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イッピンNHK 「華麗にして繊細~東京 ガラスの器~」

2023-11-26 08:51:05 | イッピンNHK

 第217回 2019年3月5日 「華麗にして繊細~東京 ガラスの器~」リサーチャー: 小芝風花

 番組内容
 東京のガラス製品が面白い。東京といえば、江戸切子が有名だが、従来の直線的な幾何学模様ではなく、金魚やトラが曲線で彫りこまれたグラス。また、一度廃れた技法を復活させ、ガラスの表面に霜や雪の結晶のような複雑な模様を浮かび上がらせたもの。さらに古代メソポタミアで生み出されたガラスの粉を練って、思い通りの造型を施していく、特殊技法。女優の小芝風花さんが、職人たちの工房を訪ね、驚きのワザを見せてもらう。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201903051930001301000 より

 

 江戸切子(但野硝子加工所)

 但野硝子加工所は江戸切子を製作する工房です。
 こちらの2代目、伝統工芸士の但野英芳 (ひでよし) さんが作る江戸切子には、冬の樹木、金魚、スカル、スパイダーなど、
動植物や水など自然界のモチーフが写実的に描かれていて、従来の直線的な幾何学模様のイメージとは、随分違う印象です。

 江戸切子が幾何学的な模様ばかりであったのには、理由がありました。
 ガラスは硬い素材なので、ダイヤモンド素材の道具でないと深く彫れません。
 筆で絵を描くのとは違って、回転する研磨機で図柄を削り出していきます。
 曲線や細かい表現をするのには、道具に工夫が必要でした。
 
 直径15cm程のダイヤモンドホイールが基本の道具として、細かな動きが出来るように、10cm、7cmのもの、更に5mm、3mmといったサイズのものと、但野さんは、様々なサイズ、太さ、粗さの道具を作り、それらを使い分けることによって、複雑なものや小さな部分が描くことが出来るようになりました。
 そのことにより、表現の幅が広がり、独自の作風が開花していきました。
 
 素材にも、独自のアレンジを加えています。
 色のついた「江戸切子」は、透明なガラスの外側に色ガラスの層を作って削ります。
 透明なガラスと色ガラスの2つを合わせるのは比較的たやすいのですが、更にもう1色加わると、機械で作ることは出来ないので、作家さんにお願いして「宙吹き」で作ってもらいます。
 各色の面積や色が入る位置を細かく指定することは難しいため、大まかな比率を伝えて吹いてもらうのだとか。
 
 作ってもらったガラスの色を生かしながら、図柄の構成を調整し、彫っていくそうです。

 但野硝子加工所 東京都江東区大島7-30-16

 

 サンドプラスト(マツウラブラスト・松浦健ニさん)

 職人の街・東京都葛飾区にある「マツウラブラスト」では、松浦健二さんが、細かい砂と風圧でガラスを削る「サンドブラスト技法」と江戸切子の技術を組み合わせ様々な柄を丹念に彫りこんだガラス細工を作っています。

 組合員のマツウラブラスト(サンド・硝子彫刻)がご紹介されます。

 「サンドブラスト」は、研磨材(粒子)をコンプレッサーの圧縮空気に混ぜて吹き付けて表面を加工する方法です。
 1870年にアメリカでベンジャミン・テルマンという人が船舶の錆落とし用の工業向けに開発しました。
 日本に入ってきたのは、その17年後の明治20年。
 東京工芸学校窯業科に導入されたのが最初です。

 「サンドブラスト」の魅力は、何といっても精密な図柄を描きながら、シルキーな質感をガラスに与えられること。
 しかも、ガラスだけでなく、今では、様々な素材への応用が試みられ、多くの伝統技術と組み合わされた作品がたくさん生まれています。
 
 木型職人の家に生まれた松浦さんがサンドブラストの道に入ったきっかけは、取引先のガラス工場に木型を納めに行った際、そこの社長さんから新しい仕事「サンドブラスト」を勧められたことからでした。
 
 勧めてくれたことが嬉しく、また何より「サンドブラスト」をやっている人が少ないところに惹かれ、基本的なことだけ習うとポンと独立したそうです。
 
 新しい業種であったため、何でも自分で工夫しなければなりませんでしたが、松浦さんは、新しいことに次々とチャレンジし、サンドブラストのパイオニアとして、業界をリードしています。

 松浦さんの作品は、透きガラスのコップに膠を巻きつけ、乾燥した膠がガラスの表面を剥ぎ取ることで描かれる自然な模様です。 
 
 マツウラブラスト 東京都葛飾区東新小岩8丁目30-5  

 

 パート・ド・ヴェール(HALI'S Glass Art Studio・由水直樹さん)

 レポーターの小芝風花さんが注目した「お香入れの器」。
 手掛けたのはHALI'S Glass Art Studioのガラス作家の由水直樹さん。
  「キルンワーク」と呼ばれる成型法を用いて、ガラス作品を制作しています。

 「キルンワーク(Kilnworking)」とは、冷えたガラスを組み合わせて、電気炉(キルン)に入れ加熱し、変形・融着させる手法です。
 
 「キルンワーク」 の中でも「パート・ド・ヴェール」という技法は、色ガラスの粉や粒を石膏の型に充填し
電気炉(キルン)で焼成する技法で、古代メソポタミアで生み出されました。
 
 「パート・ド・ヴェール」とは、フランス語で「ガラスの練り粉」という意味です。

 「パート・ド・ヴェール」は吹きガラスの発明と共に滅びますが、アールヌーボーの時代にフランスで再興されます。
 しかし、一子相伝のため、再び途絶えたしまった、幻の技法です。

 由水さんは、切り抜いた粘土をサラダボウルの形の粘土に貼り付け、石膏を塗って型を作ります。
 次にくぼみを埋めるように色や濃度が異なるガラスの粉を置いていきます。
 サラダボウルの厚みは、粉の量で決まるのだそうです。
 電気釜にセットして3時間ほど焼き、4日かけて冷まします。
 こびり付いた石膏を洗い落とし、サラダボウルは完成しました。

 HALI'S 東京都目黒区自由が丘1-22-3 

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Tokyo/Glass より


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