limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

ミスター DB ㊼

2018年09月25日 14時58分40秒 | 日記
時間にすれば、30秒も経過しては居なかった。ただ、3人には3分以上に感じられた。スローモーションのようにBMWの右側をすり抜けるのだが、左右共に数cmの隙間しかない。右側には、トンネルの外壁が迫り、左側にはBMWの車体が迫った。エンジンは一際高く咆哮し、Gが容赦なく3人に襲いかかる。正に首の皮1枚の隙を突いて“スナイパー”の車はぶっ飛んだ。直後、BMWはトンネルの左外壁へ車体を擦り付けて停止し、後続の車両達は急ブレーキをかけて、追突を回避するのに必死になった。クラッシュ音とクラクションの音が盛大に響き渡る中、“スナイパー”は車速を落として走行車線に戻り、トンネルから出た。右車線には、危うく難を逃れたフレンチ軍団の車が、数台居るだけだった。3人は冷や汗を拭い、大きくため息をついた。「ふー、まだ俺達は神様に守られてる様だ。2人共大丈夫か?」“スナイパー”の声もかすれかかっている。「間一髪ってヤツだな」「神業を見せて貰ったよ」N坊に続いてF坊もかすれ声で応じた。「車もどうやら無傷で済んだらしい。これが都心環状線だったら、間違いなくアウトだった。天佑神助ってヤツだな。俺も久しぶりに無茶をやらかした・・・、まあ、最悪ドア2枚をおしゃかにする覚悟だったから、正に天祐だ」“スナイパー”がポツリポツリと言う。「警察無線がぐちゃぐちゃだ!どうやら追突事故になったらしい」F坊が言う。「後ろからは誰も来ない。勝沼と大月間の上りは通行止めになったな」N坊も言う。「BMWの整備不良が事故原因だろう。左前輪のバーストにオーバーヒートってとこかな?」“スナイパー”が分析を始めた。「割と新しい車体だったけど、オーバーヒートなんて起こすのか?」N坊が聞く。「あの車系から想像するとだな、直6のツインターボが載ってるはずだ。発熱量は半端ないくらいあるから、あまり気持ちよくブン回すと簡単には冷えない。ここまで連続して高速走行をしてれば、あり得ない話とは言えないな。昔に比べると最近のBMWって言うか、欧州車はオーバーヒートしやすくなってる。日本仕様でも例外ではないらしい」“スナイパー”が答えた。「バーストは空気圧不足かい?」F坊も聞く。「多分な。チラリとしか見てないが、低扁平率のタイヤの様だったから、可能性はある。最近のヤツらは、車の手入れもロクにしないから、こんな事故になるんだ。何でもかんでも電子制御化して、人の手でいじれる余地が無いのも一因かもな」自重気味に“スナイパー”が答えた。「冷却水の不足からのオーバーヒートと空気圧不足からのバースト。どっちも日頃から点検してりゃ防げる事だが、酷い事に自分の車のボンネットすら開けられないヤツが実に多い。1年点検すらやらずに乗ってるヤツらも居る。国産車ならともかく、輸入車なら人一倍気を使わないと、後々高い代償を払う事になる」“スナイパー”が言っている事は痛い所を突いていた。「俺達も同じ事を顧客に言ってるよ。キチントお手入れしていただかないと、漏電や火災になりますよってね。だが、壊れるまで何もしてないヤツが大半だ。ブレーカーが落ちっぱなしで通電しない言うから、調べるとコードの被覆が破れてショートなんてのはザラにある」N坊が憤然と言うと「ネズミにかじられたってのもザラだし、タコ足配線が原因ってのもよくある」とF坊も言う。「やらなきゃいけない事はきちんとやる。守る。これが一番だな!」“スナイパー”が真面目に言うと「その通り!」と2人が応じた。「間一髪をかわした訳だが、これから先の展望はどうだい“スナイパー”」F坊が真面目に聞く。「ともかく、危険回避には成功した。お前さんの言うように間一髪でな。この先の危険要素としては、高井戸までの区間のオービス、環八のオービスぐらいになる。