OKESAN 公的年金保険情報

公的年金および健康保険の社会保険関係の最新情報をお届けします。

離婚時年金分割ー12(週末投稿)

2005-10-10 10:12:11 | Weblog
 年金分割は、
 第一に夫婦である期間(協議による分割)、第二に専業主婦である期間(自動分割)で検討されることは説明しました。
 
 分割の根拠は離婚届というきわめて形式的な判断になります。

 実質的には別居で離婚状態だとしても、届出がでていなければ「その期間は婚姻期間」として「年金分割の対象」となるように法律は読めます。

 ということはどういうことか?。年金を分割される(主として)男性側にアドバイスをするならば、とにかく「さっさと離婚してしまいなさい、中途半端に別居とかずるずるしているとその期間は年金分割されどんどん自分の年金が減る。(なりそうですが、実際のところは2年後になるまでわかりません。以下それを前提として読んでください)

 しかし離婚するのに相手方の同意がなければ、すぐに離婚というわけにはいきません。一方の意思だけではどうしようもない。やっぱりズルズルといく可能性もあります。

 そこで考えるのは第3号被保険者からまず妻をはずしてしまうこと。
 別居して、生活費の送金などもしていない状態ならば、夫と妻は別の生計を営んでいるわけですから、国民年金の第3号被保険者(サラリーマンの主婦)というカテゴリには入りません。
 その場合には、夫は第3号被保険者からはずす手続きを取ればいい。外れれば、婚姻期間であっても、「協議しての年金分割」の期間になりますが、少なくとも「自動的に半分の分割」の期間にはならない。協議になれば、半分の分割にするのかしないのかはお互いの話し合いになりますから、離婚の主原因が妻にある(夫以外に男を作ったとかいう場合)ときは、自分の主張を言えることになるかもしれません。(ただしそれでも折半にしろという裁判所の決定が下るかもしれませんし、どうもそれが流れのようですけれど)

 一方第3号を外れた妻は、自分の居所に「国民年金の納付通知」がきますから、容易に自分が第3号被保険者でなくなったことを知ることができます。

 第3号被保険者はサラリーマンの妻なら自動的になれるというものではない。
 「扶養関係」が必須なのです。

 ただ離婚の原因が主として夫だったり性格の不一致とかなら、そういうことを考えず、覚悟を決めて「年金の半分」はあきらめたほうがよろしいかと。

 とにかくその辺の分割の割合をどう決めるかということは今の段階ではわかっていませんが、年金関係を明確にするという立場からは、「実質的に婚姻関係が破綻しているのにズルズルと手続きを取らない」ということはお勧めできません。

厚生年金、未加入2万7000事業所

2005-10-10 09:36:15 | Weblog
○法人と従業員5人以上の個人事業所に加入が義務付けられている厚生年金を巡り、社会保険庁が昨年度調べた約19万事業所のうち、新たに加入すべきだと判断されたのが約3万事業所に上ることが判明。うち約2万7000事業所が昨年度末現在で、未加入のままだったことが会計検査院の検査で明らかになった。検査院は制度の安定性につながる問題ととらえて、社保庁に対し加入促進の強化を求める方針だ。

 厚生年金は、サラリーマンに老齢年金、障害年金、遺族年金などを給付するための社会保険。00年度に約170万だった加入事業所は、04年度には約160万に減少した。高齢化の影響で支出額は増加の一途で、04年度収支決算では実質5兆円の赤字となった。保険料の収入額アップが急務だが、保険料の負担が大きいため「加入逃れ」の事業所の増加が問題になっている。

 社保庁は昨年度、未加入の可能性のある約19万事業所を対象に文書や巡回で加入を求めた。うち約16万はすでに加入しているか、加入対象外だったことが分かった。残る約3万のうち約2500事業所は新規に加入したものの、約2万7000事業所は未加入のままになっているという。

<解説>
 社会保険の加入は、会社にとっての爆弾だと思っています。

 小さな会社はなかなか入りたがらない。で、今まではザル(入らないことが野放し)だったので、割と考えなくても済んだ。

 しかし、今後は、社会保険事務所が報道のごとく、加入を徹底させるということに本腰を入れると、なかなか逃げ回るということにはいかないでしょう。

 しかも、遡及加入の場合には、遡って2年分の保険料の納付を求められます。会社としても無視できない額の出費になる。保険料を納付する資金計画していないと会社が傾くことにもなりかねない。
 会社の経営上これは本当に深刻な問題です。会社が大赤字でいつ閉鎖してもいいという風に開き直っている場合は別ですが。

 会社によっては、「労働契約」を「請負契約」にして、そういう負担を逃れようとするところもあるみたいですけれど、これは最悪の選択です。

 労働契約か請負契約かというのは、契約内容によって自動的に決められるもの。決して会社の経営者が決められるものではありません。
 その理屈がわかってない人が多すぎる。
 そういう場合は、「悪質な労働保険、社会保険逃れ」と認定される場合があります。これは永続的な業務継続を考える会社としては致命傷になる可能性があると危惧しています。労使紛争になればそういうことをした時点で相当に裁判官や審判官や調停員に悪印象。

 働く側も、会社から「あなたは請負契約」といわれた場合は用心したほうがいいです。
 普通は大工さんが家を建てるような契約が請負契約の典型例ですから、労働契約とはおのずと契約類型が違うのはおわかりのはず。労働時間や労働内容を具体的に指示された場合は、労働契約である場合がほとんどなのです。
 
 労働保険や社会保険による救済=「労災や障害、遺族厚生年金」がもらえるのにあきらめていることも多いです。