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スピルバーグと映画大好き人間、この指とまれ!

カフェには、映画が抜群に良く似合います。
大好きなスピルバーグとカフェ、アメリカ映画中心の映画エッセイ、
身辺雑記。

「スピルバーグの人脈」~キャスリン・ケネディ~

2008-05-01 05:33:15 | 連載コラム~スピルバーグ~

 キャスリン・ケネディ

 製作のキャスリン・ケネディ。スピルバーグ組唯一の女性スタッフの重鎮である。「未知との遭遇」を見て感動し、サンディエゴのテレビ局のプロデュサーの仕事を捨ててスピルバーグ・チームの一員になる。

 最初は、スピルバーグの秘書からスタートしたがスピルバーグ言わく「キャシーは、タイプが出来ないし速記もダメ、お茶もこぼしてしまう秘書としては最低なんでびっくりした。でも、彼女は抜群のアイデアとセンスを持っているんだ。それで、僕のアシスタントにしようと思った」とのこと。彼女が初めて製作に携わったのは「1941」でこの時はジョン・ミリアスの助手。その後、彼女のアイデアとセンスが評価され「レイダース/失われたアーク」「ポルターガイスト」で製作補を務める。そして、「E.T」でスピルバーグと共同製作をする。1984年にスピルバーグと共にアンブリン・エンターテイメント設立。その後は、「グレムリン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ「カラーパープル」「太陽の帝国」「マネー・ピット」「インナースペース」「オールウェイズ」「ジュラシック・パーク」「シンドラーのリスト」「シックス・センス」「宇宙戦争」などを手がける。

 「宇宙戦争」のジャパンプレミアで来日したことがあるが、明るく活動的な印象を受けたが、そんな人柄がスピルバーグを魅了しているかもしれない。また、彼女は、学生時代はバスケット選手だったそうだ。

 参考文献:『スティーブン・スピルバーグ・ストーリー』1983年Tony Crawleyの著作の翻訳を中心としたもの(旺文社)

 


「スピルバーグの人脈」~マイケル・カーン~

2008-04-30 05:43:42 | 連載コラム~スピルバーグ~

 マイケル・カーン

 編集のマイケル・カーン。「未知との遭遇」で初めてスピルバーグと組んだ編集者でこの作品でアカデミー賞にノミネートされる。「1941」「レイダース/失われたアーク」でアカデミー賞受賞。

 19歳の時にテレビ局の編集助手についたのをきっかけに編集畑一筋。ジョージ・C・スコットが監督した「Rage」が最初の作品。その後は、「アイス・キャッスル」。スピルバーグの作品では「シンドラーのリスト」と「プライベート・ライアン」で再度アカデミー賞を受賞。その他のアカデミー賞ノミネート作品は、スピルバーグの「太陽の帝国」。その他には、「危険な情事」がある。

 ジョン・ウィリアムズ同様スピルバーグのほぼ全ての作品を手掛ける。編集の仕事は、撮影が終了してから始まる地味な作業だが、スピルバーグが撮った映像を生かすも殺すもフィルムの繋ぎ合わせ方に懸かっている。どういう順番でフィルムを繋げるか?それによって迫力ある映像、リズミカルな映像、シリアスな題材ならどしっと地に足のついた落ち着きのある映像が出来上がるが、マイケル・カーンの編集はいつ見ても素晴らしい。マイケル・カーンは言う「編集は、理屈ではなくてフィーリングだ。」映画は、フィルムの積み重ねである。その原点は、編集にある。

 ところで、スピルバーグはいつも編集にもたずさわっているが、彼言わく、「実は、マイケル・カーンと編集室内でフィルムを眺めている時が一番幸せな時」と語っている。

 参考文献:『スティーブン・スピルバーグ・ストーリー』1983年Tony Crawleyの著作の翻訳を中心としたもの(旺文社)

 

 


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-04-29 05:38:51 | 連載コラム~スピルバーグ~

 