多少のペースアップは出来るが、第三京浜に乗るまでの間を如何にして切り抜けるかだよ。車の流れは順調になるとは思うが、覆面と白バイは、どこに隠れているか分からない部分もある。スパートはかけれるだけかけるが、先程の様な危険はまだまだあると思ってくれ。警察無線の探知と後方の確認は必須だ。引き続き協力を頼むよ。だが、見通しは明るくはなった。少なくとも空からの追跡はもう無い。少し飛ばすぞ!時間を稼ぐチャンスだ!」エンジンの咆哮が高まった。車は空いている右車線へ移り、グングンと前へ進む。少しでも遅れを取り戻さなくてはならない。帰りの行程の半ばは過ぎたが、まだ横浜は遠かった。

異臭の原因が、自分達自身である事にようやく気付いた“2匹食用蛙”達は、近所のサウナを目指していた。だが、あまり急いで汗をかく事は避けなければならなかった。「日陰を選んでくれDB!このままでは、また異臭が服に付くだけでなく、周囲に漂ってしまう!」Kは極度に怯えていた。「分かっている。だが、日差しを避けるのにも限界はあるよ」DBはなるべくゆっくりと歩いて、発汗を抑えようとした。あいにくと言っては何だが、天気は快晴で日差しもたっぷりと降り注いでいた。すれ違う人々は皆、異様な臭気に顔をしかめていた。「DB、ちょっと待て」とKは言うと、ドラッグストアへ駆け込んだ。数分後、Kはビニール袋を手にして店を出て来た。道端で上着を脱ぐと「DB、消臭スプレーをかけてくれ!」と言った。DBは、首から下の衣類目掛けてスプレーを噴射した。それが済むとKは、DBにも同じ処理を行って、最後に2匹の上着にスプレーを噴射した。「これで、暫くは持つだろう。目的地までは後どのくらいだ?」Kがそわそわしながら聞いた。「あそこのビルの上だ」DBは数百メートル先のビルを指して言った。「DB、何か感じないか?俺は腹に鈍痛を感じ始めている。このままだとヤバイ事が起こりそうだ」Kの歩みが少し落ちている。「うっ、俺も痛みが来始めた様だ」DBも歩みが慎重になり始めた。「DB、サウナの前にトイレを探さなくては危険だ!先程、食ったせいで腸が動き出した。第2段目を放出しないと・・・」そこまで喋ったKだったが、鈍痛は激痛へと変わり始めていた。DBも徐々に痛みの波が激しさを増してくるのを感じた。「コンビニがある。50m先だ!何とか持ちこたえられるか?」DBは必死に歩きながらKに聞く。「仕方ない、コンビニのトイレをジャックしよう。その前にこれを持っていけ!」苦痛に顔をゆがめながらKは、トイレの消臭スプレーをDBに手渡した。「急ごう、もう・・・我慢の限界だ。スプレーは用を足している間に撒き散らせ!そうしないとまた異臭が漂ってしまう!」2匹はヨレヨレになりながらコンビニへ入った。幸いトイレは空いていた。冷や汗にまみれながら2匹は、トイレをジャックして「ウーン」と呻きながら用を足した。直ぐに悪臭がトイレを包んだが、トイレの消臭スプレーを噴射しまくって、必死に悪臭を消す事に努めた。昨夜のツケは、猛烈な悪臭を放ちながらKとDBの腸から流れ下った。消臭スプレーの噴射で多少は悪臭も抑えられたが、消臭スプレーの匂いと悪臭と親父臭さは混じり合い、新たな異臭となってコンビニの店内へと漂い始めていた。店員たちはトイレ付近からの異臭に仰天したとの同時に、消臭スプレーの噴射音から「ガススプレーを使って、何かよからぬ事をしているヤツが居る」と判断した。即刻、客を店外へ避難させると同時に、警察へ通報した。KとDBは、それどころではなく腹の痛みに耐えながら、必死にいきんでいた。消臭スプレーを駆使して悪臭を抑える努力も怠らなかった。水を流して詰まりを防ぐ事もしながら、悪臭や痛みと戦っていた。15分後には、腸の動きも収まり始め、腹の痛みも消え失せていった。「やれやれ、どうにか治まったか」と2匹が最後にトイレ内に消臭スプレーを撒き散らしていると、突然激しくドアを激しくノックされた。「警察だ!2人共大人しく出て来るんだ!」2匹には見えなかったが、コンビニのトイレ付近は防護服に身を包んだ警官達によって固められており、極度に緊張が高まっていた。「何をしている?!早くドアを開けろ!」警官達が急き立てるが、2匹はどうしたものか?と悩んでいた。「しまった!またしても異臭が店内に流れたのか・・・」Kは唇を噛んだが、状況は最悪だった。出るに出れない。言い訳も通じるか分からない。2匹は進退窮まってしまっていた。

