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アール・ブリュット・ジャポネ展

2011-04-15 | 雑記
【芸術・アート】とは、既存のもの(技法だったり、表現だったり、体制だったり)を打ち破る、新しい力だと言われています。

しかし芸術を作るのは人間なので、自己顕示欲、名誉欲、金銭欲、恥ずかしがったり、格好つけたり・・・それら色々なしがらみに取り付かれながら、表現されていたりすると思います。

一方で、そんなしがらみに全く囚われず、自由に表現できる人達が存在します。

英語で【アウトサイダー・アート】フランス語で【アール・ブリュット】と呼ばれる芸術。

いわゆる知的障害者が作る芸術作品のことです。

障害者の芸術だって何百年、何千年前から在るに決まっているけど、なぜ今??

とにかく近年急激に注目を集め、とうとう2010年のパリで日本人知的障害者作品の大展示会が催されました。

【アール・ブリュット・ジャポネ展】2010.3-2011.1パリ市立アルサンピエール美術館。
 
人気が人気を呼び、計12万人のパリっ子が訪れたそうです。

そして2011年4月、日本でも急遽、凱旋展示されることになりました。

@埼玉県立近代美術館 2011年4月9日~5月15日

今年の上半期に一番行きたい企画展!

早速行って来ました



人生で三回目?の浦和。



埼玉県にも近代美術館あるんやね!って県人に失礼?でも千葉県にはありません。



看板もフランス語、いざ奥へ。

まず今回一番見たかった絵から。

写真では伝わりにくいと思うけど、



やはり凄かった舛次崇さんの絵。

紙にパステル絵の具で、モチーフは、ペンチ、ドライバー、ノコギリ、パンチ。

このデフォルメは一体、どういう視点で?

身近な物をどういう感覚で、捉えているのか?



これも舛次さんの絵「2匹のバッファロー」

何故この作品に感動するのか?自分でも説明不能(不要?)です。



大梶公子さん「顔、みんな大好き」

紙に油性マーカー。

この絵を障害者施設の職員が褒めた瞬間から、もう二度と絵を描かないそうな・・・



昆弘史さん「人」

これ全部顔らしいんですけど、実物は凄い迫力です。

しつこいくらい描き込んでいるので、クレヨンが強烈に滲んでいます。



高橋重美さん「無題」

大学ノートにノック式ボールペンで描いています。

最近200冊の描かれたノートを、置く場所が無いからと、燃してしまったらしい。



八重樫道代さん「チャグチャグ馬コ」

紙に水性マーカー、油性ペン。



藤野公一さん「イカ」

ボール紙に墨汁。

この絵の前で、しばし立ちすくみました。



荻野トヨさん「二つのチューリップととり」

布に刺繍です。



澤田真一さん「無題」

陶器です。



村田清司さん「無題」

和紙にパステル。



平野信治さん「志村けん(子役)」

紙にオイルパステル。

こんな力強い志村けん、見たこと無いよ。^^



久保田洋子さん「赤いキャミソールのお姉さん」

紙に色鉛筆。




ほんの一例を紹介しましたが、

一歩間違えれば、幼稚と言われそうな?この作品群から、何故こんなにエネルギーを感じるんでしょう?

それは、我々が今住んでる世界、時代にヒントがあると思いました。

大量生産、大量消費の時代に生まれ育ち、気付けば画一的なものに囲まれています。

でも本当は自然に存在する物も、人間も、それぞれが個性の塊で、異質なはず!

近年は、それ(異質なもの)を排除することが多くなっていたんではないでしょうか?

食べる物も、着る物も、建築も、音楽も、芸術までもが、それこそ世界中に似た様なものが大量に増え、

多くがありきたりで、規格通りの没個性??

そのせいなのか、たぶん体(心)が本能的に、人間としての原点回帰を求めているんですよね~

私だけでなく世界中の人も!?

人間が作る物にも、もっと本来の多様性が見たい。

よって今惹かれるのは、作意、駆け引きの無い、本来あるべき個々の内面の切り取り表現なんだと思います。

しかも、それらは見ていて心地よく、面白い。

これからも、もっとそう言うものが見たい!触れたい!^^

・・・41歳の春に感じたことでした。

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