limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

New Mr DB ⑮

2019年01月16日 15時35分26秒 | 日記
午前5時、八王子“司令部”。朝日を浴びてキャリアカーと2台のセダンは、無事に帰還を果たした。“作戦”に参加した12名は、歓喜の拍手で迎えられ「良く戻った!まずは車両の入れ換えだ!」と言うリーダーの号令の元、駐車場の整理に取り掛かった。奪取して来た“黒のベンツ”は一番奥に横並びに据えられ、その周囲はトラックで固められた。「後で擬装網で遮蔽する。ユニック付きのトラックを近くに置け!3軸車とキャリアカーは、直ぐに発進出来るように出口付近へ配置しろ!遊撃隊の車両は出しやすい隙間でいい!」隊員達が総出でも、駐車場に車両を押し込むのは骨が折れる作業だったが、1時間を費やして何とか押し込む事に成功した。待機していた隊員が食料調達に走る間に、12名は3階の寝床へ上がり疲れを癒していた。「ご苦労だった!当初の予定とは異なる結果になったが、良く頑張った!存分に食べてから休んでくれ!」リーダーの訓示が終わったと同時に食料が届き、貪る様に食事が開始された。「食べ終わったら、仮眠を取れ。“基地”への移送については、ミスターJとも相談して決める。寝るときは鍵を掛けて置けよ!」リーダーが言うと「了解!」と全員が合唱した。待機していた隊員達は、キャリアカーの点検に着手していた。「不幸中の幸いで、車体に歪みはなさそうだ」「サスの被害は甚大。高速走行は無理だ」「エンジンもかろうじてセーフだが、早急にオーバーホールが必要だ。だが、“基地”までどうやって運ぶ?」「一刻も早く修理しないと、救援活動に支障がでかねん!」調べれば調べるほどに、隊員達は負った傷の深さを実感した。「どうだ?」リーダーが調査結果の報告を求めに出て来た。隊員たちは、ありのままを報告する。「深刻だな!コイツが使えないとなると、影響は大きい。修理期間は推測できるか?」リーダーの表情も曇る。「回送日時も勘案すると、最短でも1週間はかかるでしょう」「うーむ、まずはコイツを修理する手立てをしなくちゃならんか!分かった。ミスターJに“ベンツ”の件と合わせて相談してみよう。みんなも朝食にしてくれ。正し、3階は閉鎖してある。1階の空きスペースで食べてくれ」「了解」隊員達と共にリーダーも事務所へ戻った。2階へ昇るとF坊が“シリウス”専用PCの前で難しい顔をしていた。「どうした?」「リーダー、Sのヤツはとんでもないネズミ野郎ですよ!サーバーの中身なんですが、同業他社や契約先企業、株の投資資料、芸能人の個人情報、裏社会の情報まで多岐に渡って調べ上げてます。インサイダー取引や粉飾決算の情報まで揃ってますね!仕分けにはかなり時間を要すると思いますよ!」「“U事務所”と“連合艦隊”の分も含めてか?」「ええ、何処で線を引くか?にもよりますが、“切り売り”に回す判断は難しいですね」F坊はしかめっ面で答える。「判断を誤れば、迷惑がかかる。そういう事か?」「そうです。迂闊には動けません!」「キャリアカーに“黒の化け物ベンツ”に有り余る情報か!どれも判断に迷う事案ばかりだな」リーダーはため息を付いた。「ミスターJに判断を仰ぎませんか?」F坊は真剣な表情で問う。「どうやらそれしかないな!有りのままを報告して、お出で願うしかあるまい。ここまで複雑になると流石に俺の手には負えん!」リーダーは携帯を取り出した。「朝っぱらから“お騒がせ”とは恐縮だが、止むを得ん!」呼び出し音が微かに聞こえた。