司令部に戻ったミスターJとリーダーは、機動部隊の報告を待っていた。だが、ホテルの周囲が急に騒がしくなった事に気付いた。パトカーのサイレンが飛び交っている。「何事だ?」ミスターJはお茶を飲みながら窓辺に移動した。数ブロック先で何事かが起こった様だった。警察は明らかに非常線を張っている。その時、リーダーの携帯が鳴った。相手は予備隊の隊員だった。リーダーはオープンマイクに切り換えると隊員が「KとDBがコンビニで警察に包囲されています!防護服を着た警察官がコンビニを封鎖しています!」と言った。「防護服を着た警官だと?!何をやらかした?強盗ではあるまい。どうしてそんな事件に発展した?」リーダーが聞き返すと「コンビニでKとDBがトイレに入ったのですが、どうも異臭が流れ出た様なんです。コンビニの店員が有毒ガス発生と勘違いして、客を退避させて警察を呼んでいるのです」リーダーは、先程のホテルのカフェでの異臭を思い出した。ミスターJは噴き出してお茶をこぼしそうになっている。唖然としつつもリーダーは「KとDBは何を使ったんだ?」と聞いた。「コンビニへ入る前に、Kはドラッグストアでトイレの消臭スプレーと別の消臭スプレーを買っています。恐らくそれらを多量に使用したせいかとおもわれるのですが・・・」隊員の言葉にリーダーは思い当たる節があった。「分かった。引き続き監視を続行しろ。ただし、異臭がしたら要注意だ!直ぐに退避しろ」「了解」と言うと連絡は切れた。ミスターJは苦笑いを浮かべている。「中国三千年の悪臭か・・・、恐ろしいなフォンのエキスの威力は」リーダーも「昨夜のツケが回ったのですね。それにしてもフォンの使ったエキスは何なんですか?」「私にも分からん。どうやら硫化水素よりタチの悪いガスを発生させる様だな。人は死にはしないが、とてつもない悪臭を放つのは先程身をもって体験した。そこにKとDBの親父臭と、各種の消臭スプレーが反応するのだ。恐ろしく臭いガスが生成されるのだから、警察も驚くだろう。とても人間の体から発せられる悪臭とは信じられんだろうが・・・」ミスターJも噴き出すしかなかった。「フォンの店でKとDBは、約6人前の料理を飲み込んでいます。腸が動く度に悪臭と共に下るとすれば、途轍もなく迷惑な話ですね」リーダーはゲンナリと言う。「どちらにせよ、自分が蒔いた種が原因だ。KとDBには自力で切り抜けて貰わなくては困る。お縄にするのは明日だからな」ミスターJもゲンナリと返した。「所でリーダー、NとFは何か言って来たか?」ミスターJは真顔で聞いた。「いえ、まだ何も連絡は入っていません。ただ、高速が通行止めになっています。何もなければいいのですが・・・」心配そうにリーダーが言うと「何もないと言う事は、無事なのだろう。本当の危機に陥らない限り、あの2人は連絡をしては来ない。多分、予定時刻までには戻って来るだろう」ミスターJはお茶を淹れ直してソファーへ腰かけつつ言った。「Aの子供達だ。必ず戻る」その言葉には確信があるようだった。

