縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

双子の大珠と八ヶ岳~黒姫山ライン・・・天神遺跡出土の大珠複製

2019年02月07日 17時12分46秒 | ぬなかわヒスイ工房

半年前に注文された天神遺跡出土の大珠が完成。


白い方は模様のコントラストが似ているが、色がイマイチだったので濃い緑のヒスイでも作製。左は製作前のモックアップ(木製の試作品)

最初に作ったのは、天神遺跡大珠のコントラストに似た原石使用。

後から作った濃い緑のタイプ。実物は平らな面と平行な石目が上部の左際から頭頂部にかけて入っており、孔の中に石目の線が見える。狙って作ったのだが、石目が同じ位置に来てくれたので感激。

裏の孔は片側穿孔で貫通した際にできたらしき欠けを修正したような切削傷が短軸方向に残っていたので、最後に粗い砥石で同じような傷をつけた。

 

実物は段違いに質のいいヒスイだが、外見上は二つ足すとちょうどいい塩梅に似ているので、片方は天神遺跡を見下ろす家に住む注文主へ、残りはぬなかわヒスイ工房に置くことにした。


言わば双子のような大珠が、六千年前に大珠を求めた土地と、原石供給地に存在することに物語りを感じる。

注文主は昨年夏にぬなかわヒスイ工房に訪ねてきたカリスマブロガーさんだが、私から彼の自宅が天神遺跡すぐ近くだと教えられ、縁を感じて大珠複製を注文してくれたとのこと。

その後、色々と調べたら八ヶ岳と黒姫山は浅からぬ縁があると感じ、縄文や奴奈川姫伝説にも興味を持ったらしい。


平成最後の元旦の黒姫山。八ヶ岳~黒姫山ライン、今年は動き出す予感がする。



 

深夜にアイヌ語を聞いて涙する・・・「ゴールデンカムイ」

2019年02月05日 08時40分50秒 | 縄文

北海道旅行中にアイヌの方々が口々に絶賛して薦めてくれたのが漫画「ゴールデンカムイ」

集英社さんから転載した主人公の杉元佐一

 

漫画の公式サイトはこちら

https://youngjump.jp/goldenkamuy/

明治期の北海道で砂金を探す和人のタフガイとアイヌの話しと聞けば、すでに手塚治虫が「シュマリ」を描いているではないかと気が進まなかったが、レンタルしてみたら16巻を一気に読了して、今はアニメ版のレンタルに移行。

集英社さんより転載した主人公のアシリパさん


アニメの公式サイトはこちら

http://www.kamuy-anime.com/

 狩猟・サバイバル技術・ジビエ料理・習俗などのアイヌ文化や、民族差別、日露戦争当時の銃器など多岐に渡る事柄が破綻なく詳細に描かれているばかりか、シリアスとコメディの硬軟バランスが秀逸。
 
登場人物のキャラクターの背景もきちんと描かれているから、極悪の犯罪者や猟奇的な変質者であってもどこか憎めず哀れみさえ感じる。
 
この漫画の登場人物たちは変態さんが実に多いのだが、人間の行動を深層心理まで踏み込めば、誰でも変態さんの要素は持っているのだということか。
 
作者である野田サトルさんの深い人間洞察と、存在への優しい眼差しを感じる。
 
とにかく面白い。

アニメ版でもアイヌ語の会話が頻繁に出てくるが、アイヌ語会話が全国放送のアニメで流れるのは始めてではないか?

このことだけでも快挙と言えまいか・・・。

日本は単一民族国家などではないのだ。

チセ(アイヌ民家)で囲炉裏を囲みながらフチ(老婆)が会話する場面で、私の北海道での実体験が蘇ってきて不覚にも泣いてしまった。

縄文に興味のある人にも狩猟採集民族の世界観を勉強できるので絶対にお勧め!



富山沖のヒスイ鉱床説と遮光器土偶宇宙人説・・・可能性だけならなんとでも(笑)

2019年02月02日 17時49分44秒 | ぬなかわヒスイ工房

縄文から古墳時代まで富山にはヒスイ加工遺跡が多いのだが、富山の考古学の先生方から「出土品のヒスイは糸魚川産だけでなく、富山沖にヒスイの鉱床があり、朝日町の海岸に打ち上がった富山産の可能性がある」という話を何度か聞いている。

「富山沖のヒスイ鉱床」について、何を根拠にしているのかと不審に思っていたのだが、ついに記述のある専門書を見つけた。

「富山沖に想定されるヒスイ鉱床」と記述はあるが、なんと本にも根拠の記述は無かった!

 

山から崩落して河川で砕かれ、海の波で丸められた原石を「海ヒスイ」と呼ぶが、山ヒスイ、川ヒスイ、海ヒスイはそれぞれ大きさや形状に特徴を持つ。

遺跡から出土する原石は大きくても赤ん坊の頭サイズとそれほど大きくなく、丸みもあることから山や河川で拾ったヒスイではなく、海岸で採取したヒスイというのが考古学的な一般見解のハズ・・・。

海底の鉱床から打ちあがったヒスイにはその過程がない訳だから、でっかくてゴツゴツしたヒスイ原石が富山の海岸に打ち上がっているのか?

そんなことはない。

ヒスイ拾いをする人なら誰でも知っていること。

糸魚川市の須沢海岸(ラベンダービーチ)から姫川方面(東側)を望む。

 

最寄りの海岸までまっすぐにヒスイが打ち上がるという考え方も変で、海流に運ばれてもっと広範囲に分布しないのは変じゃないの?

同じく須沢海岸から富山方面を望む・・・糸魚川は海岸段丘が発達しており、素潜りして確認した限りでは海底も同じく段丘が発達しているようだが、沖合から岸に向かって重たいヒスイが打ち上がるには段丘を幾つも越えてこないとねぇ~。

 

隣りの県だし、海の中に県境が引かれている訳でもないのだから、何も富山産の可能性とまで産地に拘らなくてもいいようだが、おらがクニの自慢にしたいのだろうか。

先日、糸魚川での講演でその事を話したら、聴衆から「そんなこと言うなら県境に防波堤を作ってヒスイが富山に流れないようにしろ!」と、私も知っている鉱物方面の大御所が怒っていたと聞いて笑ってしまったが、私にとっては講演で笑いを取れる有難いネタでもある。

地学や鉱物の専門家に聞いても私と同じ見解だったが、富山にも地質学者や鉱物学者はいるだろうに、考古学者と同じ見解なのだろうか?

富山沖に蛇紋岩帯が露頭しているという発見でもあれば、私も聴く耳は持つ。

例えば遮光器土偶は宇宙人である!と同じレベルで、可能性だけなら何でもありだ。