 ジョン・ウィリアムズ~スピルバーグとのコラボ作品~

 『宇宙戦争』。前作『ターミナル』と同様に今回もジョンの音楽が素晴らしい。ぜひサントラを聴いて欲しい。印象に残る曲を紹介しよう。「プロローグ」。シンセサイザーを多用し、未知の大宇宙を表現する効果音に続き邪悪な宇宙人の襲来を予感させる。「フェリー」。ブラスがうなり女性コーラスが加わり群衆がフェリーに逃げ込む様子を表している。「分かれ道」。教会崩壊、交差点でトライポッドが初めて出現するシーンにかかる。ブラスとコントラバスが鳴りそれにティンパニーと女性コーラスが混成する。そして、特に印象的なのがレーザー光線で人々が殺されるところで遠くから急に近くで鋭いスピード音が聴こえる。「レイとレイチェル」。闘いの中の暫しの休息を感じさせる。「避難」。レイとレイチェル、そして、ロビーが車に乗り込んで西へ向かってトライポッドの攻撃から逃げるシーンにかかる曲で、とてもスピード感のあるスコア。ハイウェイを走るレイを始め多くの人々が車で逃げる様子を盛り上げている。「地下室」。エイリアン登場シーンにかかる。曲調は、ゆったりしている前衛的なオーケストレーションで恐怖を感じさせる。「オグルビーとの対決」。特に曲の後半からブラスが高らかに鳴り出しティンパニーが続きトライポッドとレイの対決するシーンを迫力あるものにしている。「ボストンへ」。奇蹟が起こるシーンでかかるジョンの特徴であるマーチ風の曲が流れる。カッコイイ。それは、「ジョーズ」の最後の闘いのシーンにかかる曲を彷彿させる。

 『ミュンヘン』。ジョン・ウィリアムズの心臓がバクバクするようなスコア、平和への願い・平凡な人間のささやかな幸せや悲しみを兼ね備えたスコアが素晴らしく特にテーマ曲である「平和への祈り」の弦楽器が印象に残る。


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-04-26 06:34:15 | 連載コラム~スピルバーグ~

 

ジョン・ウィリアムズ~スピルバーグとのコラボ作品~

 「A.I.」。バックに流れるジョンの音楽、特に「フォー・オールウェイズ」が素晴らしい。愛は、永遠にいつまでも続くと信じることの大切さを感じさせてくれる曲。それは、ロボットと人間の間においても。そして、コミュニケーションのとりかた、つまり、愛情を注げばその愛はいつか報われる。また、愛されたければ受身でいるのではなく愛そうとする対象にむかって愛を捧げなければその愛は実を結ばないことを教えてくれる。この曲に歌詞がついて歌われるものが映画の最後に流れるが、これがまた感動的だ。デビッド・フォスターのプロデュースの元、カナダの世界的なシンガーソングライターのララ・ファビンとオペラ歌手のジョジョ・グローバンのデュエットだ。

 「マイノリティ・リポート」。ジョンの音楽がこの作品でも光輝いている。エンディングにかかる曲は、マーラーふうであるが息子を失ってしまった哀しみは、一生消えないが別れた妻とよりを戻すシーンにかかるジョンの希望に満ちた素晴らしい曲。慰めと希望を感じる曲。また、アクションシーンの音楽が素晴らしい。特に印象に残るのはジョンが未来に起こる犯罪を事前に予知し犯人を捕まえに現場へ直行するシーンにかかる曲、ジョンが未来の犯罪者になることが予知されて同僚たちから追われ闘うシーンにかかる曲、そして、自動車生産工場を舞台に司法省のダニーを演じるコリン・ファレルと闘うシーンにかかる曲がすごい。

 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」。バックにはジョンのジャズ調の曲が流れる。いかにも60年代風の雰囲気が出でいていい。特に印象的なのは、冒頭に流れるサクソフォンをメインの楽器にした曲で、指パッチンも合間に採り入れたコミカルな追跡劇を上手く表現している。その他にも既成曲の効果的な使用が上手い。特に印象的なのは、LAのホテルにフランクが乗り込む場面でかかるボサノヴァの名曲「イパネマの娘」、パンナムのパイロットになりすましてフランクが、マイアミ国際空港から逃げる場面でかかるフランク・シナトラの「カム・フライ・ウィズ・ミー」は、陽気でうきうき気分にさせてくれる。

