Storia‐異人列伝

歴史に名を残す人物と時間・空間を超えて―すばらしき人たちの物語

ユリウス・カエサルの末裔

2006-07-07 23:35:32 | 西洋のひと/ギリシャ・ローマ
サッカーW杯は、とうとうローマ帝国内の闘いとなった。
昨夏[カエサルから日本のみなさまへ]でふれたように、偉大だったローマのユリウス・カエサルGaius Julius Caesarの末裔アズーリAzzurri;La Nazionale di calcio dell'Italia 及びカエサルに平らげられたガリアGalliaの末裔たちは、この準決勝までに、ドーバーStrait of Doverの向こう・やっと歴史に登場したブリタニアBritanniaの末裔ベッカムやルーニー、ラインRheinの向こうに追っ払ったはずのゲルマーニアGermaniaの蛮族たちバラック、クローゼなどを文字通り蹴散らしてきたのであった。
さて、おらがパエーゼpaeseの寄せ集まりイターリアRepubblica Italianaは、21世紀にもまたガリアを打ち破ってカルチョcalcioの頂点に立てるのであろうか。

昨日聞いたところによれば、イタリア語サークルの面々には、この日曜日の結果によってイタリアに賭けたほうはフランス料理をせしめ、フランスに賭けたほうはイタメシにありつくという危険な賭けをなさっているかたがいるとのことであった。準決勝でもこのような賭けが存在したようだが、仙台にはポルトガルPortugal料理店が見当たらなかったようで、イタダキがウヤムヤとなっている模様ではある。

せっかくだから8強までの旗そろえようか。ブラジルBrazil、アルゼンチンArgentinaは今回はちょっとピリッとしなかったね。神業もあまり見られなかったし。ウクライナУкраинаのサポータにはきれいな人いるんだなあ、日本のサポータの皆さんせっかく行ったなら、世界のカメラの目にとまるように振る舞いましょうね!

ナニワブシ的にジダンに花道を飾らせたい向きは多かろうが、やはりイタリアのマンマ心情的にはトッティちゃんに、モイチド、指しゃぶりさせたいところだ。
NHK-BSによれば、戌年ごとにアズーリAzzurriに勝っていただく歴史の周期律が存在するとのことであった。
ワタクシ的には、ルノー/トゥインゴRenault Twingoちゃんの三色旗 la bandiera tricolore、青を緑に変えてしまった身でもあるし、どちらが勝っても結構なのではあるがパドヴァPadova近郊ご出身のセンセーのために、FORZA ITALIA !
ハクチャンに三色ボールの袋で占ってもらったが、大いに混乱してオリバー・カ~ンと鳴くばかりで今回は役に立たなかった。

ちょっと古い話だが、カエサルは「ガリア戦記」の7巻までをいつ書いたのだろうか? 
...おそらく、前52年ガリアの総反乱を鎮圧しガリア戦争が事実上終わったと判断した時であったろう。52年秋から冬にかけて一気に書き上げられ出版されたと考えられる...「ガリア戦記」の直接の動機は、元老院保守派の弾劾に対する自己弁護と、執政官選挙を控えての民衆の投票獲得であろう...自己の業績を飾ることの愚かさと安易さを知っていたがゆえに、あのような、自己を抑制した、感情よりも理性に訴える、冷たい客観的な、一人称よりも三人称の文体が生まれたのだ。それは飾る以上の技巧を必要としたろう...
 と、國原吉之助先生は言う。(*)

カエサルの「ガリア戦記」冒頭。遠い先も見すえていた彼は、2006FIFA-W杯決勝戦もお見通しだったのだろう... 
Gallia est omnis diuisa in partes tres, quarum unam incolunt Belgae, aliam Aquitani, tertiam, qui ipsorum lingua Celtae, nostra Galli appellantur.  ...
ガリア全体は、三つの部分に分かれていて、そのひとつにはベルガエ人が住み、もう一つにはアクィタニ人が住み、三つめには、その土地の人の言葉でケルタエ人とよばれ、われわれローマ人の言葉でガリア人とよばれる民族が住んでいる。...
 

( Julius Caesar 名誉委員長感謝演説より )
戦友諸君!我が全ての末裔に感謝申し上げる。カエサルは決勝はどちらが勝ってもいいのだ。イタリア勝てば我が名誉、ガリア勝てば我が財産。トラヤヌスMarcus Ulpius Nerva Traianusくんの頃にダキアDaciaを征服パルティアParthiaを破りローマ・エムパイアImperium Romanumの最大版図を現出したはずだ。キミたちの時代において、本物の武力ではカラキシ弱い国がサッカーではスッバラシク強い、これは人類にとってとても良きことで、心から嬉しく思う。
カエサルが描いておいたローマ帝国は大きかったろう。であるからして、図らずも実質帝政となってしまったローマ及びわが属州からFIFA2006 に参加してくれたのは、おそらく以下の通りかと思われる。わがローマの征服・同胞化順にすべきところだが、のり坊不勉強のためW杯予選グループ順にさせていただく。そろそろキックオフだ、小川the Rubiconのあっち側にポーンと蹴り出すんだよなっ!?
TUN, KSA, ESP, UKR, SUI, FRA, CRO,
ITA, CZE, POR, IRN, NED, SCG, ENG, GER


*********
(*)「ガリア戦記 カエサル著 國原吉之助訳 講談社学術文庫 ISBN4-06-159127-4」解説より
「ガリア戦記 カエサル著 近山金次訳 岩波文庫 ISBN4-00-334071-X」
The Latin Library C. IVLI CAESARIS COMMENTARIORVM DE BELLO GALLICO
ガリア戦記

講談社

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする