縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

待てば海路の日和あり・・・丸木舟のひび割れ対策

2014年05月05日 21時20分28秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト



ここ数日の糸魚川の海は沖に白波が砕け、風もビュービューと吹く状態

新潟県内の東部は遠浅の砂浜もあるが、西部の上越地方は海岸段丘が発達しており、天気予報で沖合の波1mと予報されれば、シーカヤックの出艇が難しくなる。

おまけに初日のキャンプ予定地の上下浜で痛ましい海難事故まであったから、「海のヒスイ・ロード」航海実験は海況の回復待ち状態である。


準備に追われて立眩みするような体調だったから、これ幸いと休息に努めたいのだが、何時かやらなきゃと気を揉んでいた丸木舟のひび割れ対策に精を出す。


ひび割れは二隻目の明星丸が深刻だ。
只で貰った針葉樹のメタセコイヤで作った丸木舟で、最初から芯割れしていたので覚悟はしていたものの、ひび割れ対策
でイタチゴッコをしているのだ。
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能生町に置いてある明星丸(全長5.5m)
メタセコイヤは桐のように軽くて柔らかい樹種で、含水量が多いので丸木舟には向いていないようだ。
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乾燥防止に船内に水をれておいたら、ひび割れから水漏れしているのを発見。
ひび割れは
木目が粗くて軽い右舷に集中していた。


今回のひび割れ対策にはチキリを入れた。
チキリとは樫やケヤキなどの硬い材木で蝶々の形に作った板材を、ひび割れさせたくない部分に埋め込んで動きを最小限に止める方法である。
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ケヤキ板に墨出ししてから切断するが、小さいチキリを沢山作るのでこの段階でバラしてしまうと後の仕事が面倒・・・寸止めでバラバラにならないように工夫した。

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細長い板状にした材木をバイス(万力)固定して、鋸でラフに切り取っていく。
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鋸で切り取ったあとはノミで仕上げ。最後に鋸で切り離す。
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チキリに合わせて丸木舟のひび割れ箇所に切り込みを入れて木工用ボンドを塗ってチキリを叩き込む。
柔らかい木なので、ノミを砥いでないとボサボサに毛羽立ってえらいことになる。
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木工用ボンドが乾いたら、鋸で出っ張ったチキリを切り取り、ノミで仕上げて平らに均す。
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ひび割れにエポキシパテを充填。この後に鉋をかければ綺麗になる。


沖縄の伝統木造漁船「サバニ」の名人船大工として知られる、新城康弘さんを記録した「潮を開く舟 サバニ」をテキストにして、チキリの寸法などを参考にした。

因みに沖縄のサバニ大工はチキリではなく、フンドー(分銅)というそうだ。
チキリの寸法は幅八寸(24㎜)×高さ一寸六部(48㎜)

今回は14個製作。
青森から帰ったら、まだ作らないと・・・疲れた。

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