ミスターJの朝は早い。“前線基地”のベッドから抜け出す際、大いびきを掻いて寝ている“スナイパー”を起こさない様に、細心の注意を払った。身支度を整えてから、2階のカフェへと降りる。熱いコーヒーを注文して「やれやれ、轟音轟く部屋では落ち着かん!」とグチが出る。その時、携帯に着信が来た。「おはよう、リーダー。何かトラブルか?」「朝早くに申し訳ありません。ミスターJ、今宜しいでしょうか?」「構わんよ。何があったんだ?」ミスターJは即座にトラブルの気配を察した。「実は・・・」リーダーは、¨黒のベンツ¨の件とサーバーの情報の件を最大漏らさずに説明し始めた。「そうか!やはり¨タダの代物¨では無かったか!私もそれが気掛かりだったのだ。まず、¨黒のベンツ¨だが、どうやって隠した?」「今、擬装網を大隊長の所から取り寄せて、覆い隠す手を取りました!暫くは八王子に留める事は出来ます」「うむ、最善手だな。問題は、キャリアカーの修理か?」「はい、かなりの深手を負ってしまいました。隊員の見立てでは、¨基地¨との往復を含めても1週間はかかりそうです。3軸車で輸送する事を考えると、予断を許しません!」「やむを得ん!至急¨車屋¨に連絡してパーツの手配を依頼しろ。キャリアカーは、3軸車に積載して昼前には¨基地¨へ向かわせる手配を取れ!アイツが無くては万が一の場合に、手足を失いかねん」「では、直ぐに準備を始めます」「次は、サーバーの情報だが、実際に見て判断しなくては各方面に要らざる影響が出かねないな。¨U事務所¨と¨連合艦隊¨の代表者も同席した上で、精査した方がいいだろう。そちらの手配は、こっちでやるとして、昼前には八王子へ出向くとしよう。それまでに詳細に分析をして置いてくれ!¨基地¨へはデーターを転送してあるな?」「はい、既に完了しています」「よし、私達が行くまでに可能な範囲の事は進めて置け。それと、リーダー!昨夜からの¨作戦¨でロクに寝ておらんだろう?お前さんは、必要な手配を済ませたら仮眠を取れ!指揮官がフラフラでは士気に影響が出る。休むのも任務だぞ!」「はい、正直に申しますとそろそろ限界ですので、休ませて頂きます」「そうしなさい。肝心な時に判断を誤ってはいかん!誰も咎めはせん。暫し休め」「分かりました。では、昼前にお待ちしております」リーダーは恐縮しながら携帯を切った。「ふむ、ある程度予測はしていたが、それ以上に手強い相手だったか!それにしても、最低限の手は打てた。後は私の手で¨調理¨するしかあるまい」ミスターJはコーヒーカップを手に暫し考慮に沈んだ。「おはようございます、ミスターJ。すっかり寝過ごしました」¨スナイパー¨がフラりと現れた。「お前さんのイビキは、ジェット戦闘機と同じだ。まずは、コーヒーでも飲んで目を覚ませ!」ミスターJが苦笑しながら言う。「八王子から何か言って来ましたか?」「ああ、いずれも¨予測を超えた化け物¨だったらしい」ミスターJは、駆け足で八王子の件を話した。「ベンツで約3tですか、どうやら¨アラブ仕様¨の様に感じますね。VIP護衛用の特殊仕様車じゃあないでしょうか?」¨スナイパー¨はそう推測した。「具体的にはどんな仕様になる?」ミスターJが誰何する。「考えられるのは、防弾仕様と武器の搭載ですね。拳銃やライフル、自動小銃では貫通出来ないくらいの防弾処理と、機銃が装備されている可能性はあります。フロントに25mm機銃を持っていて、蓋物ってつまりボンネットやドアやトランク、ルーフの事ですが、標準仕様より倍以上の板厚の鋼鈑と装甲板で固めてあるヤツではないかと。燃料タンク回りにも防弾板を張り巡らしてあるでしょう。機銃は流石に付いてはいないと思いますが、やたらと重たい理由は防弾で説明が着きます!」「仮にそうだとすると、板金処理は出来るか?」「この手の仕様の場合は、交換が主な修理方法になりますね。¨撃たれる¨事を想定しての仕様ですから、板金はハナから考えてはいませんよ。恐らく、制作段階で複数の補修用パーツも作ってあるはずです。そうしないと、効率は悪いし非常時に間に合いませんからね。多分、¨シリアルNo¨で管理していると思いますよ」「なるほど、かなり特殊な仕様と言う訳か。生産台数も限られるし、俗に言う¨レア物¨になるのだな?」「はい、マニアに取っては¨お宝¨ですね。相場は有って無い様なものです。完全オリジナルなら¨言い値¨がすんなり通りますよ」¨スナイパー¨は、コーヒーで喉を潤す。「もし、売りに出すとすれば、どんな手がある?」ミスターJは、難しい顔で尋ねる。「そうですね、¨車屋¨の見解を聞く必要性はありますが¨ネットオークション¨なら可能性はあるかも知れません。ただ、破損の程度と補修パーツの有無がネックと言えますが・・・」「好事家ならば、修理が必要でも応札する者は居る可能性はあると言うのか?」「旧国産車両でも1千万円のプライスカードがぶる下がってても、買い手は着くんです。価格は要検討ですが、同じ水準で売れる可能性はゼロではありませんな。ましてや、ベンツともなれば、状況次第では行けると踏んでもいいと思います」「¨スナイパー¨、昼前に八王子へ出向く事になっている。お前さんの目と¨車屋¨の見解を合わせて、ベンツを売りに出せるか否かの判断を任せていいか?」「ご指名とあれば、お引き受けします!」「よし!1円でも高く捌いてくれ!抹消手続きは、M女史に言って速やかに行わせる。残るはSのベンツだが・・・、」「あれは米軍にくれてやりましょう!通常仕様では中古価格にしかなりませんし、攪乱波を喰らった見本として進呈した方が双方のためです」「そうだな、¨飴玉¨は確かに必要性はある。Sを養って貰う以上、タダと言う訳にはいかん!さて、目は覚めたか?¨スナイパー¨、八王子へ出向く支度にかかるぞ!」「はい、承知しました!」2人はカフェを出ると¨前線基地¨へ戻った。

「一体、いつになったら取り調べるんだ!!」S氏は癇癪を起こして部屋中に蹴りを入れて居た。この¨素敵なホテル¨に宿泊する羽目になって3日目の朝である。食事は旨いが、部屋から呼び出される事はまだ無い。何の嫌疑がかかっているのか?も分からないままでは、落ち着けと言うのにも無理があった。「うぬー、撹乱波発生機が絡んでいるのは間違いないが、¨U事務所¨とミスターJの¨司令部¨襲撃をどう誤魔化す?米軍が関わって居る以上、嫌疑をすり替える事も出来ん!」熊が檻をぐるぐると歩き回る様に室内を徘徊するが、事態は変わらない。部下達が何を聞かれ、何を話したのか?それさえ分かれば、彼も対処のしようはあった。だが、何一つ分からないのでは手の打ち様も無い!外部に頼るにしても、¨後ろ暗い点¨がある限り釈明にも限界はあった。そんなS氏の姿を監視モニター画面で、冷静に見ている視線があった。クレニック中佐とスタイナー少佐であった。「大分、イラついているわね。部下達の尋問はどう?」「はい、観念したのか非常に協力的です。3名全員が¨取引¨に応ずる代わりに亡命を希望しています!」「それは、我々の希望する¨品物¨の新規入手も含めての事かしら?」「勿論です!既に¨発注¨を済ませました」「表向きは、S氏の名前になっているわよね?」「イエス・サー、抜かりはありません!」「申し訳ないけれど、彼はまだ利用価値がある。本人は不本意かも知れないけれど、私達にとっては大切な¨持ち駒¨よ!丁重に扱ってあげなさい!」中佐は微笑みながら言った。「今晩は¨シャドー¨のボスがお目見えになるわ。パーティーの手配も抜かりなく!」中佐は心なしかウキウキしていた。「久々の再会、愉しみだわ!」

リーダーは、仮眠を取る前にキャリアカーの診断を行った“機動・遊撃隊員”を集めた。「ミスターJの決断が下った。キャリアカーを“基地”へ回送・修理する!3軸車を運転できる者は居るか?」と問うと全員が手を上げた。「では、代表者2名を選抜しろ。直ちに出発準備にかかってくれ!“車屋”への連絡はこちらでやる。積載を完了し次第“基地”へ向かえ!」「了解!」隊員達は直ぐに駐車場へ向かった。携帯を取り出したリーダーは、“車屋”を呼びだす。「“車屋”、緊急事態発生だ!これから“基地”へキャリアカーを送る。大至急修理の準備を始めてくれ!」「分かりました!キャリアカーの損傷の程度を教えてください!」「リヤサスのリーフスプリングが折れているし、フロントサスも怪しい。エンジンは、過負荷状態で走行したために焼ける一歩手前まで行った。フレームも含めてかなりの重傷だ!」リーダーは概要を説明する。「分かりました。これから必要な部品をかき集めますが、どうしても時間は必要です。可能な限り急ぎますが、回送日時も含めて1週間は下さい!」「それは分かっているよ。生半可な修理じゃない。ともかく完全に修理して戻してくれ!」「了解です!ベンツはどうなりました?」「重すぎて回送する手が無い。装甲車と同じだよ。ミスターJとも話したんだが、キャリアカーを優先する事になった。後刻、ベンツの件で連絡が行くかも知れない。携帯を手放すな。3軸車は、間もなく出発する」「了解です!回送を待ちながらVIP仕様のベンツについて調べてみます!」「済まんが宜しく頼む」リーダーは携帯を切った。「リーダー、寝床の準備は出来てます。休んでください!」N坊と“シリウス”が声をかける。「済まんが、暫く寝かせてもらう。Fと一緒に“情報”の分析を頼む。昼前にはミスターJがお見えになるから、その頃までには目鼻を付けて置いてくれ!」リーダーは今にも沈没しそうになりながら言った。「了解です。おやすみなさい」N坊と“シリウス”は、リーダーが寝袋に入るのを見届けてから、F坊の元へ行った。「F坊、どうなってる?」“シリウス”が声をかけると「コイツを見てくれよ!同業他社や契約先企業、株の投資資料、芸能人の個人情報、裏社会の情報まで多岐に渡って調べ上げてありやがる。インサイダー取引や粉飾決算の情報まで揃ってるぜ!何処で線を引くかで目が回りそうだ。下手な手出しをすれば、あちこちに悪影響が出かねない!」F坊は眉間に皺を寄せて唸っていた。「どれどれ、こりゃあ酷い!手あたり次第にハッキングしまくったな!選別は何処まで進んでる?」“シリウス”が席を替わってモニターの前に座り、難しい顔つきになる。「手の付けようがない!どれが重要機密かなんて判断が付かないんだ!」流石のF坊も自棄になっている。「そうは言っても、カテゴリー毎にフォルダへ振り分けられてる。何とか取捨選択する手は無いかい?」N坊が考える。「どれが重要機密に当たるのか?を決めて貰わなくちゃ手のつけようが無いな。表から裏まで一貫した情報が結構ある。重点区域を踏んだら自爆しかねんよ!取り敢えず、芸能人の個人情報と株の投資資料とインサイダー取引や粉飾決算の情報は切り離せるが。それでも、事務所単位で考慮したら関連があるかも知れない。本当に謎々だな」“シリウス”の見解もF坊とさして変わらなかった。「そうなると、ミスターJが来られるまでお手上げかい?」N坊が言うと「物差しが無いと測れないのと一緒だよ!さっきも言ったが、1歩間違えば自爆しかねん!目録を作るのが精々だな・・・」「じゃあ、目録だけでも作ろうぜ!やらないよりはマシだろう」N坊が端末に向かう。「そうだな、少しでも効率を上げるにはそれしかないな!」F坊も端末に向かう。「フォルダ単位で精査して行くぞ!手は掛かるが止むを得ん!」“シリウス”がフォルダを操作して中身を確認していく。3人は骨の折れる作業に沈んでいった。

某県坊刑務所。Kが収容されているその刑務所では、“緊急事態”に右往左往していた。「何が原因だ?!」刑務所長は看守達を呼び集めて事情を聴いていた。「分かりません!今朝から急に高熱を発して、倒れたんです!」「前兆は無かったのか?」「昨夜は何も思い当たる節はありませんでした。ともかく高熱を発しています!このままでは危うい事態になるのは間違いありません!」Kは40℃近い高熱を発して、房内で倒れているのを発見されて医務室へ収容されていた。「房内に不審な物は無かったか?」「いいえ、1週間前に切り花 が差し入れられてますが、一昨日に処分しています。後はKの私物だけです!」「切り花か・・・、発熱の原因とは考えにくいな。医務官からの報告は?」「インフルエンザではないそうですが、原因は不明との事です!X線画像にも異常は無いそうです!」「ともかく、警察病院へ搬送しろ!それと、もう一度房内を徹底的に洗え!」刑務所長は決断した。Kは最寄りの警察病院へ搬送され、看守たちは房内を再点検した。「おい、これを見ろ!蚊の死骸だ!」「今頃、蚊が飛んでいる筈が無い。だが、蚊で高熱を発するとしたら、どんな病気がある?」「幼児なら、日本脳炎とかがあるが、50代のKが感染するか?」「分からん!とにかく採取して分析だ!」「俺は所長に報告して来る!」看守たちはあたふたとKの房を出た。「なに?!蚊の死骸だと?!だとすると、一昨日処分した切り花が怪しいな!まだ、残っているか?」「いえ、昨日廃棄しています」「切り花を差し入れたのは誰だ?!」「横浜のR法律事務所の事務員です。Kの国選弁護人を務めた弁護士事務所です!」「至急、連絡を取れ!入手ルートを確認しろ!蚊の死骸は分析を依頼しろ!」「はい!」看守達は大慌てで走り去った。「何が起こっているんだ?!Kの体内で?」刑務所長は首を捻った。

