■3月9日(日)~3月15日(土)
□高橋正子選
【最優秀】
★一山の湧き水清し蝶の昼/小口泰與
俗世を離れた静かで明るい世界が「蝶の昼」として詠まれた。一山から湧いて流れる水は清く、蝶が飽きることなく舞っている。(高橋正子)
【特選5句】
★風光る沖で入港待ちの船/高橋秀之
きらきらと耀く沖で、入港を沖で待っている船。船の待つ沖は、心地よい風が吹いているであろう。急がない春の時間がここにある。(高橋正子)
★下萌の川原ひろびろ橋渡す/かわな ますみ
ようやく草が萌え出した川原。そこに長い橋がかかっている。川原がひろびろしていることはもちろん、橋ものびやかである。下萌の川原であるからこそ、このような広さが見える。(高橋正子)
★春塵の窓拭き透かす空の青/小河原宏子
塵とはいっても、「春塵」となれば、その言葉も美しくなる。うっすらと塵に汚れた窓を拭くと、空の青がすっきりと見える。こういった嬉しさが主婦の日常にはある。(高橋正子)
★芝焼くや火の波うごき広がれり/丸山草子
芝を焼く。地を這う火が時に勢いづいて波打って広がる。枯芝に広がる火の原初の姿が見える。(高橋正子)
★いっせいに花かず増やし白木蓮/岩本康子
一雨ごとに気温があがってくるころ、白木蓮が咲き始める。ある日、いっせいに白い花が枝々に咲いて、その見事さに驚かされる。「花かず増やす」は、的確な把握。(高橋正子)
【入選Ⅰ/10句】
★しゃくし菜の花菜となりても茎白し/かつらたろう
自然をよく見つめられて作られた句だなと思いました。「花菜となりても茎白し」と詠まれたことが、新鮮な野菜の命の輝きを感じさせてくれます。(井上治代)
★春日浴び駆け行く子らの影短し/飯島治蝶
日が長くなり、太陽も空の高い位置を通るようになりました。強くなっていく日差しと、同じように短くなっていく影、春が進んでいくのを見つめておられる様子が伝わってきます。(多田有花)
★浜風に揺るる目刺の背ナ青し/篠木 睦
海辺の風景が浮かびます。美味しい目刺が出来る事でしょう。(堀佐夜子)
★自転車を置いて子ら寄る蝌蚪の池/小川美和
一人が蝌蚪を見つけてわっと自転車降りて皆で見入ってる様子良く見かけたこと思い出します。春ですね。(大給圭泉)
★菜の花やトロッコ電車の止まる駅/大山 凉
菜の花の咲くローカルな風景が見えます。トロッコ電車が味わい深い句に仕立てています。(飯島治蝶)
★花菜畑に見えかくれする肩車/大給圭泉
うららかな春の一日を家族で楽しんでいる様子がよく伝わりなんとなく心温まる句ですね。(篠木 睦)
★青麦の風さらさらと鳴り渡る/池田多津子
麦の揺れる様と風の音が活き活きとした感じを与えてくれます。(笠間淳子)
★里山の上り下りに芽木親し/臼井愛代
目に触れる、とりどりの木々の芽立ちが春めく嬉しさです。一段と季節の明るさの増す里山に入り、道行く心楽しさが快く伝わってきます。 (藤田洋子)
★春泥を飛んで見せたるランドセル/宮本和美
ランドセルを背負った子が元気よく飛んで見せたのでしょう。生き生きとした子どもの姿が大好きです。(池田多津子)
★雪吸いて黒き土より草萌える/竹内よよぎ
冷たい雪をしっかり吸い込んで、それを命の水として芽生えた草の力強さを感じま
す。黒い土の上に見え始めたさみどり色に春の勢いがあります。 (池田多津子)
【入選Ⅱ/11句】
★湿り気の森の小道よ春の香よ/祝恵子
芽吹きのころの森は独特の香りに満たされます。しっとりとした森の小道を歩きながら、胸に吸うその香りはまぎれもない春の息吹です。(多田有花)
★空の青濃くして雲雀落ちにけり/まえかわをとじ
