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「太平洋ひとりぼっち」・・・コロナ自粛期間に映画を二度もみた

2021年10月19日 08時18分37秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

俳優になる前から映画が大好きだった石原裕次郎さんは、様々な制約のある日活を飛び出して石原プロを設立、最初に選んだ仕事が「太平洋ひとりぼっち」の映画化だった。

「ノーマネー・ノーパスポート・ノーイングリッシュ」の24歳の青年、堀江謙一が密出国でちいさなヨットで単独無寄港太平洋横断をした航海記の原作を忠実に映像化している。
 
両親役の森雅之と田中絹代の演技も深くて見事だが、協調性がなく自分勝手な堀江を諌めつつ面倒をみる先輩役にハナ肇が、得意のコメデイタッチを封印してニコリとも笑わず演じており、そして独立して自分が思い描く理想の映画を作くれるようになった裕次郎さんのノビノビした演技が、高度成長期の勢いとリンクして気持ちいい。
また嵐の海の特撮は円谷プロが独立して最初の仕事。本編は市川崑監督の本格派ドラマ。納得のいく映画、いい映画を作りたい!という映画人たちの欣喜雀躍がヒシヒシと伝わってくる。
もちろん高校時代からヨットに乗っていた裕次郎さんのセイリング場面も見所。
 
かわいらしいのは、アサヒビール・森永・シャープの製品が何度もアップになるところで、資金のない独立プロがスポンサー企業の宣伝をしている経済事情以上に、わざわざ商品のラベルが見えるように持つ裕次郎さんの義理堅さを感じる。
 
余談だが、同時期の三船プロの最初の映画は三船敏郎さんみずから監督を務めた戦争物で、心配した恩師の黒澤明監督がラッシュをチェックしたら、軍服姿の敏郎さんがポケットからリポビタンDを取り出して飲む場面にひっくり返り、黒澤組の助監督を派遣したという逸話もあり、これも義理堅い三船さんらしい笑い話。
孤独・・・孤立は大勢のなかで理解者がいない状態で耐えがたいが、ボクは自分から選んでひとりで海に出た孤独だから耐えられる・・・というようなことが原作には書かれているが、実際には孤独感で大変だったようだ。ただしこの航海以降の堀江さんの航海記には、孤独を楽しむ余裕ができたと書かれている。
 
原作の「太平洋ひとりぼっち」は小学校で仲良しだった永野君からすすめられて以来、高校卒業までに10回は読んでいるし、映画も何度も見ているが、コロナ自粛期間に2度も観た。
 
サンフランシスコに到着したら刑務所入りを覚悟していた堀江さんは、シンプルに海を渡りたいから渡っただけ。
 
海の開放感・・・海に出たい病がたかまっている。