Storia‐異人列伝

歴史に名を残す人物と時間・空間を超えて―すばらしき人たちの物語

「ポンペイの輝き」

2006-08-12 17:37:08 | 西洋のひと/ギリシャ・ローマ
ポンペイの輝き展」、仙台市博物館での巡回展を見に行った。
ポンペイPompeiiと近郊の町から出土したフレスコ画や彫像、きらびやかな宝石や貴金属など約400件を展示、大半が日本初公開...「ポンペイの輝き」ですか...

西暦79年8月24日午後1時から翌日25日朝までのヴェスビオ火山の噴火で、一瞬にして埋もれそのまま封印...あの夏の日も、せみが鳴いていたのかなあ...
この17年前西暦62年ナポリ湾頭を震撼させた強い地震がヴェスビオの噴火の前兆だったのだろう。ヴェスビオ火山は2万年前ナポリ湾海底に誕生以来6回の大噴火、3千年に一度では次は千年後ですね!
叔父・大プリニウスPliny the Elder, Gaius Plinius Secundus, (23 –August24, 79 AD) の死と前後のリアルな状況を書いた小プリニウスの手紙はこの日の貴重な記録となった。

西暦62年の皇帝はネロ、ネアポリスNéa Pólis,Napoliで自ら舞台の上で演奏、観客が拍手したのは歌のためよりも地震に動じなかった勇気へ敬意!この復旧が成らないうちにあの大爆発だった。壁画「竪琴弾きのアポロ」はネロ君とか。のり坊も、売店で発掘したキミとマンマの金貨持ってるぜ!?
1982年の発掘ヘラクラネウムHerculaneumでの夥しい犠牲者の大発見、この2日間で6次にわたるサージ・火山性熱雲によるものという。20メートルもの堆積層を丹念に調べ噴火の様相も科学的に明らかになりつつある。

自然探求・石ころ集めが大好きだったゲーテJohann Wolfgang von Goetheも1787年ナポリ滞在の間ヴェスビオVesuviusに登った。1771年の溶岩流を越えて登り、火口からは煙噴き小石が飛んでくるなんて言っている。危ないってば!

それにしてもすごい量感の金の腕輪。エルコラーノErcolanoの砂浜で倒れた女性のヘビ形の腕輪。 ポンペイ黄金の腕輪の家のほうのはヘビがくわえる円盤に三日月と7つの星に囲まれた月の女神セレネΣελήνη,Selene。長さ103センチ94枚もの金の薄板のきらびやかな首飾り。
そのほかにも、たいへんな数の金の指輪、指輪には赤や青やちいさな宝石がはめ込まれている。いろいろな形のおしゃれなイアリング。
細工師に作らせるときのドキドキ、誰かに貰った時、身につけた時の笑顔...

この日はもてるだけ持ち、あわててつけて逃げた...金の飾りだけがそのままの輝きで残った...銀のスプーンなど食器類、手鏡、ガラスの香水入れ...この日まで毎日使っていた大事なもの。金貨は凛とした顔のウェスパシアヌスTitus Flavius Vespasianus帝のものが多い。本日一番興味があったのがローマの金貨。このサイト「古代ローマ」の数学の先生augustusさんには脱帽ですよ。

壁画やタイル、木製の家財道具も地下水などで保存に恵まれた部分も、あの日79年8月25日朝に封印され二千年後まで残ったタイムカプセル。
母の傍で息絶えた15歳の少女や犠牲になった多くの人たちには申し訳ないが、とてつもない価値の人類の遺産になった。

ポンペイに行って見てきた人の現場の写真などもいいですね。趣味なのかなあ。
下の写真、贋金コインはのり坊発掘!腕輪・鎖はポンペイ出土、[Virtual ROMA ]サイトより。
 

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「ポンペイの滅んだ日 金子史朗 原書房 ISBN4-562-01908-5」
「イタリア紀行(中) ゲーテ/相良守峰訳 岩波文庫 ISBN4-00-324060-X」
「プリニウス書簡集 國原吉之助 訳 講談社学術文庫 ISBN4-06-159367111-6」
ポンペイの滅んだ日

東洋書林

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