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大阪の東南部に位置する人口10万ちょっとのごく普通の町、富田林。その魅力を、市民の手で発見していきます。

南河内で一番古い太神宮灯籠

2016年08月27日 | 石灯籠❤

 

 2016.8.10. 大阪狭山市池之原四丁目 

堺発、西高野街道と四天王寺発、下高野街道を結ぶ古くからの街道沿いにあります。街中の街道脇にぽつんとあります。

 

 

 銘:「太神宮夜燈」 神前型の伊勢灯籠です。

 

 銘:「宝暦十庚辰九月吉日」

銘で年号がわかる灯籠の中では、南河内地方では最古(1760年)の太神宮灯籠の一つです。それ以降、時代が下るにつれて、数多くの灯籠が、村をあげて、または伊勢講で建之(けんの)されます。

*伊勢講:特に江戸後期、庶民のお伊勢詣が流行する中で、仲間でお金を積み立てたり、共有の田んぼ(伊勢田)でお米を作ってそれを財源にしたりして、毎年順番または抽選で選ばれたものが代表で、少人数でお伊勢参りをし、仲間の代参をしました。そういう仲間の集まりを伊勢講と言います。

 

 銘:「岩室村世話中」

現在の池之原は、当時岩室村の一部でした。「世話中」は世話人仲間という意味。「村」が建之の主体であることがわかります。

 

 ボッコボッコに開いた盃状穴

これだけ、とことんあいているのは、あまり見たことがりません。

私の見た盃状穴のすごいベスト3のひとつです。

ちなみに...

☆狭間神社の水盆 大阪狭山市池尻中1丁目

☆西光寺の水盆 富田林市彼方(おちかた)

あとふたつも、ついでにご紹介しておきます。

 

 狭間神社の水盆     西光寺の水盆

 

泉州地区には、お椀ほど大きくて深い盃状穴も彫られています。

和泉市王子町 聖神社

    

 

 

言い伝えによると、安産の願いを込めて、若い女性が神社の水盆、石灯籠の基礎部分、石橋などの水平の部分に、誰にも見られないように、この盃状穴を彫ったといいます。

水平なところに彫るのは、御利益が漏れないように...

ちょうど水道の蛇口から、両手で水を受ける形です。水平にしないと水がたまりませんよね...

 

誰にも見られないようにするのは、願を掛けるときに、人に見られては、御利益が逃げてしまうからです。

お百度参りとおなじですね。人に見られないように行うことが大事とのことです。(異説もあります。)

 

江戸時代、今ほど治安がいいとは言えないにもかかわらず、若い女性が夜な夜なだれにも見られないように、安産の願いを込めて、手作業で堅い花崗岩にボッコボッコ穴を開けたのでしょうか。

こんなにたくさん穿っているのに、だれも見たことがないなんて不思議ですね。

 

 下高野街道近く、灯籠の近くの大和棟

 

 

 灯籠の近くの大和棟と田園風景

西高野街道と下高野街道を結ぶ古くからの道沿いにあります。

 

 つぎに、「宝暦十年」南河内最古の太神宮灯籠を、あと二基紹介します。

狭山神社(大阪狭山市半田)の「太神宮夜燈」

 

 寛弘寺(南河内郡河南町寛弘寺 集会所前)の「太神宮夜燈」

*この二基につきましては、後日紹介させていただきます。

 

 いわば住民や仲間たちのパワーで建之された伊勢灯籠。町の入口や皆の集まるところに作られました。

 

対照的に、神社・仏閣の常夜灯。

南河内では、もっと早い時代の江戸前期の元禄期(1688~1704)あたりからあちこちで見かけます。

 

 「元禄五年」(1692) 岩室観音院の常夜燈

 

 元禄三年(1690)の美具久留御魂神社の常夜灯。寄進によるものです。

 

 銘:「元禄三年 奉寄進 石燈籠」とあります。

 

 これも、美具久留御魂神社の常夜灯です。「水分宮(みくまりぐう)」とあります。

 

 銘:「元禄九丙子年 三月吉日」 今から320年前の1696年に建之されました。

 

 当時、富田林村(旧寺内町)で造り酒屋を営んでいた「河村彦左衛門」によって建之されました。

神社・仏閣の常夜灯の寄進は、村や講ではなく、個人が寄進した例が多く、時代も「太神宮灯籠」より古いものがあります。

 

村中にある「太神宮灯籠」、ほかに京都の「愛宕さん」(火を鎮める神様)にちなんだ「愛宕山夜燈」、香川県の「金毘羅さん」(水運の守り神)にちなんだ「金毘羅大権現夜燈」など、村の連中によって作られた灯籠は、神社仏閣に個人が建之した灯籠とは別の価値があります。

村の多くの人の力で、作られたこれらの石灯籠。「一致協力して、村を守りたい。」という意識の現れではないでしょうか。

  撮影:2016.8.10.

2016.8月27日 (HN:アブラコウモリH )

 


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2019-01-26 16:10:56
こんにちは。初めて拝見しました。
南河内で最も古い、というよりも大阪で最も古い伊勢燈籠は、河南町神山の燈籠です。
宝暦4年です。
宝暦5年のものが羽曳野市大黒にあります。
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情報ありがとうございました。 (アブラコウモリH)
2019-01-28 05:18:48
情報ありがとうございました。さっそく確認します。
返信する
Unknown (Unknown)
2019-01-28 09:05:19
因みに大阪には230基ほどありますよ。
返信する

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