ロシアの学術調査団が発見した謎の物体
「南極の氷の下に鉤十字が眠っていた!!」―2012年の冬、衝撃の情報がロシア国防省が作成した報告書によってもたらされた――。
同年2月8日、巨大な氷底湖として知られる南極のボストーク湖の調査を行う「ロシア北極南極科学調査研究所」は、同国調査団が1989年に掘削を開始して以来、3800メートルを掘り進み、初めて同湖に到達したことを報じた。
しかし、そこには明らかにされていない事実もあった。掘削作業を行っていた調査チームが、3768メートルまで掘り進んだところ“ありえないモノ”を発見していたというのだ。“それ”は、水中カメラによって捉えられた「黄金のような金属で作られた鉤十字」だった。明らかに人工構造物である。その鉤十字の大きさは高さ、幅ともに100メートルに達すると推定されている。
湖水の中から黄金の鉤十字が発見されたのは、今回の発表以前、2011年11月30日のことだった。そしてこの発見の直後、情報が外部へ漏れることを恐れたロシア国防省は、現場の科学者たちに高度な暗号による通信以外を固く禁じた。その条件を満たす通信手段が確立され、専用の機器が現地に届けられるまでに、5日間を要した。この間、科学者たちは外部との連絡が全く取れないまま、恐怖と寒さの中で過ごしたのだ。
ボストーク湖の調査は、旧ソ連時代から行われてきたが、このような事態はもちろん初めてだった。
ボストーク湖は3600メートルにも及ぶ分厚い氷の下に閉じ込められた氷底湖だ。しかも、過去200万年にわたって同じ状態を保っていると考えられていて、1万年以上も大気に触れていないとも考えられている。つまり、常識的に考えれば、湖底に巨大な人工構造物が存在すること自体がありえないのである。
仮にこれが人工の構造物だとしたら湖底、さらにはその周辺にも、我々の知りえない人工構造が存在する可能性が出てくる。しかもその形状が、第2次大戦において欧米を恐怖に突き落としたあのナチス・ドイツを象徴する鉤十字であるということが、さらにその謎を深いものにしている。なぜ南極の湖底に巨大な黄金の鉤十字があるのか? その正体はいったい何なのか?
実は近年の調査によって、ボストーク湖には推定3507種の有機体のDNAが存在することが判明している。2013年には、この件について、アメリカとロシアの研究者から、相次いで研究成果が公表されている。同年3月、ロシアのペテルブルク核物理学研究所遺伝子研究室に所属するセルゲイ・ブラトは、2011年5月に採取した湖水サンプルの分析結果を発表した。発見された微生物の遺伝子の類似度が86%で、既知の地球上生物と異なっていることを明らかにした。さらに同年7月には、湖の氷床コアの分析に当たったアメリカ・オハイオ州ゴーリング・グリーン州立大学のスコット・ロジャーズ教授も、同調するような研究結果を公表している。ボストーク湖に生息するのはほとんどがバクテリアをはじめとする単細胞生物と多細胞生物だが、多くの未知なる新種生命体が含まれているという。
さらに同教授は、生物が存在しないと考えられてきた氷下の湖に有機体が存在していたことは、「生物が存在できる場所と、そうでない場所の境界についての考え方が変わる」とまで述べている。この発言はつまり、生命が存在しないと考えられている太陽系の天体にも、我々が知りえない生物が存在する可能性さえ示唆しているのだ。
これまでの多くの理論や概念を根底から覆しかねないこれらの発見だが、否定的な情報も流れている。ブラトの分析報道からわずか数日後、彼が所属する研究所の室長が、発見されたバクテリアが実験室で汚染されたものであると主張。新種のバクテリアである可能性を完全に否定したのだ。それはまるで、世間の目をボストーク湖から逸らすため、意図的に流された“ノイズ”のように見えた。
2012年9月、アメリカの探検隊が南極大陸で3つのピラミッドを発見したというニュースが流れた。公開された写真には見事な三角形の稜線を見せる地形が写っていた。