 「ターミナル」。映画を見ればどの曲も強く印象に残る素晴らしいスコアだ。スピルバーグとのコラボレーションの中でも「ジョーズ」や「E.T」のように一度聴いたら忘れられないメロディーラインだ。サウンド・トラック購入をお薦めする。中でも特に映像とマッチしていて感動したものを列挙すると、4曲目の「Viktor AND His Friends」。これは、Viktor Navorskiのテーマ曲をアップテンポにしたもので唯一のアクションスコアだ。ターミナルの仲間たちがビクターに友情の印として彼を空港から外へ脱出させようとするシーンにかかる。そして、13曲目の「“Destiny”・・・“Canneloni AND The Tale Of Viktor Navorski Reprise」。この曲は、映画の最後の方でビクターが、なぜニューヨークに来たのか?それは、亡き父との約束を果たすために来たことが判明するのだが、忘れられない美しい旋律をもったスコアだ。

                                 次回へ続く!

  

  

 


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-04-25 06:50:34 | 連載コラム~スピルバーグ~
ジョン・ウィリアムズ~スピルバーグとのコラボ作品~

 「オールウェーズ」。秋の夜長に聴くのにマッチしている地味だが、非常に心地良いスコア。特にシンセサイザーとピアノの楽器の音色が魅力的。一番印象に残るのは「ドリンダの単独飛行」という曲でホルンの音色が素晴らしい。

 「フック」。冒険活劇満載の曲が魅力で、ウィリアムズの好きな作曲家のコルンゴルド(「海賊ブラッド」「シー・ホーク」「ロビン・フッド」で有名)のスコアを復活させた。スピルバーグは、この映画に関して「ジョンと僕はファンタジー映画を作りたいと思っていました。僕たちは、その準備としていろいろと調べました。ミュージカル・シアターにも足を運び、オペレッタも見たりもした。また、それらの台本にも目を通したのです。ジョンは、47分間の編集したフィルムしか観ることができなかったのです。今までのジョンとの共同制作の11本では理想的なコンディションのものは1本もありませんでした。言葉をこえる音楽の力に圧倒される」と語っている。

 「ジュラシック・パーク」。スピルバーグとは、ウィリアムズはどんな恐竜たちがいるのかというイメージだけでどういう音楽にするか話し合ったとのこと。そして、音楽の打ち合わせは次回作の「シンドラーのリスト」の撮影でスピルバーグがポーランドにいたので衛星回線で行った。「ジュラシック・パークのテーマ」は、パークへジェットヘリで向かう時に流れるトランペットやホルンが演奏されるもので自然の厳しさや冒険心を掻き立てる曲。その他にもブラキオサウルスに遭遇するときにかかるストリングスの曲、冒頭でラプトルが檻で監視員を襲うシーンやラプトルが子どもたちをキッチンで追いかけ回すシーンにかかる恐怖の曲、そして、ラストシーンでピアノでパークのテーマが流れる曲など印象に残る曲が満載だ。

 「シンドラーのリスト」。スピルバーグがオスカー受賞し、ウィリアムズも受賞した記念すべき作品。テーマ曲は、バイオリンを中心にしたもの。ウィリアムズ言わく「録音はボストン・シンフォニー・ホールで行い、スティーブンも来て気に入ってくれた。古めかしいものを目指したのです。テーマ自体が重かったので作曲が難しかった」とのこと。

 「ロスト・ワールド」。ラテン・パーカションを多用したジャングル音楽で、特に素晴らしいのがテーマ曲でティンパニーで始まるスピード感溢れる曲。

 「アミスタッド」。アフリカ的なものとアメリカ的な要素が詰まったスコア。

「プライベート・ライアン」。音楽を最小限に抑えた曲作りを目指した。戦没者たちへのレクイエムを表現するトランペットとホルンの音色が印象に残る。

※参考文献(「スター・ウォーズを鳴らした巨匠ジョン・ウィリアムズ/

神尾保行著 音楽之友社刊 2000年)

                           次回へ続く!


