今年は寅年なので、新春第1回の記事は、トラツグミかなと考えていたのだが、思わぬ展開となってしまい、新春にふさわしい記事にはならなくなった。
昨年の11月末ごろ、トラツグミは地元の公園の水場に現れた。
他所から来たバーダーの方が、小鳥の森でトラツグミを見たと聞き、きっとほどなく水場に現れるだろうと予測したが、その通りになった。
最初の日は、水場に姿を現すと、まず用心深く水を飲み、ゆっくりと水の中に入った。そして、旅の垢を落とすかのように、入念に水浴びを始める。
▲水場に姿を現したトラツグミ(2021年11月29日)
▲水浴びするトラツグミ
▲羽繕いするトラツグミ
それからは、トラツグミは毎日のように水場に姿を現すようになった。
岩の上の水場にも現れる。
トラツグミは飛んでは来ない。ほぼ必ず地面から岩に上ってきて、また地面に歩いて降りる。
地面で過ごしているからだろう。
この時、たびたび動きを止めてじっとしているときもある。
そのあと、やおら口から木の実の種を吐き出すことが多い。
この行動は、昨年もよく見かけた。
水を何度も飲み、種を吐き出す。
昨年の様子
https://blog.goo.ne.jp/oharu_2004/e/0962775fd1f9124a2cd225b3280a8695
種を吐き出す行動は、トラツグミばかりでなく、シロハラやキビタキでもみたことがあるが、トラツグミは水を飲む回数も多く、種を吐き出す頻度も高い。水を飲むのは、種を吐き出すためにも必要な行動なのだろうか。
晩秋、この水場に多くの鳥たちが集まるのは、水場としての利便性だけでなく、大きなエノキが生えていることも重要な要素だと思う。
鳥たちは、初めはエノキの実を樹上で啄み、やがて落ちている実を地上で拾う。トラツグミが現れるころは、そうした時期なので、地上でエノキの実を拾い食いしている可能性が高く、丸呑みした実の種をときどき吐き出しているのだと思う。
トラツグミと言えば、トラダンスが有名だ。落ち葉の上を体をゆらゆらとダンスをしているようにゆすりながら、ミミズなどの地中の虫を捕食する場面だ。(昨年の記事にトラダンスの動画を載せた。)
たぶん、手軽に拾える樹の実が無くなり始めると、今度はミミズなどを探すのだろう。1月に入って、かすかにトラダンスをしている様子を見た人がでてきたし、水場の外に出ているのも目撃されるようになった。
そして、悲劇が起こる。トラツグミが水場に1~2日姿を現さなくなったころ、トラツグミの羽が散乱しているのが見つけられた。水場から離れた、いかにもトラダンスをしていそうな場所だった。
オオタカに襲われたのかどうかはわからないが、トラツグミが消えたころ、オオタカがこのあたりに舞い降りたのは目撃している。
▲落ちていた羽毛
以前は、トラダンスをするトラツグミが公園のあちこちで見られた。すぐに隠れることができる常緑樹が生え、落ち葉がたくさん堆積したやや薄暗い場所だ。そうした場所がどんどんなくなり、トラツグミの越冬場所は、小鳥の森に集中するようになってしまったように思う。
私がこのトラツグミを最後に見たのは2022年1月8日だった。遺影になってしまった。
▲遺影
▲最後の沐浴
今水場はすっかり静かになってしまった。
エノキの実が食べつくされ、餌場としての魅力がなくなり、ときどき水を飲んだり水浴びする鳥たちが現れるだけだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます