遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

信心の話

2007-10-20 09:26:47 | Weblog
湯灌も納棺もご葬家にお立会いいただく前には、お体の処置をします。
鼻や口から体液など出ないようにふくみ綿
目や口が開いていたら閉じることが出来るように処置します。
病み疲れでやせ細ってしまった故人様は
“口が閉じていても歯だけが露出”
“ボッコリ落ちくぼみギラっと見開いた目”になっていることもあります。
含み綿だけでは目や口が閉じてもちょっと不自然なお顔になることもあり
(特殊メイク…オプションは)自然に出来ちゃうのですが…残念!!
多くのご葬家は「痩せちゃったから仕方がないですよね・・・」と了承して頂けますが
それまでの闘病の記憶がよみがえってきているのがわかるので
『力及ばずスミマセン』と感じます。
ですが、無事にご処置できたのに望まないご葬家もいます。
納棺に同僚と一緒に向かいご葬家に到着。
故人様目が開いていてまるで「ボー」っとこちらをみているような表情。
今、新人さんと一緒に回っていて彼女はなぜか“目に綿を入れる処置好き”なので
しっかり含み綿で閉じてもらいました。
準備が整い、ご葬家参列。
末期のお水をまず息子さんであろう喪主様にとって頂くと喪主様が
「このー目元はあのままじゃダメなんですか?」
「えっ?」喪主様意外ご葬家も全員頭におおきな“えっ?”
「さっきの目が開いていた時のほうが表情があって笑ってるみたいで良かったんだけど」
「えーーそんなの変だよー」「いやだーへんよーー」「えええっ~」と身内から一斉にかかる揶揄の声
こうゆう小さな事の積み重ねは“身内間闘争”の火種になることもあります。
ちょっと変でも誰かを悪者にしてはいけないのです。
「一般的にはご弔問の方も驚かれることもありますので
お目元もご処置でお閉じさせて頂いておりますが
“半眼半口”と申しまして仏様と同じ薄目と薄くお口元開かれているご表情は
ご成仏されている良いお顔とも昔は言われておりました。
お決め頂くのは“ご葬家の皆様で!”お願いいたします」
(以上:緊急時マニュアルより)をそっくりお話
「じゃあー開けてください!!」喪主様はドン引きのご身内を振り返らず決断
同僚が目の含み綿を取り出している最中になぜか「ダダダダっーー」と2階へ駈けて行きすぐに「ダダダダっー」と戻り
喪主様「○○尊も目が開いてますか?」
同僚A「開いてます」
喪主様「あぁじゃあ開けてください」「ああ、よかった。この方がいい」
それから髭剃りも髪をとかすのも率先して行い
綺麗に飾り付けしたはずのお顔周りの綿も“グニィィ”と揉まれクッタリしました。
喪主様以外のご葬家の皆様からは
サムーイようなイターイような空気が放たれていました。

余談ですが
TVで【有名人のお宅訪問】を見ました。
有名人とは鈴木宗雄氏の元秘書・身長2m7cm ムルアカさんです。
ムルアカさんはたしか山梨に近い田舎に住居を構えていて
天井の高さは日本サイズなので窮屈そうでした。
そして客間には小さな仏壇らしきもの
「ムルアカさん仏教徒ですか?」とレポーター
「イイエ、神さまというのは人間が勝手に作り出したものだから何でも良いんです。
 “感謝する”と言うことに意味があるのです」
ムルアカさんエライ!!








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