刑務所からの問い合わせは、主の居ないR法律事務所から、U法律事務所へ自動転送された。「1週間前に切り花の差し入れですか?!丁度その頃はR弁護士が急病で倒れて入院した時期と重なります。差し入れなどに行っている状況ではありません!ええ、MRSAに感染して生死の境を彷徨っていた状況です。接見などに出向いている事態ではありませんでした。ええ、事務員の写真ですか?分かりました、手配します。はい、受刑者が原因不明の高熱ですか?!蚊の死骸?!ともかく手配します!」U法律事務所の社長は驚愕すると同時に、ミスターJを呼び出した。「社長、どうされました?」ミスターJは“スナイパー”の運転する車の中で答えた。「ミスターJ、刑務所からの緊急通報です!Kが原因不明の高熱を発して倒れ、警察病院に収容されたそうです!その件でR女史に嫌疑がかかっています!」「何!原因は何です?」「房内で蚊の死骸が見つかり、1週間前に差し入れられた切り花が関係していると刑務所側は言ってます!」「1週間前だと、R女史はZ病院内で意識不明の重体だったはずだぞ!刑務所は何を寝ぼけている?!」「1週間前にR法律事務所の事務員を名乗る人物が刑務所を訪れています。何処の誰かは知りませんが、Kに何かを仕掛けたのは間違いありません!」「R女史とKの関係に関する情報は何処から漏れたと思う?市井の人間が知り得る情報ではないはずだ!」「推測の域を出ませんが、Sが関わっているとすればどうです?」ミスターJの背筋に冷たいものが流れた。「社長!八王子で検討しよう!Sの線は有り得るかも知れない!青竜会の残党がKを消しにかかったと見れば、何となく説明がつく!至急、八王子へ!」「分かりました。急いで行きますよ!」U法律事務所の社長は電話を切ると、車を八王子に向けて急発進させた。ミスターJは、M女史を呼び出した。「姉さん、至急調べて欲しい事案がある!Sの預金通帳の入金記録だ!」「それが何に関係するのですか?」「Sが裏社会と取引をした証拠が無いかを確認するためだ!今、1人の受刑者の命が危うい。Sが情報を横流ししたなら、カネの動きがあるはずだ!」「S個人の預金口座の通帳は、自宅マンションの金庫の中です。至急調べてお知らせします!」「うむ、出来るだけ急いでくれ!事は急を要する事態だ!宜しく頼む」ミスターJは電話を切ると、今度は八王子の“司令部”を呼びだした。「私だ、至急R女史に関する情報を全てプリントアウトして置け!緊急事態だ!」「はい!でも何があったのです?」F坊が誰何する。「Kが狙われた!何者かは分からんが、消しにかかられた!」「まさかSの野郎が情報を横流しした結果ですか?」「まだ分からん!だが、可能性はゼロではない!後、40分以内に着く。それまでに用意して置いてくれ!」「了解!直ぐにかかります!」F坊が答えると直ぐに電話は切れた。「“スナイパー”、全速で八王子へ!」ミスターJは指示を出す。「了解!ちょっと荒っぽくなりますよ!」“スナイパー”は隙間を縫うように車を前へ進める。エンジンの咆哮は高まり、車速は上がった。「何が起こっているんだ?」ミスターJは必死に思いを巡らせる。「蚊の死骸か・・・、キーワードはそれしか無いが、何か引っかかるな?」思いがけないKの高熱騒ぎ。又してもR女史に災禍が降りかかろうとしている。それだけは確かだった。

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