KとDBは絶体絶命の危機に陥っていた。警官は「早く出て来い!」と急き立てている。形勢は明らかに不利だった。「クソ!クソをしただけなのに、何でこうなるんだ!」DBは毒づいた。その時、Kがトイレから出た。猛烈な悪臭が流れ出たが、わざとらしく手を洗っている様だった。DBも意を決して何食わぬ顔つきでトイレから出た。さも気付かぬ様に手を洗う。あらたな悪臭が周囲に漂った。警官達は、KとDBの居たトイレから発せられる悪臭に七転八倒しながらも「2人共、ここで何をしていた!」と誰何した。「ただ用を足していただけだが、それが何か問題でもあるのか?!」Kが開き直って聞き返す。警官達は呼吸困難になりつつも「貴様たちの放つこの悪臭は何なんだ?それにトイレで何のスプレーを使っていた?所持品を出せ!」と何とか言い放つと、新鮮な空気を求めて出入口へよろめく様に出て言った。仕方なくKとDBは、所持していた品を出して防護服に身を包んだ警官へ手渡した。彼らはガスマスクを装着してはいたが、2匹の放った悪臭は既にコンビニ全体を包み込んで、商品を侵し始めていた。殊に食品類は、悪臭を吸い込んで新たな臭気を生み始めていた。KとDBは、その新たな臭気をモロに吸い込んで、喘息患者の様にむせ返った。それがまたいけなかった。KとDBは激しく咳き込んだと同時に、腹筋を動かしてしまったのだ。それは即座に腸へと伝わり、新たな鈍痛となって表れ始めた。「K、また鈍痛が始まった!ヤバイ事がまた・・・」とDBが言い終わる前に「DB!第3段だ!俺はもう限界だ!」とKが叫び、消臭スプレーを掴むとトイレへ飛び込んだ。DBも脂汗を滴らせ、何とか消臭スプレーを掴むとトイレへ飛び込んだ。「あぎゃ―!」と言う絶叫と共に、消臭スプレーを乱射する音が聞こえ、隙間からは猛烈な悪臭が流れ出た。防護服に身を包んだ警官達も含めて、コンビニ内の人間は全て退避せざるを得なかった。更なる悪臭は、コンビニの食品全てから臭気を生み出し、KとDBの発する悪臭と混ざり合い、コンビニ周辺へと漂い始めた。「封鎖だ!コンビニを封鎖しろ!全ての出入口と窓を閉じて、全員速やかに退避しろ!」指揮官は鼻を摘まんで絶叫した。慌てて警官隊と従業員が退避すると、ドアに目張りがなされ、コンビニからの悪臭の流出を食い止める処置が施された。だが、彼らは致命的なミスを犯してしまった。換気扇とエアコンを止めるのを忘れていたのだ。行き場を失った悪臭は、エアコンによって店内全てにばら撒かれ、新たな臭気と混じり合い換気扇に殺到した。コンビニのあるブロックへ強烈な悪臭が流れ出すのに、左程の時間はかからなかった。「まずい!大気汚染が拡大してしまう!」警官隊の指揮官は、鼻をハンカチで覆いながら唇を噛んだ。「このままでは、街中が悪臭に覆われてしまう!防護服とガスマスクを用意しろ!再突入してヤツらを捕えると同時に、ブレーカーを遮断するんだ!」警官隊は即座に装備を身に着けると、コンビニへ再突入した。ブレーカーを遮断してトイレのドアの前へと急行した。その頃、KとDBは“第3段”の放出を終えて消臭スプレーを撒き散らしていた。そこへまたしても「ドアを開けろ!」と言う警官達の荒々しい声と打音が響いた。「クソ!うるさい連中だ!だが、クソをしただけで何故捕まらなきゃならんのだ!」Kは毒づいたが、警官隊はトイレのドアをこじ開けにかかっている様だ。「分かった、降服するからこじ開けるのは待て!」Kは警官隊に叫び、投降の意思を伝えた。「ズボンを履いたら出ていく!DB!用意はいいか?!」Kが問うと「準備はいいぞ!K、ブルガリアだ!」とDBが返してきた。「よーし、では開けるぞ!」と言うと身を構えて突撃態勢を取った。スパン!と勢いよくトイレのドアを開けた2匹は、肩越しに警官隊へ突撃した。不意を突かれた警官隊は将棋倒しになり、数名がガスマスクを剥ぎ取られた。彼らは悪臭をモロに吸い込んで悶絶した。2匹はこの隙を最大限に利用してコンビニからの脱出を図った。事務所にある裏口のドアをぶち破ると、最大限のダッシュをして逃げ惑う。どこをどう走ったのかは、皆目見当も付かなかったが、市街地の裏路地を滅茶苦茶に走り回り、どうにか警官隊を巻く事に成功した。汗が滝のように流れ、異臭が2匹から発せられていた。「このままでは、いずれ見つかってしまう。とにかく消臭だ!」DBが喘ぎながら言葉を絞り出すと同時に、消臭剤のスプレーボトルをKに差し出した。「これはどうした?」Kも息も絶え絶えになりながら、スプレーボトルを受け取りつつ問うた。