縄文人(見習い)の糸魚川発!

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あの感じ・・・大首飾りプロジェクト

2018年03月19日 07時24分16秒 | ぬなかわヒスイ工房

監修役の考古学者に試作品の丸玉をお見せしたら、「並べると実物と見分けが付きませんねぇ・・・」と取敢えずの合格点を頂いていたが、本人は物足りなかった。

私のヒスイ加工は平面研磨機に取りつけたダイヤモンドディスクで切削して耐水ペーパーで研磨しているが、この方法だと石の表面が平滑になるため内側から発光するような光沢になり、印象が近代的になるのが気に入らない。

出土品特有の野趣を残した滑らかで柔らかい光沢・・・「あの感じ」とは似て非なる別物なのだ。

研磨方法を工夫して「あの感じ」に近くなってきた丸玉。

 

「あの感じ」は砥石で研磨し、最終仕上げになめし革か桐の板材などに何らかの研磨剤を付けて磨く事でできるらしい・・・。

縄文時代の研磨剤は何だったのか?

「出雲上代玉作遺物の研究」という大正時代に出版された京都帝國大学の報告書に、大正時代にはベンガラを研磨材にしていたと記述があった。

当時はレンズなどもベンガラで研磨していたらしいが、やがて酸化セリュウムにとって代わられたようだ。

ベンガラなら縄文人だって作っていたし、如何に微粒子かという事はフェイスペイントすると水洗いしただけでは簡単には落ちないという経験から身をもって知っている。

「あの感じ」を出す試行錯誤で辿り着いたのが、中研磨だけ砥石で人力研磨する方法。

 

自作したベンガラは持っているが、周囲が赤く染まってしまうのでダイヤモンドペーストで代用、なめし革はフェルトバフで代用してみた。

大満足とはいかないが、「あの感じ」に近づいてきた。

因みに写真の製氷皿は、全て寸法が違うナンバリングされた丸玉を再現する必要があるので、混ざらない工夫。


出土品の孔の開け方には両側穿孔と片側穿孔があり、鼓形になった両側穿孔を忠実に再現した試作品を観た監修の先生は「ちゃんと両側穿孔になってますねえ!」と気付いてくれた。

大袈裟に表現したが、孔の直径が中心近くで細く、両端が開いた鼓形に開いているのが両側穿孔の特徴で、片側穿孔場合は三角錐に孔が開いている。


些細な工夫に気付いてくれるので遣り甲斐はあるし、もっと高みを目指したくなる。


それにしても赤瑪瑙の丸玉はイクラのようだ・・・古墳時代の人は子孫繁栄や鮭の豊漁を願って作ったに違いない(笑)





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