【 戒名 2】
≪院号(院殿号)≫
もともと天皇が退位した後に住んだ屋敷の名前から
とったもので、身分の高い人に付けられる尊称。
本来、院は中国の役所に由来する言葉。院、院殿以外に
軒、庵、亭などの号があり、僧侶の住居を指す言葉だった。
「院」の第1号・・・出家後の嵯峨天皇
「院殿」の第1号・・・足利尊氏
「院殿」の「殿」には「しんがり」という意味があり、尊氏は
天皇や貴族が用いる号「院」の最後をシッポとして、院の
下の位という意味で「院殿」を用いたのです。
しかし、武士の時代になり、将軍や殿様が用いているうちに、
いつの間にか、「殿」が「しんがり」から「立派な建物」になって
文字数の多い方が尊いという考えにも伴って、「院殿」の方が
高位という位が逆転してしまったと考えられます。
1884年(明治17年)には、県知事など高級官僚以上は、
「院殿号」を用いよという法令(墓地及埋葬取締規則)ができ
「院殿号」がますます高位の号になってしまったのです。
≪道号≫
戒名の上に付けられる名前で、号や字に相当する。
仏道を生得した高僧に付けられる称号。
(戒名の二字が同名の人を区別するため用いられたもの)
≪戒名(法名・法号)≫
位牌に書かれる文字全体が広義の戒名とすることも多いが、
本来の戒名の部分である。
故人の生前の名前(俗名)から一字とって表現される。
≪位号≫
戒名の下に付けられ、仏教徒としての階級を表す。
性別や年齢などにより異なる。
男性・・・「居士(こじ)」「信士(しんじ)」
女性・・・「大姉(だいし)」「信女(しんにょ)」など。
≪置字≫
下文字とも呼ばれ、位牌を総称する言葉。
「霊位」「位」と書く。浄土宗・浄土真宗では用いない。
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(死者の霊が位牌にとどまるという意味がある)
天台宗・・・「院号・道号・戒名・位号」
真言宗・・・頭に種子と呼ばれる「梵」の文字を入れてから
「院号・道号・戒名・位号」
浄土宗・・・「院号・道号・譽号・戒名(法名)・位号」
浄土真宗・・・戒律を不要とするため戒名をもたない。
「院号・釈号・法名」
禅宗系・・・「院号・道号・戒名・位号」
日蓮宗・・・「院号・道号・日号(戒名に当たる)・位号」
独自の戒律思想があるため、日号(女性は妙号)と呼ぶ
曹洞宗・・・在家の信者の仏教徒名を「戒名」、僧侶は「法名」
【各宗派の戒名の文字の特徴】
真言宗・・・「阿」
浄土宗・・・「誉」
日蓮宗・・・「妙」「法」「蓮」「華」「日」
浄土真宗・・・道号・位号がない。
法名の前に釈号(お釈迦様の弟子の意)を付ける。
男性・・・「釈」、女性・・・「釈尼」
天台宗・曹洞宗・臨済宗・・・文字の傾向は特に無し。
大洋出版社様HP → http://good-taiyo.com/name.html
『戒名と日本人』保坂俊司著:参照