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-04-19 06:54:50 | 連載コラム~スピルバーグ~

ジョン・ウィリアムズ~スピルバーグとのコラボ作品~

 「E.T」。ウィリアムズが4度目のオスカーを受賞した作品で、テーマ曲を始めとしてストリングスが印象的で特にフルートやチェレスタを多用していて心温まるスコアが素晴らしい。そして、私が、一番好きな曲は、サントラの最後に収録されている「E.T.脱出作戦~さよならエリオット」である。この曲は、マイケルとエリオットが、クライマックスでNASAや警官の車の追跡から自転者で逃げるシーンからラストまでを演出する時間にして10分にも及ぶ壮大なもので迫力がある。弦楽器が、自転者の車輪が激しく回転する様子を見事に表現している。ジョンは「素晴らしい映画ですよ。愛があって。音楽的要素に溢れているので音楽には最適な映画でしたよ」と語っている。

 「インディ・ジョーズ/魔宮の伝説」。オープニングシーンに流れる既成曲の「エニシング・ゴウーズ」を見事にアレンジしたスコアや宮殿の地下で行われる生贄の儀式のコーラス曲は恐怖漂う。そして、私が好きな曲は「ショート・ラウンドのテーマ」、「トロッコ・チェイス」、「フィナーレとエンド・クレジット」。特に「フィナーレとエンド・クレジット」は、インディ・ジョーンズ3部作のフィナーレの曲のなかで音質と構成が一番好き。それもそのはずロサンゼル・フィルハーモニックが演奏している。

 「太陽の帝国」。ウィリアムズにとってスピルバーグがシリアス路線へ転換した注目作品で、群衆の中で両親と別れるジム少年のシーンにかかる「上海の大通り」はブラス、木管、ピアノが連打される迫力ある音楽、また、サントラの「大空のキャディラック」は神秘的なコーラスが印象的。私が好きな曲は、「おもちゃの飛行機」。これは、ピアノを主体にしたバラードで、飛行機好きなジム少年とスピルバーグの姿が目に浮かぶ素晴らしい曲、しかも私の中では、「太陽の帝国」のことを思い出す時には、必ず真っ先に浮かぶので、テーマ曲的存在である。「そして、特筆すべきは日本軍が登場する作品であったため尺八を使用した曲を書いていることだ。

 「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」。印象的なスコアは、サントラの「聖杯」と「鋼鉄の野獣」だ。「聖杯」は、インディとヘンリーの親子の絆をテーマにしたもの。「鋼鉄の野獣」は、ドイツ軍戦車とインディたちのアクションシーンにかかる。

※参考文献(「スター・ウォーズを鳴らした巨匠ジョン・ウィリアムズ/

神尾保行著 音楽之友社刊 2000年)

                           次回へ続く!

 


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-03-30 07:43:42 | 連載コラム~スピルバーグ~

 ジョン・ウィリアムズ ~スピルバーグとのコラボ作品~

 「続.激突!カージャック」。スピルバーグ、劇場映画デビュー作。この作品からスピルバーグとのコラボレーションが始まった。ウィリアムズ言わく「スティーブンは、初め私にシンフォニーを書いてもらいたかったようなのです。しかし、この映画には穏やかな音楽の方がふさわしくバイオリンが数丁にハーモニカがいいと言ったのです。」とウィリアムズ。ところが、スピルバーグは「本当は楽器を八十ぐらいは欲しかったんだ。それとストラヴィンスキーみたいな指揮もねだったけどジョンは、僕を説得してその考えを思いとどまらせたんだ。その時から僕らのいい関係が生まれたのさ」。お互いを尊敬し譲歩する気持ちが伺える。テーマ曲は、ハーモニカを使用し哀愁を帯びた曲。このテーマ曲が場面に合わせて効果的に絶妙にアレンジされている。ハーモニカを吹いているのは世界的な名手トーォツ・シールマン。彼を若き日のスピルバーグとジョンが起用していることに驚いた。特に私は、パトカーをカージャックして颯爽と?アメリカの田舎道を軽快に走り抜ける曲が大好きだ。

いかにもロードムービーの香りが感じられる。

また、パトカーが大追跡するシーンのティンパニーが鳴り響きスコアも印象に残る。

 

 