当初、失われた南極文明の発見かと騒がれたが、写真を見る限り、それらは南極特有の激しい風雨で浸食された自然の山だというのが専門家の一致した見解であった。
しかし、この報道には裏がある。なぜ、誰にでも自然の山と分かる映像を公開したのか。実は、アメリカ軍は最新の探査技術によって、すでに南極大陸に古代遺跡の存在を発見しており、それをカムフラージュするために、不可解な情報を意図的に流した可能性が高いのだ。
超常現象研究家・飛鳥昭雄氏が独自に入手した情報によると、アメリカ軍は軍事衛星南極探査プロジェクト「SMA/Scan mapping in Antarctica」の一環で、極軌道軍事衛星SARを使って、南極全土を合成開口レーダーでスキャンしている。氷下にある地形データは一部、学術的に発表されているものの、実際の解像度は、その比ではない。しかも判明しているのは地表のみならず、地下構造まで判明しているという。極秘データによると、現在、南極大陸のいたる所で明らかな人工構造物が発見されている。ここに掲げた映像は、その一部である。
外部に漏れ出た氷底湖の、謎の巨大構造物情報
ロシアの南極のボストーク基地の地下、深さ3488メートルの東南極氷床。その真下に広がるボストーク湖が発見されたのは、1960年代後半から1970年代初頭にかけてのこと。上空から氷透過レーダー調査が行われ、東経105度、南緯77度地点、氷下約4000メートルに存在することが明らかになった。同湖は南極に存在する140以上の氷底湖の中でも最大の淡水湖である。最大幅は約40キロ、最大長は約250キロ達し、その総面積は琵琶湖の20倍以上、1万4000平方キロに及ぶという。
これまでロシアを筆頭に、フランス、アメリカ、ドイツ、日本が調査に参加しており、1998年のロシア、フランス、アメリカの掘削調査では、3628メートルの地底まで到達。氷床サンプルを採取し、氷のサンプルが得られている。そして分析の結果、50万年以上前からこの巨大湖が氷下に鎮座し続けていたことが判明した。それはつまり、50万年以上前の古気候のデータ及び生命の記憶が、ボストーク湖にそのまま残されている可能性が高いことを意味する。
掘削作業に関しては、ロシアのサンクトペテルブルク核物理研究所がフロンとケロシン(灯油)を使って氷に開けた穴の崩落と周囲の氷の溶解を防ぐ方法を開発し、現場で活用している。しかし、これまでに使用されたフロンとケロシンの総重量は60トンに達し、湖水に眠る貴重なサンプルを汚染する可能性が高まっている。
このため、南極の環境汚染を懸念するアメリカやイギリスは、別の方法が実用化されるまで掘削作業の中止を強く求めていたが、不調に終わった。ロシアは他国に同調することなく、掘削作業を続行したのだ。
ボストーク湖周辺では近年、様々な事件や事象が起きている。これまでボストーク湖の現地調査を続けてきたロシアの研究グループに属する科学者たちによって、過去数年間にわたって奇妙な出来事が頻発している事実が明らかにされているのである。
実は、ボストーク湖で巨大な構造物の存在が取り沙汰されたのは、今回、情報がもたらされた鉤十字が初めてではない。2001年4月、とある軍事衛星の画像によって、同湖に人工構造物、あるいは人工装置と思われる巨大な物体が沈んでいる事実が、すでに確認されているのだ。
ボストーク湖は何万年もの間、外界から隔絶された氷底湖である。湖水に何かが沈んでいるのであれば、それは明らかに有史以前のものとしか考えられない。
ところが、この重大ニュースをアメリカは抹殺すべく素早く行動し、主流メディアは何の疑いもなくその意向に従った。だが、同国による厳しい報道管制にもかかわらず、構造物発見の直後から極秘発掘プロジェクトが開始されたという話は後を絶たなかった。ヨーロッパには、アメリカが主導する発掘作業に対し、正式な形で反対意見を表明する国もあった。
「もし問題の物体がアメリカ軍部によって建設されたものなら、その行為自体が、国際南極条約違反に当たる」
このようにアメリカを糾弾したのは、謎の構造物が発見された2001年当時、欧州議会で議長を務めていたフランスのニコル・フォンテーヌだ。彼女は続けてこうも語っている。
