帯ちゃんシリーズ、第三弾!
今回は、帯ちゃんことさっちゃん自身が想い出語りをしています。
待ちに待った結婚への道のり・・・
だが、父にとっては不安要素がもうひとつあった・・・それは・・・・・
引き続き、『 さっちゃんと父 』、どうか宜しく、お見知り置き下さい。。。
≪其の20≫ 父の内心
「母から手紙を預かってきてん。」
え~~私へのラブレターかなっ??んなわけないか!
・・・なあんだろ?気になるなあ~~
「何て?」
「知らん!さっちゃんとお父さんに渡してくれってさ。」
ますます気になる~~~~
気になるきに~なる~きですね~~~
「ふ~ん。・・・じゃ、後でお父さんと見るわ。」
彼の前で開けられない雰囲気が~~
やだなあ今日は気になって
デートどころじゃない気が~~~~
「きたか!・・・」
封書を見た父の開口一番である。実は、父には気がかりなことが
あったという。思えば父はこんなことを予想していたのかもしれない。
私の実の親について聞かれるかと、思っていたようである。
そして、これによって破断になることを懼れていたようである。
しかし、手紙の上の願い事は、戸籍抄本を見せてほしいというもの
だった。あとから私の親が現れて何かいちゃもんでもつけられたら
困るだろうというような心配だろうか?
私はこのとき、初めて戸籍抄本なるものを見た。
そこに初めてみる苗字。
「これが、私の名前・・・。」
それはまるで他人の名前のように思えた。
今さら、この名前を見たって何とも思わない・・・はずだった・・・
こんな親のために一粒の涙さえ流してやるもんか・・・
私にはちゃんと両親がいるのだから・・・
私は、・・・本当の愛を見つけたのだから・・・
もう、必要ないんだ。捨ててしまえばいい・・・
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一人になると息ができなくなるほど、自分に還ってきた・・・
次に彼が来たとき、帰りに封書を渡した。
「これ、お母さんたちに渡しといてね。」
「うん、・・・で、なんやったん?」
「えっ!ちょっと頼まれたもの。もらってきたから・・・」
「僕に言われへんもんなん?ちゃんと僕の目を見ていうて!!」
彼は彼なりに凄く気になっていたようだった。
息子に怒られるという彼の母のことを思うと絶対内緒にしてや、
と口止めして抄本を見せた。
彼は、自分の親が情けないと、私のために泣いてくれた。
「なにかあったときに名前を知りたかっただけだと思うから、
ご両親を責めないであげてね!絶対内緒だからね!」
私は彼に、この上ないぐらい優しく、口止め料代わりのキスをした。