「ジョーズ」。大ヒット作。スピルバーグをスター監督にした作品。ウィリアムズ初のアカデミーオリジナル作曲賞受賞した記念すべき映画。ウィリアムズ言わく「初めてジョーズを観た時にアクション、アドベンチャー系のスコアが要求されるだろうということは、はっきりとわかりました」と語っているだけあってブラスが激しく唸り、バロック風のフーガのようなスコアが印象に残った。また、サントラのライナー・ノートにスピルバーグはウィリアムズに次のように賛辞を贈っている。「「シー・ホーク」のコンゴルドのように、また、「サイコ」のバーナード・ハーマンのようにジョンは「ジョーズ」で我々の映画をよりハラハラさせるものに作り上げた。そうして、それは私の考えていたよりも遥かに人の心や興味をつかむものになったのである。映画音楽の愛好家の1人として私は、ディミトリー・ティオムキンの「ナバロンの要塞」以来このような幸福感!?を味わったことはない」。

 今でもメインテーマは、テレビ等で怖いシーンやサメの特集番組ではかかることが多い名曲。全編素晴らしい曲がかかるが、私が特に好きなのは3つである。まず、ブロディ署長、フーパー、そして、クイントがサメ退治に出発する曲。3人の男たちがサメ退治に向かう不安と子供のような冒険心溢れるシーンを演出している。次は、サメ退治に出かけた3人が初めて体長7メートルの巨大なホージロザメと遭遇するシーンにかかる曲。迫力満点のスコアだ。そして、ブロディ署長が1対1でサメと闘うシーンにかかる曲。この曲の良さは、「ジョーズ」のコーナーでも書いたが読んでいない方もいるかもしれないので再度、紹介する。ジョンのスコアは、有名になったサメの登場シーンにかかる「ジョーズ」のテーマとアクション音楽を見事にブレンドしたものでサメの恐怖と敢然と立ち向かうブロディ署長の活躍に大きく貢献している。

 「未知との遭遇」。前衛的な手法が取り入れられた珍しい作品でジョン本人言わく1番好きな作品とのこと。この音楽については、一年前からウィリアムズとスピルバーグは話し合いの場がもたれた。あの5音階の有名な曲は、「シグナル」として考えられたものでレ・ミ・ド・ソ・ドである。

 LPレコード発売時に掲載されたスピルバーグのコメントは「ジョンは未完成の脚本から来る印象と私との間で週二回もっていた夕食時の会話をベースに『未知との遭遇』が完成する二年前から実際に曲のアイデアに取りかかっていたのだ。多くの場合、ジョンが先に曲を書き、そのかなりあとにその曲に合わせて私が場面を撮っていった。『未知との遭遇』のラスト35分を飾る複雑な特殊撮影のおかげで、その特撮が完成し挿入されるまでの数ヶ月間、ジョンは映画の空白の部分に音楽をつけなければならなかった。これは、私たち二人にとって冒険だったけれども、そのことがジョンの作曲に自由さをもたらした。私が映画の最後の部分の曲に対しての具体的な映像を創り出していく力を与えてくれたのだった。」

「続.激突!カージャック」の時とは、反対にスピルバーグのアイデアをジョンは、最優先して曲をつくった。また、ジョンは、通常、撮影された映像を見て作曲することがほとんどだが、この作品は、その逆の方法で作曲したものとして記憶に残る。

 

 「1941」。ジョンが得意とするマーチ調のテーマ曲が特に素晴らしい。しかも所々にコミカルな曲調を交えているのが面白い。私などは、子供と戦いごっこをする時などは、時としてハミングしているほどだ。

また、ダンスクラブで繰り広げられるスイングジャズ風のスコアや水兵と陸軍兵が殴り合うスペクタクルな暴動のシーンのスコアも魅力的で、ダンスと乱闘の両方の曲をシンクロナイズさせているスコアが印象に残る。