「コンビニから逃げる時に、掴んで来たらしい。汗を拭いたら全身にぶっかけよう」DBは手早く汗を拭くと、上着を脱いでスプレーを頭から吹きかけ始めた。Kも直ぐにそれに倣う。最後は2匹でスプレーを浴び合い、どうにか異臭を封じ込めた。落ち着いて周囲を見ると、そこはコインパーキングの物置の陰だった。「ここはどこだ?」Kが聞くと「サウナのあるビルの裏手の様だ。大分遠回りをしたが、目的地には着いたらしい」とDBが答えた。微かに風に乗って悪臭が漂っている。「裏口があるが、あそこからサウナに入れるのか?」Kが指さす方向には、裏口があった。「ここは利用者の駐車場のようだ。あそこから入ろう」とDBが周囲を伺いながら言った。「ひどい目にあったが、どうやらこれで消臭できるな・・・」Kは自身の匂いに異常が無いかを嗅ぎ続けている。DBは素早く周囲を伺い、裏口へ走った。どうやら気付かれてはいない様だ。「K、早く来い!中に入ってしまえばこっちのものだ!」DBはKを急かした。足早に2匹はビルに入り込み、エレベーターでサウナへ向かった。

警官隊の指揮官は、本署に無線で報告を行っていた。「そうです。中年の男2名が逃走しました。コンビニの店内からは強烈な悪臭が街中へ流れ出ています。えっ!引き揚げろってどう言う・・・。はあ、確かに悪臭だけで店から盗難などの申告はありません。ええ、3ヶ月前の一件と酷似しています。はい、分かりました。撤収します。」釈然としない表情の指揮官は「本署からの命令だ。撤収する」と部下に命じた。「ちょっと待って下さい!店はどうなるんですか?!」店長らしき男性は困惑しつつ食い下がった。「何も盗られてはいないんでしょう?確かに悪臭は酷いが、上からの命令なんです。引き揚げろってね」指揮官も困惑を隠さない。「3ヶ月前も同じように外国人に悪臭だらけにされて、先日ようやく再建したばかりなんです。これじゃあ泣き寝入りにしかなりません。逃走した2人は捕まえて貰えないんですか?」懇願するように店員達も言う。「3ヶ月前の外国人を逮捕して取り調べた結果、何も証拠は出なかったんです。結局、嫌疑不十分で釈放しました。けれど本署も悪臭を振り払うのに2ヶ月間苦しんだのです。今回も仮に逮捕しても、悪臭が残るだけで何も出て来ないでしょう。トイレの悪臭だけでは容疑は固められないのです」指揮官は苦々しそうに言った。「撤収準備完了しました」部下が報告に来た。「お気の毒ですが、我々はここまでです。悪臭は可能な限り封じ込めて下さい」そう言うと指揮官は「撤収だ」と言ってパトカーに乗り込んだ。コンビニの従業員と店長は膝から崩れ落ちた。「また、悪臭地獄にやられるとは・・・」店からは異様な悪臭が流れ出ていた。走り出したパトカーの中では「おい、何か臭うな!制服が臭い!このまま本署へ帰ったら署長から大目玉どころではないぞ!」と指揮官がうろたえていた。「確かに署長は、異様に匂いに敏感になっていますから、このまま帰るのはマズイです」運転している警官も臭さに気付いて蒼白になっている。「それにしても、3ヶ月前の一件とそっくりの悪臭だ。どうすればあんな“異様な悪臭”が人体から発せられるんだ?」指揮官は首を捻る。「分かりません。3ヶ月前の外人は、中華街の△珍楼で食事をした翌日に悪臭騒ぎを起こしています。それ以外は何も浮かんでいません」「ジミー・フォンか?!ヤツには手が出せない。青竜会さえ壊滅できれば話は別だが・・・」指揮官は悔しそうに言う。「どうしますか?この異臭?」運転している警官が聞く。「ともかく“消臭”するしかない。部下全員の頭からつま先まで徹底的に消臭しなくては帰るに帰れない!」指揮官は語気を強めて言った。「中華街へ向かえ!香を焚いて燻蒸するんだ!」警官隊は消臭するために中華街へと向かった。その後、コンビニは廃業に追い込まれたと言う。

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