遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

混雑に付き・・・の話

2008-02-10 11:57:20 | Weblog
昨年のクリスマスの連休後から今年の年明けにかけて、亡くなるヒトが大変多いです。
私事ですが11日連続出勤、大晦日も元旦も故人様と一緒でした。
でもそれが私たちのお仕事なので、ヘロヘロでしたががんばらせて頂きました。

12月30日に湯灌の対応をさせていただいた故人様がいました。
亡くなられてすでに2日過ぎています。
大柄な故人様ですが状態は良好でお体の痛んでいる箇所はありません。
ちょうどお正月休みの連休が始まりだしたからでしょうか?
ご親戚が納棺式の為に沢山集まっています。
『おじいちゃんと一緒にお正月越せる事ができるかしら?』
ご家族も皆さんきっとそう思ったに違いありません。
皆さん一様に深く落胆されていました。

ところが!故人様のお葬儀は年を越えた1月7日です。
亡くなられてから10日後なのです。
なぜかというと・・・火葬場がいっぱいで“順番待ち”になってしまったからです。
年末にかけて一気に沢山の人が亡くなりすぎて東京都内の火葬上はどこも“満員御礼”なのです。
火葬上の霊安室にはお棺が入る大きな冷蔵庫があったり
冷蔵庫の他に2階建てのお棺を置く棚があったりもするのですが
そこへ安置しきれない方は空いているスペースにパーテーションで隠しつつ隅に並べられています。
例の故人様は冷蔵庫に入る事が出来ました。

「通夜までの間に3回手直しに入ってください」葬儀屋さんからそう言われました。
会社でその連絡を受けた時「3回って多くないかい?」と皆で頭をひねったのですが
一応ご要望なのでほぼ3日に一回の間隔でお直しとドライアイスの交換に伺いました。
1回目・・・問題なし
2回目・・・カチンコチンに凍結、カサブタが出てきています。
3回目・・・鼻から漏れた体液が鼻水のように頬に垂れて凍っています!!!
『ええっ(><)って見るたびに状態が悪くなっている?』
凍りすぎて悪くなってしまった以外のなにものでもありません。
体内の水分が凍って容積が増え、含み綿で抑えきれず流れ出てしまったのでしょう。
おでこと眉間はピンク色になり、なんだか盛り上がり皮がむけて所々赤くなっています。
「寒かったね~おじいちゃーん」と思いつつお直しさせていただきました。

幾ら大柄な方と言え冬場のドライアイス攻めはほどほどにしなければ!と肝に銘じました。
ちなみにもうお一人同時に3回手お直しを賜っていた自宅安置の故人様がいましたが
そちらは冷蔵庫に入っていないので何事もなく綺麗だったそうです。
明日は1週間前にメイクさせていただいた方のお直しに伺います。
年末年始は“旅立ちの季節”のようです。





遺体処置・エンゼルケア・湯灌サービス
ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。

2 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-02-16 04:48:51
鼻水だなんて、まるで生きている人みたい。
お葬式で見るご遺体の顔は、蝋のように真っ白ながらも端正な感じであることが多いですが、それは普通にしておいてそうなるものではないのですね。
遺体の尊厳を保つって難しいことなんだなと思いました。同時に尊厳を保っている遺体の背後には、生きている人の陰ながらの努力や配慮があることもわかった気がします。


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はじめまして (asanuno83)
2010-06-05 03:56:58
湯灌師を志している者です。

湯灌師の職に就くには、
どうすれば良いのかを調べていて、
こちらを発見し、拝読しました。

勉強になる内容ばかりでしたので、
お礼を言いたくなり、
コメントさせて頂きました。

ためになる経験談、
本当に感謝しております。

私の湯灌師への道のりは遠いですが、
先輩のブログを愛読し、
志を強くしていけたらと思っております。

では、長文失礼しました。
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