 「レイダース/失われたアーク」。冒険活劇の復活を感じさせるわくわくさせるスコアが素晴らしい。ジョン言わく「この仕事をやっている間中、我々は楽しく過ごしました。録音はロンドンでやっていたんですが、スティーブンは、ジョージ・ルーカス、キャシー・ケネディ、フランク・マーシャルと一緒に現地に来ていましてね。皆でこの仕事を大いに楽しんだと言わなくては嘘になるでしょうね」また、スピルバーグはこのテーマ曲の狙いについて次のように語っている。「ジョンと僕は、劇場を出るときに、口笛を吹きながら歩いていけるようなマーチ風のものを考えていたんだ」。ところで、この映画の中で1番印象に残るスコアは、やはりサントラに収録されている「砂漠の追跡」だろう。この曲は、ブラスとストリングスを中心にして構成されている。この曲作りについて、ジョンは「バレエ音楽的なアプローチをとる。ミュージカルのナンバーみたいに導入部、中間部があって最終部がある。私は一連のテンポとテンポの変化を前もって計算しておくようにするんです」と。

 シンプルなものほど作曲するのが、難しいとよく音楽家の方は、言われるが、まさにこの勇敢なインディ・ジョーンズのテーマ曲もシンプルな曲調だが、これを生み出したジョンの才能と努力に脱帽する。誰もがハミングできる記憶に残るものとなった。また、このテーマ曲の中間部に流れる愛のテーマは、カレン・アレン扮するマリオンのテーマ曲として美しい旋律を持ったものとしてとても魅力的である。さらに、インディの続編として今年の夏に世界中で公開される『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』でもカレン・アレンがマリオンとして出演しているのでこのテーマ曲を劇場で聴けるのも感慨ものがり楽しみだ。

※参考文献(「スター・ウォーズを鳴らした巨匠ジョン・ウィリアムズ/

神尾保行著 音楽之友社刊 2000年)

                            次回へ続く!

 


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-03-29 06:17:00 | 連載コラム~スピルバーグ~

 ジョン・ウィリアムズ ~ジョン・ウィリアムズと私~

 (写真は、JWFCホームページより)

 ところで、ここでどうしても私のウィリアムズに対する熱いファンの思いを少し語りたい。

 70年代の大型映画、SF映画のブームの到来とともにこれに応えるようなダイナミックでスケールの大きいスコアを書き始め、どの作品を見ても大なり小なりはあるが、必ずその作曲姿勢がうかがえるからファンになったきっかけは、スティーブ・マックインーンの「タワーリング・インフェルノ」だった。そして、決定打がスピルバーグの「ジョーズ」だ。一番好きな作品であり、これはアクション・アドベンチャー系の音楽で意気消沈したときに聴くと心を奮いたたせてくれる。また、スピルバーグの顔、特に元気よく演出している顔が目に浮かぶので好きである。また、「レイダース/失われたアーク」は、口笛を吹きながら街を歩いてゆけるマーチ、そして、自分への励まし、さわやかな命を与えてくれるのでこれも好き。

 因みに私のベスト5は、1.「ジョーズ」2.「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」3.「レイダース/失われたアーク」4.「スーパーマン」5. 「タワーリング・インフェルノ」。また、ジョン・ウィリアムズの公式ファクラブに加入している関係で以前に日本とアメリカで会っているので、その時のエッセイをここに紹介しょうと思う。

 まずは、ボストン・ポップス来日公演(1993年6月)

 今回は、J・ウィリアムズは常任指揮者として最後の公演となった。わたしにとっては、最初にして最後に見ることができたので、とても思い出に残るコンサートだった。その上、なんと本人にじかに会って、サインまで頂いたのだから。(特に印象に残っているのが、「ジョーズ」のサントラとパンフレットにサインをしてもらったこと)

 そして、二度目はハリウッド・ボウル(野外音楽堂として有名)で八月に彼の指揮によるロサンゼルス・フィルハーモニック公演においてであった。コンサートは八時半から始まった。収容人員二万人の席は、ほぼ満席。何といっても大感激したのが、彼の自作のオン・パレードと最後のアンコール曲。どれも私の大のお気に入りの曲ばかり。まずは「スーパーマン」からマーチ。映画のオープニングシーンが甦り、スーパーマンと共にハリウッドの夜空を飛んでいる感じがした。次はスピルバーグ作品が続く。「ジュラシック・パーク」からテーマ。「未知との遭遇」からハイライツ。そして、「フック」からネヴァーランドへの旅立ち。