「アメリカ軍部が作ったものでないなら、少なくとも1万2000年前の遺物ということになる。ボストーク湖が1万2000年以上前から氷に覆われていたことを考えあわせれば、世界最古の人工構造物である可能性も出てくる。国防総省は議会の意向を考慮し、全ての情報を開示すべきだ」
だが、このような欧州議会における有力者の発言があったにもかかわらず、アメリカ政府と国防総省はこれを無視し続けた。
その一方で、アメリカは秘密裏に行動を進めていたと思われる。構造物の発見後、軍事ウォッチャーの間で、南極のアメリカ軍基地にロボット装置やアメリカ空軍が所有する原子力巨大トンネル掘削機「サブテレン C5ーA」が投入されたという噂まで飛び出した。
一連の事件だが、まずは2001年の冬、南極から強制退去させられた人が出るという異例の事態が発生する。理由は医学的なものであると判明しているが、結局その詳細が明らかにされることはなかった。
この直後、大きな地震が起きた。南極での地震は極めて珍しい。そしてその震源地は、南極大陸東部にある問題の構造物が沈んでいる地点であることが判明した。
ほどなくして、今度はボストーク基地周辺で強力な磁力異常が生じる。ところがそれは、激化した後に拡散してしまった。磁気の変動が周囲の地質と異なる金属の堆積によっても起こりうることから、当地に自然界に存在しない人工物が存在する可能性が取り沙汰されたが、ここに至っても、アメリカ軍部は何のコメントも出さなかった。
その最中の2002年11月、アメリカ、カリフォルニア州にあるテレビ番組製作会社のクルーが、南極で撮影中に行方不明になるという事件が発生する。この時、アメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズが関わる形で、捜索・救出作戦が展開された。その過程で、クルーが撮影していた映像が政府関係者の目にとまった。情報では、その映像にかねてより噂されていた、前年4月に発見された氷の下に沈む構造物の存在を裏付けるものが、映り込んでいたのである。
しかもそれは、南極の氷の下に太古の機械、しかも地球外の何者かが作り上げた可能性が高い構造物が沈んでいることを示すものだという。撮影を行っていた製作会社のウェブサイトには、次のような文面が掲載された。
「アメリカ政府は、今回の捜索・救出活動の際に発見された映像の放送を見合わせるよう要請している。この映像には、氷の下3.2キロに沈んでいる巨大な構造物に対する考古学的発掘作業の様子が映っているという」
だが、この文面が掲示されていたのはきわめて短い期間だったこともあり、大きなニュースになることはなかった。構造物発見後、9.11テロ事件が起き、アメリカとヨーロッパの主流メディアは、こぞってニューヨークとワシントンDCに注意を向けたこともあり、すでにこれは過去のニュースになっていたのだ。かくして、南極で起きた一連の事件の謎は埋もれ、忘れ去られてしまった。
南極に開いたタイムゲート
その10年後、ボストーク湖で再び不可思議な事件が起こる。2011年4月、南極大陸で天候に関する調査活動を行っていたアメリカおよびロシアの科学者からなるプロジェクト・チームのメンバーが、驚くべき現象に遭遇したという報道がなされた。それによると、共同研究プロジェクトの過程で、偶然にも回転する“時間の渦”が生まれる瞬間を目撃したというのだ。
目撃者は、アメリカの物理学者マリアン・マクレインをはじめとする科学者たち。それはオーロラを観測していた彼らの頭上に現れた。この“回転する灰色の霧”のような現象を目の当たりにした当初は、メンバーたちも皆、不定期に起きる南極の嵐に過ぎないと受け止めていたようだ。しかし、回転を続ける灰色の霧はいっこうに晴れる気配がなかった。強い風に霧が次々に飛び去ろうと、渦の位置は少しも変わらなかったのだ。
この現象に違和感を覚えた科学者たちは、検証するために温度や気圧、そして風速を計測するための機器を装着した気球を飛ばすことを決定した。
