裂肛のくすりレクトジェシックはニトログリセリン軟膏です。日本では残念なことに保険診療で使うことはできません。すべて自由(自費)診療になります。


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切れ痔(裂肛)の治療について模型で説明 岡崎外科姫路肛門科のブログ

2013-07-10 13:54:53 | 裂肛(切れ痔)
 裂肛治療の模型です。画面右側が、潰瘍切除・肛門ポリープ切除・皮垂(見張りいぼ・外痔核)切除による「裂肛根治術」後の状態です。深い傷の部分と奥の肛門ポリープ、外の皮垂を一緒に一つの傷として切除しているのがお分かりでしょうか。一つの傷として一期に切除しますので、術後の傷が切れ痔の傷よりも大きいものになっているのがお分かりでしょう。深い傷の部分は、硬化したり、治りにくくなっている不良な組織を取り除きますから、つるつるの治りやすい傷にはなっていますが、ある意味「大きな切れ痔を作る手術」でもあるのです。この傷がうまく治らなければ、切れ痔を繰り返すこともあります。ですから、必ず排便コントロールや、不適切な排便習慣を改善してからでないと「痛いだけ」の手術になる恐れがあります。ですから、当院ではしっかりそこを調整してから手術をするようにしています。
 画面左側はこの「裂肛根治術」を古典的手法で行っているものです。振分結紮術(ふりわけけっさつじゅつ)と言われている方法で、肛門ポリープ・裂肛潰瘍部分・皮垂までを2本の糸で結紮し、一期に切るのではなく、腐らせて脱落させる方法です。振分結紮術中に糸を縛りつつあるところを模型化しています。黒い線に見えているのが糸で、真ん中の裂肛の下を既に通してあります。この方法は通常の麻酔だけでは痛みが強くてできませんので、色々な工夫が同時に必要になります。一期的に切らないので、腐って脱落したあとの傷が大変柔らかく、また術直後の大出血のリスクも軽減できますので、大変よい方法です。状況に応じて使い分けておりますので、ご相談くださいね。


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裂肛(切れ痔)について模型で説明 岡崎外科姫路の肛門科のブログ

2013-06-28 10:55:42 | 裂肛(切れ痔)
裂肛模型完成しました。今週から説明に使っています。やはり模型は分かりやすいですね。画面の下側が肛門の出口になります。肌色の部分はお尻のなか2-3cmまでつづく「皮膚」の部分です。この部位は感覚が敏感ですから、痛みを感じるところです。波状の線(歯状線=「しじょうせん」と読みます)までが皮膚でその奥の白く見える部分が移行帯上皮といって、皮膚と腸の境目に当たります。更にその奥のオレンジ色のところが腸になります。
 画面右側に「急性裂肛」を作りました。硬い便でいきむなどして、皮膚が切れるとこうなります。縦に切れているだけなので、数日間切らないようにすればこのまま治ることが多いです。画面左側が「慢性裂肛」です。急性裂肛が治りきらない間に何度も切れては治りを繰り返しているとこうなります。病院へ来られるかたはこの状態が多いです。切れる傷が深く大きくなり、炎症によって肛門の縁に「見張りいぼ」(皮垂=大きくなると外痔核)ができ、傷の奥にはくりくりとした肛門ポリープができています。裂肛は肛門の前後にできることが多く、その場合奥の内痔核が模型のように大きくなっていると、排便時やおなかに力を入れたときなどに痔核に押されて肛門ポリープが脱出することがあります。脱出する時に傷の部分を引っぱりますので、更に傷が切れて痛む様になります。戻す時も痛む様になってきます。最後は肛門ポリープが脱出したままになることもあります。さて次回以降は手術による治療をお話しましょう。


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