中でも「ジュラシック・パーク」が印象に残った。スピルバーグの映画も久しぶりに大ヒットしてくれたし、私もその出来に大満足だったので。それから、「未知との遭遇」今にもマザー・シップが降りてくる雰囲気がした。そして、やはり「ジョーズ」が最高に素晴しかった。映画全編が甦ったほどだった。しかも、初めて生で聞けただけに喜びも大きかった。また、ウィリアムズのダイナミックでスケールの大きいタクトぶりに大感動した。

その後「スター・ウォーズ」から組曲としてダースベーダーのマーチ、レイア姫のテーマ、王座の間とエンドタイトルで自作曲を締めた。特に、最後の王座の間とエンドタイトルが感動的で、一作目のラストシーンが、ここハリウッドボウルのステージで再現されていると錯覚してしまうほどだった。アンコールの最後の曲となった「インディー・ジョーンズのテーマ」は、コンサート中一番盛り上がりを見せた。演奏が終わると、観客のほとんどがスタンディングオベーションをした。もちろん私も。もう、本当にハリウッドの満天の星空の下で聴くウィリアムズサウンドは最高。

コンサート終了後、ウィリアムズの楽屋を訪れることができた。会うと、笑顔で迎えてくれて、気軽に握手をしてくれた。今夜のコンサートが非常に素晴らしかったことを話すと喜んでくれた。その後、何と彼の奥さんに会うことが出来た。最後に日本から買ってきたプレゼントを手渡すと、喜んで受け取ってくれて、お返しに「ジュラシックパーク」のパンフレットとサントラにサインをしてくれた。

 今回、幸運にも日本とアメリカでウィリアムズに会えたが、特に笑顔の素敵な暖かみのある、気さくな紳士という印象をうけた。また、この2つのコンサートでいっしょに写真にうってくれたことも楽しい思い出となつてる。

 次回は、いよいよスピルバーグとウィリアムズのコラボレート作品について書きます。


「スピルバーグの人脈」~ジョン・ウィリアムズ~

2008-03-25 06:23:49 | 連載コラム~スピルバーグ~

 ここでは、黒澤明監督に代表される黒澤組スタッフ・キャストのように彼を尊敬するスピルバーグも気心の知れた仕事仲間を起用する。順を追って紹介していこう。 

 ジョン・ウィリアズ(画像は、ソニークラシカルから発売された「スピルバーグの世界」より)

 スピルバーグを語る上で欠くことが出来ない人、公私ともに友人で忘れてはならない人物として最初に取り上げなければならないのが、映画音楽作曲家のジョン・ウィリアムズである。何せ、彼とのコラボ作品は、彼の劇場デビュー作「続、激突!カージャック」から「ミュンヘン」までほとんどの作品が、ウィリアムズ作曲である。年数にすると33年間である。スピルバーグも「彼との付き合いは、僕の結婚生活よりも長いんだから」と微笑ましく語っているほどだ。

 1973年、ウィリアムズは、映画、テレビでユニバーサルの仕事を数年していた。そこの専属の監督としてテレビをてがけていたスピルバーグをある人物が紹介したのが始まり。また、もともとスピルバーグは、私と同じくサントラ盤のコレクター(このことを知ったときは、すごく嬉しかったなあ)で、1950年ジョージ・パル製作SF「月世界征服」のサントラをはじめとして数百枚集めるほどであった。そして、彼は、監督になる前からウィリアムズのファンでちょうど前の週に買ってきた「華麗なる週末」のサントラを繰り返し聴きながら大学で製作中の自分の短編映画の第二稿の脚本を書いていた。そのシンフォニックで洗練されたオーケストレーションに魅了されて、いつかウィリアムズに会ってみようと決心したそうだ。「続、激突!カージャック」にウィリアムズに曲をつけて欲しいと願いでたところ、彼は、心よく引き受けてくれた。曲は、ハーモニカを中心とした穏やかなもの。スピルバーグこの頃、20代前半。 