ウインチを伸ばしていくと、気球は瞬く間に上空に上がり、やがて渦の中に消えていった。
それから数分後、気球の回収作業が始まった。マクレインがすぐさま気球に取り付けた観測機器の確認作業に入る。だが、その数値を見た彼女は、機器を手にしたまま硬直した。なんと、観測機器が表示している年月日が「1965年1月27日」となっていたのだ。
もちろん、極寒の環境下による機械の誤作動も考えられた。しかしその後、同じ作業を何回繰り返しても、気球を回収する度に表示される日付は過去のものだったという。
ということは、渦の向こう側が過去の時空間と繋がっているのだろうか。実際、マクレインはそう考えたようだ。そこで、この灰色の霧の渦を極めて磁性が高いものと推測し、その磁力によって過去へと続く時間のトンネルが開かれた可能性があるとの仮説を立てた。そして、現場で起きた全ての情報と共に、アメリカ軍の情報部に報告したのである。
その結果、軍情報部によって灰色の霧の渦には「タイムゲート」というコードネームが付けられたとされている。ちなみに、この現象が起きたのは、巨大構造物が沈むボストーク湖にきわめて近い場所である。両者の間に何らかの関連性がある可能性も、十分考えられるのだ。
オーロラが舞う上空に出現した“回転する灰色の霧”の渦とは、まさにプラズマによる渦であり、プラズマ・トンネルの入口である。
南極大陸の上空に、時間のトンネルが現れる。この奇妙な現象が事実であるのなら、それは自然のなせる超常現象なのか、あるいは氷の下に沈む装置の未知のテクノロジーによって生み出されているのかは、未だ断定できない。これらを考えあわせると、やはり南極には時空さえコントロールできるほど高度なテクノロジーを有する超文明の手掛かり=入口があるのではないか。そして、その入口の先には、人類史を覆すほどの大きな秘密が隠されているのかもしれない。
マリアン・マクレインたちによる一連の調査報告は、ホワイトハウスの上層部にも報告されている。つまり、アメリカ大統領をはじめとする政府の幹部たちも、南極に“タイムゲート”が存在することを知っていることになる。だが、それらが公に語られることは決してない。それも当然のことかもしれない。タイムトンネルが自然のなせる超常現象だとしても、未知のテクノロジーによるものだとしても、時間の持つ物理的特性を解き明かす可能性を秘めていることに変わりはない。それはつまり、過去そして未来の出来事さえ自在に操るテクノロジーを獲得することを意味する。
こうした一連の事態のスケールはあまりにも大きく、そして、国家を運営する者たちにとって、あまりに重要な案件であるからだ。
最初に記したロシア国防省による報告書に関して興味深いのは、“黄金の鉤十字”という言葉が、ナチス・ドイツと関連づける形で使われていないという点だ。そもそも鉤十字に秘められた正しい意味を考えれば、この事実は重要だ。古来、黄金の鉤十字が存在してきた証拠は、紀元前400年頃の原地図を基に、1513年に編纂されたピリ・レイスの地図や、オロンテウス・フィナエウスが1531年に製作した地図にある“南極”にも示されている。
ナチス・ドイツの紋章(逆卍)に定められる前、鉤十字は“幸福”の象徴であった。
それは世界最古の紋章の一つであり、ルーツを紀元前12~13世紀頃のトロイアまで遡ることができる。
だが、何万年もの間、氷床の下にあったボストーク湖で発見されたことを考えれば、その起源はそれより遙か昔、我々の文明が誕生する以前―神話の神々の時代にまで遡る必要がある。
もしかすると、ボストーク湖の底に沈む人工構造物は、人類のルーツを解明すると共に、“ゲート”の向こうから訪れている人類とは別の存在―すなわち、地球人類と、その文明の創造に関わった“神々”の正体を解き明かす重要な情報を秘めている証拠物件となるかもしれない。今後も南極、特にボストーク湖周辺の情勢には、要注意である―。
*画像は学研「ムー」14年2月号より転載
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