青く晴れ渡る空と雲雀の晴ればれと清々しい光景です。空色の濃さに、一層急降下する落雲雀の鮮明さを感じます。 (藤田洋子)
★まんまるの竹の切り口風光る/あみもとひろこ
うらうらと晴れた春の日に、春風が吹き、蝶が飛び交い、菜の花は咲き乱れている。のどかな日に、切ったばかりの青々とした竹の切り口に感銘をしている作者は素敵だと思います。(小口泰與)
★馬酔木咲き吾が身ほとりを浮立たす/甲斐ひさこ
びっしりと花をつけた馬酔木の近くに立てば、数多の花のいきおいに、その辺りが浮き立っているかのようです。つい近寄って眺め、香をきき、触れてしまう、鈴なりの馬酔木の花の存在感があります。(臼井愛代)
★み仏の座の春塵を拭いけり/黒谷光子
静かな心で、み仏の春塵を払わせていただくことにより、自分の心身も清らかになるようなすがすがしさがあります。(臼井愛代)
★三輪車春の泥付け幾度も/堀佐夜子
暖かい日が続くようになって、外で遊ぶことの多くなった子どもたち。まだ柔らかい泥がついてもなんのその。三輪車で元気よく走ります。それを見ている作者のまなざしも春の喜びに満ちています。 (池田多津子)
★過ぎし日の話などして雛の夜/吉川豊子
子どもの幼い頃の思い出話をしながら白酒を酌み交わしている情景が浮かびました。春の夜のほのぼのとした温かさが心に沁みてきます。(井上治代)
★春光の一直線に野山越え/河野啓一
春の麗しい光を、「一直線」「野山越え」と大きな心で捉えられました。春の野山を越えて「一直線」に作者に届いた光に、清々しさがあります。(池田加代子)
★つばくろのはげしき風に向かいけり/おくだみのる
空をスイスイ自在に飛び巡るイメージのツバメが、激しい風に翻弄されながら向かっていく姿。それだけで胸がいっぱいになります。(池田加代子)
★遥かなる円弧の海も風光る/松本千恵子
丸みを帯びた水平線のかなたまで、春の日にきらきらと輝いています。光に溢れた、穏やかな春の海が目に浮かびます。(臼井愛代)
★桃の花咲きて季節の確かなる/笠間淳子
枝に沿ってびっしりと花を咲かせた桃の木に、確かな季節を感じます。桃の花の周りは時間の流れがゆったりとしていて、濃厚な春を纏っているようです。(池田加代子)
■互選高点句
□集計/臼井愛代
【最高点/6点】
★浜風に揺るる目刺の背ナ青し/篠木睦
(和美・泰與・ひさこ・光子・凉・佐夜子選)
浜の当節の風物詩、下五の「背な青し」が抜群です。さらりと詠い成功している。好きな句です。(宮本和美)
「春の穏やかな日差しの中、波もゆったりとして、やわらかな浜風の中に小魚数匹を連ねて、串を通して干されている目刺の青い背中に春を感じた作者の素敵な句だと思います。(小口泰與)
浜辺に干されている目刺の青が新鮮で、潮の香を感じる好きな句です。(甲斐ひさこ)
串にさした目刺しが風に揺れている漁場の風景なのでしょう。「背ナ青し」にいきいきとした景を思います。(黒谷光子)
浜辺に干されている目刺が青い背が浜風に揺れている潮の匂いが漂う、のどかな海辺の素朴な光景が目に浮かびます。(大山 凉)
海辺の風景が浮かびます。美味しい目刺が出来る事でしょう。(堀佐夜子)
【次点/5点2句】
★菜の花の泳ぐスープに匙かざす/かわなますみ
(よよぎ・宏子・凉・啓一・ひさこ選)
★自転車の子は春泥を避けもせず/黒谷光子
(をとじ・睦・美和・治蝶・たろう選)
□高橋正子選
【最優秀】
★一山の湧き水清し蝶の昼/小口泰與
俗世を離れた静かで明るい世界が「蝶の昼」として詠まれた。一山から湧いて流れる水は清く、蝶が飽きることなく舞っている。(高橋正子)
【特選5句】
★風光る沖で入港待ちの船/高橋秀之
きらきらと耀く沖で、入港を沖で待っている船。船の待つ沖は、心地よい風が吹いているであろう。急がない春の時間がここにある。(高橋正子)
★下萌の川原ひろびろ橋渡す/かわな ますみ
ようやく草が萌え出した川原。そこに長い橋がかかっている。川原がひろびろしていることはもちろん、橋ものびやかである。下萌の川原であるからこそ、このような広さが見える。(高橋正子)
★春塵の窓拭き透かす空の青/小河原宏子
塵とはいっても、「春塵」となれば、その言葉も美しくなる。うっすらと塵に汚れた窓を拭くと、空の青がすっきりと見える。こういった嬉しさが主婦の日常にはある。(高橋正子)
★芝焼くや火の波うごき広がれり/丸山草子
芝を焼く。地を這う火が時に勢いづいて波打って広がる。枯芝に広がる火の原初の姿が見える。(高橋正子)
★いっせいに花かず増やし白木蓮/岩本康子
一雨ごとに気温があがってくるころ、白木蓮が咲き始める。ある日、いっせいに白い花が枝々に咲いて、その見事さに驚かされる。「花かず増やす」は、的確な把握。(高橋正子)
【入選Ⅰ/10句】
★しゃくし菜の花菜となりても茎白し/かつらたろう
自然をよく見つめられて作られた句だなと思いました。「花菜となりても茎白し」と詠まれたことが、新鮮な野菜の命の輝きを感じさせてくれます。(井上治代)
★春日浴び駆け行く子らの影短し/飯島治蝶
日が長くなり、太陽も空の高い位置を通るようになりました。強くなっていく日差しと、同じように短くなっていく影、春が進んでいくのを見つめておられる様子が伝わってきます。(多田有花)
★浜風に揺るる目刺の背ナ青し/篠木 睦
海辺の風景が浮かびます。美味しい目刺が出来る事でしょう。(堀佐夜子)
★自転車を置いて子ら寄る蝌蚪の池/小川美和
一人が蝌蚪を見つけてわっと自転車降りて皆で見入ってる様子良く見かけたこと思い出します。春ですね。(大給圭泉)
★菜の花やトロッコ電車の止まる駅/大山 凉
菜の花の咲くローカルな風景が見えます。トロッコ電車が味わい深い句に仕立てています。(飯島治蝶)
★花菜畑に見えかくれする肩車/大給圭泉
うららかな春の一日を家族で楽しんでいる様子がよく伝わりなんとなく心温まる句ですね。(篠木 睦)
★青麦の風さらさらと鳴り渡る/池田多津子
麦の揺れる様と風の音が活き活きとした感じを与えてくれます。(笠間淳子)
★里山の上り下りに芽木親し/臼井愛代
目に触れる、とりどりの木々の芽立ちが春めく嬉しさです。一段と季節の明るさの増す里山に入り、道行く心楽しさが快く伝わってきます。 (藤田洋子)
★春泥を飛んで見せたるランドセル/宮本和美
ランドセルを背負った子が元気よく飛んで見せたのでしょう。生き生きとした子どもの姿が大好きです。(池田多津子)
★雪吸いて黒き土より草萌える/竹内よよぎ
冷たい雪をしっかり吸い込んで、それを命の水として芽生えた草の力強さを感じま
す。黒い土の上に見え始めたさみどり色に春の勢いがあります。 (池田多津子)
【入選Ⅱ/11句】
★湿り気の森の小道よ春の香よ/祝恵子
芽吹きのころの森は独特の香りに満たされます。しっとりとした森の小道を歩きながら、胸に吸うその香りはまぎれもない春の息吹です。(多田有花)
★空の青濃くして雲雀落ちにけり/まえかわをとじ
青く晴れ渡る空と雲雀の晴ればれと清々しい光景です。空色の濃さに、一層急降下する落雲雀の鮮明さを感じます。 (藤田洋子)
★まんまるの竹の切り口風光る/あみもとひろこ
うらうらと晴れた春の日に、春風が吹き、蝶が飛び交い、菜の花は咲き乱れている。のどかな日に、切ったばかりの青々とした竹の切り口に感銘をしている作者は素敵だと思います。(小口泰與)
