遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

身をもって感じる話

2007-11-23 07:20:27 | Weblog
時折、葬儀社からの依頼で「湯灌のデモンストレーションをお願いします」とのお話をいただきます。
秋や春などに葬儀社で“○○葬儀社葬祭展”なるイベントを開催することがあり
その中の催し物のひとつとして模擬湯灌を行うのです。
もちろん本物のご遺体を使うことはできないので誰かが“ご遺体役”をしなければいけないのですがその大役は男性社員にしてもらいます。


ある日のデモでご遺体役の男性社員が遅刻をしてきました。
待てど暮らせどやってこないので上司がシビレを切らし、致し方なく入社3日目の右も左もわからないど新人の男性社員に急遽ご遺体役を任命!
彼は海パンを用意していないので自前のパンツそのままでお願いしました。
「やさしくするから(!?)寝てるだけでいいから大丈夫よ!」と安心?させるつもりで言ったのですがやはり緊張したらしくなかなかの硬直っぷりで良いご遺体役をはたしてくれました。


デモをやって思うのは“生きている人の軽さ”です。
ご遺体と生きている人では同じ重さであっても亡くなった人のほうがずっと重たく感じます。
「ご遺体の冷たさ」は日常のこの仕事でもうなれっこなのですが「重さ」というものにはハッとさせられるものです。


納棺のデモというのもあります。
その時のご遺体役は私がさせてもらいました。
お棺はだいたい6尺(約1m80)くらいの平均的なお棺です。
いつもは納棺する側で入る機会はなかなかないのですが、その感想としては・・・
ワタシは「熱い」でした。
一応!中肉中背で太ってはいない(ハズ)ですが割りと体にフィットした気分になり
顔周りを綿花で飾りつけされ、それがなんとも圧迫感というか?綿が痒くて熱いとボーっとしてくるいうか…。
『痒いなぁ~』なんて思いつつも『ワタシはご遺体。静かに死んでるの』と
役目に徹底していた姿があまりにもうまくできていたのか?
「なんだこの故人様は穏やかな顔してるなぁ~寝てるんじゃないの?」という葬儀屋さんのチャチャが入りあせった上司が「礼子さん?」と一声
暑くてボーっとし、音もボワン~と聞こえて返事できなかった私に上司はあせり
「礼子さん!!起きてる?!」とちょっと引きつらせてしまいました(ゴメンナサイ)


最近入社した新人さん、大変好奇心旺盛で彼女は自ら「お棺に入ってみたいです!」と、たっての希望で体験納棺したそうです。
彼女いわく「なかなか寝心地良かったです。ワタシは○○棺がいいです」と言っておりました。
お棺も湯灌の体験もこの仕事をしていないと“お試し”はできないので故人様は自分の好みは考慮されません。
生前予約じゃないですけどこだわりのある方は生きているうちに希望を伝えておいたほうが良いのかも?しれませんね。






遺体処置・エンゼルケア・湯灌サービス
ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-11-23 11:14:39
なるほど。お試し入棺ですか。
この仕事ならではの話で、とっても面白く読ませていただきました。
返信する
確かに重かった。 (愛読者)
2007-11-23 11:25:25
数年前に父が亡くなり、納棺の際、白い衣装(?)を片足に着けたのですが、今でもその体の重みを覚えています。冷たく固い事も合わさって父に触れている感覚があまり無かったです。

大変なお仕事ですが、これからも頑張ってください!
返信する
Unknown (Unknown)
2007-11-24 23:29:51
まさに業界裏話ですね。
お棺もそれぞれ寝心地が違うとは驚きました。
返信する

コメントを投稿