「着るものが無くて寒い!」突然言い出します。子供じゃあるまいし、無ければ買うしかないだろうに。「自分だってみすぼらしいの着ているのよ!」人のことはどうでも良いだろうに。「年取ったらせめて身につける物ぐらい普通のもの着ないと」と、言うわけで急遽二人の着るものを買いに行くことになりました。
市内では老舗のデパートに行きました。婦人服、紳士服どちらの売り場も客の少ないこと。これで一棟閉店したのだから。みんながお金無いから不要不急の物には手が出せないのですね。一応それぞれ必要最低限の物を買って「コーヒー飲もう」と意見が一致します。地下におります。さすがにここは人がたくさんいました。
「ケーキセット」を注文します。コーヒーは?私はモカと決まっています。連れが「トラジャーコーヒー」を注文します。「なに!あるの?」30~40年ほど前栽培ができなくなって「幻のコーヒー」と言われ、確か30年ほど前に意外な所で発見された物と聞いています。どちらかと言えば苦みが主です。私はコーヒーは酸味のある方が好きなのですが、久しぶりにトラジャーコーヒーを注文します。
「ウン、苦みは良いな!香りがないな!」分かったような口を利きます。懐かしい味に満足しました。外はすでにとっぷりと暮れ、寒い風に吹かれながら駐車場まで歩きましたが、なぜか心の中は暖かでした。