★馬酔木咲き吾が身ほとりを浮立たす/甲斐ひさこ
びっしりと花をつけた馬酔木の近くに立てば、数多の花のいきおいに、その辺りが浮き立っているかのようです。つい近寄って眺め、香をきき、触れてしまう、鈴なりの馬酔木の花の存在感があります。(臼井愛代)
★み仏の座の春塵を拭いけり/黒谷光子
静かな心で、み仏の春塵を払わせていただくことにより、自分の心身も清らかになるようなすがすがしさがあります。(臼井愛代)
★三輪車春の泥付け幾度も/堀佐夜子
暖かい日が続くようになって、外で遊ぶことの多くなった子どもたち。まだ柔らかい泥がついてもなんのその。三輪車で元気よく走ります。それを見ている作者のまなざしも春の喜びに満ちています。 (池田多津子)
★過ぎし日の話などして雛の夜/吉川豊子
子どもの幼い頃の思い出話をしながら白酒を酌み交わしている情景が浮かびました。春の夜のほのぼのとした温かさが心に沁みてきます。(井上治代)
★春光の一直線に野山越え/河野啓一
春の麗しい光を、「一直線」「野山越え」と大きな心で捉えられました。春の野山を越えて「一直線」に作者に届いた光に、清々しさがあります。(池田加代子)
★つばくろのはげしき風に向かいけり/おくだみのる
空をスイスイ自在に飛び巡るイメージのツバメが、激しい風に翻弄されながら向かっていく姿。それだけで胸がいっぱいになります。(池田加代子)
★遥かなる円弧の海も風光る/松本千恵子
丸みを帯びた水平線のかなたまで、春の日にきらきらと輝いています。光に溢れた、穏やかな春の海が目に浮かびます。(臼井愛代)
★桃の花咲きて季節の確かなる/笠間淳子
枝に沿ってびっしりと花を咲かせた桃の木に、確かな季節を感じます。桃の花の周りは時間の流れがゆったりとしていて、濃厚な春を纏っているようです。(池田加代子)
■互選高点句
□集計/臼井愛代
【最高点/6点】
★浜風に揺るる目刺の背ナ青し/篠木睦
(和美・泰與・ひさこ・光子・凉・佐夜子選)
浜の当節の風物詩、下五の「背な青し」が抜群です。さらりと詠い成功している。好きな句です。(宮本和美)
「春の穏やかな日差しの中、波もゆったりとして、やわらかな浜風の中に小魚数匹を連ねて、串を通して干されている目刺の青い背中に春を感じた作者の素敵な句だと思います。(小口泰與)
浜辺に干されている目刺の青が新鮮で、潮の香を感じる好きな句です。(甲斐ひさこ)
串にさした目刺しが風に揺れている漁場の風景なのでしょう。「背ナ青し」にいきいきとした景を思います。(黒谷光子)
浜辺に干されている目刺が青い背が浜風に揺れている潮の匂いが漂う、のどかな海辺の素朴な光景が目に浮かびます。(大山 凉)
海辺の風景が浮かびます。美味しい目刺が出来る事でしょう。(堀佐夜子)
【次点/5点2句】
★菜の花の泳ぐスープに匙かざす/かわなますみ
(よよぎ・宏子・凉・啓一・ひさこ選)
★自転車の子は春泥を避けもせず/黒谷光子
(をとじ・睦・美和・治蝶・たろう選)
正子先生、「春日浴び駆け行く子らの影短し」の句を入選Ⅰに御選頂き、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
「いっせいに花かず増やし白木蓮」を特選句に御取りいただき、嬉しいコメントを賜りまして大変嬉しく思います。有難うございました。白木蓮はほんとに短い期間に一斉に開き始め、その純白の命が短い花ですね。
「春泥を飛んで見せたりランドセル」を入選Ⅰにお選び頂きまして有難う御座いました・
小河原宏子さま、麗らかの句に選とコメントを頂戴しまして有り難う御座います。