 ここからは、「E.T」公開時のアメリカのテレビ・インタビューをそのまま紹介する。なお、インタビューが行われた場所は、ウィリアムズの自宅である。「ジョンの二つの作品、ジョン・ウェインの『11人のカウボーイ』、スティーブ・マックインーンの『華麗なる週末』がきっかけだった。僕は、この作品がとても好きだったからね。僕は、もともと素晴らし映画音楽作曲家のファンでサントラ盤のコレクターだったんだ。店先に新作のサントラが並びと真っ先に買いにいったものさ。すごい量のコレクションでね。でも、その後、長い間、映画音楽のコレクションから遠ざかっていた。ディミトリー・ティオムキンやマックス・スタイナーなどの巨匠が音楽を書かなくなってしまったんだ。本当に美しいシンフォニーを書ける人がいなくなってしまったんだ。最初に会った感想?80歳くらいかと思ったが、え?こんなに若いの!ジョンのあまりの若さに驚いたよ。こりゃ、素晴らし音楽家が帰ってきたと喜んだよ」。一方のウィリアムズは、「スピルバーグの魅力は、特別なフィルムメーカーで人間として興味深いだけでなく、映画人としてもすごく魅力的ですごい洞察力を持っている。いつも面白い映画を作れると思う。すごい音楽的な素質がある。彼の映画は、とてもリズミカルなので、音楽がつけやすい。画面に音楽が見える。彼は、音楽を愛しているから楽しい。僕が、テーマを弾いてあげると身をのりだして喜んでくれる。」とのこと。

 また、音楽録音の時は、スピルバーグはホーム・ムーヴィーを撮ることはあまり知られていないと思うが、やはり、ジョンと彼の音楽を愛しているのだろう。

                           次回へ続く!


「スピルバーグの人間像~その3~」

2008-03-22 06:17:39 | 連載コラム~スピルバーグ~

スピルバーグの人間像~その3~

(画像は、雑誌『エスクァイア日本版1996年1月号』より)

 プレイボーイ日本版1999年6月号』によると、「健康にもよく気をくばり友人のゴールディ・ホーンが処方した食事療法を実践し、ブロッコリ、枝豆、にんじん、ほうれん草のジュース、ビタミン剤を飲んでいる。」また、お酒やタバコはやらずコーヒーもあまり飲まずにもっぱらグリーンティーを好む。このことに影響されて私も野菜ジュースを毎日飲んでいる。若い頃は、よくウェイトトレーニングをして体を鍛えていた。大監督スピルバーグといえども、映画監督の仕事は、激務であることを熟知しており健康に気をつけている。体が、資本である。この点は、40歳を過ぎた私が見習いたいことだ。

 スピルバーグのファッションスタイルは、あまり語られることがない。それは、あまりにも身だしなみに気を配らなかったせいだが、妻のキャプショーのおかげでおしゃれになった。基本的には、カジュアルを好みジーンズに野球帽、メタルフレームのメガネ(特にお気に入りは、オリバー・ピープルのもの)でそれにキャプショーのセンスが加味されたものを身に着けている。私も昔からカジュアルスタイルが好きなので、彼は私の中で数少ないファッションリーダ的存在である。

 彼の趣味は、学生時代にクラリネットをやっていたのでクラシック音楽を聴いたり、ノーマン・ロックウェルやアンドリュー・ワイエスなどの古き良きアメリカを描いた画家が好きなので、足繁く美術館に通ったりしている。特にロックウェルは、長年の憧れが昂じて作品を収集し、ボストンにあるロックウェル美術館の理事を務め多額の資金を援助している。しかし、最大の趣味は仕事になっている「映画」である。スピルバーグ言わく「完璧に幸せな状態でいられるのは映画を見るか、作るかしている時だけだ」の言葉通りである。1年に100本以上の映画を見る。そして、『エスクァイア日本版1996年1月号』で「ビデオのおかげでより多くの人々が初期のテクニカラー映画、モノクロ映画、無声映画、60年代の映画の美しさや価値を見出して欲しい。ぼくにとっての最高の映画は、1960年代以前に撮られた映画。良い映画とは、人生が思うように行かなくなり、コントロールを失い、そして、何とかそれを取り戻す主人公に関するもの」と語っている。

 大の親日家である。それは、トム・クルーズと同様有名だ。非公式には箱根や京都が大好きで何度も来たことがあり、今は亡きスピルバーグが敬愛する監督黒澤 明に会いに来て食事をいっしょにしたこともある。