●12月15日、道と総合商社大手の伊藤忠商事が、道内の食や観光を中心とした産業振興を目的に連携協定を締結した。道としては、伊藤忠商事のノウハウや国内外のネットワークを活用するなど両者の有する情報の交換等を通じながら、道産品の販路拡大や道内企業の育成などを図り共同取組が可能な案件の発掘及び具体的検討を行っていく考え。
●伊藤忠州商事のプレスリリースによると、具体的には、共同取組案件として、
(1)食産業の振興
~ファミリーマートを活用した道産品の販路拡大~
北海道では、優れた品質の北のめぐみを「食」のトップブランドとして広く普及させ る取組を進めています。伊藤忠グループのコンビニチェーンであるファミリーマートで 「北海道フェア」などの特集を組み、道産品コーナーを設けて販売し、評価の高いものは常設化していくなど、伊藤忠の国内外ネットワークを活用し、道産品の販路拡大を図る。
(2)中小企業の育成支援
~商社のノウハウを活かした営業力、サービスの強化~
本道企業の営業力やサービスの強化を図るため、北海道が選考した企業について、伊藤忠グループがファンドの活用、研修やアドバイザー派遣などの集中的な支援を行い、 事業拡大のきっかけづくりとする。
(3)地域活性化に関する共同取組
~産炭地域の特産品の売り込み~
炭鉱閉山の影響を受けた空知地域などの産炭地域は、地域の経済・雇用への影響が懸念され、地域の産業振興を図ることが求められていることから、これら地域の特産品について、伊藤忠が行っている道の駅ブランディングの一環である特産品の認定商品化をはじめ、伊藤忠及び伊藤忠グループのネットワークや販売力を活かして売り込みを図り、定番商品化を目指す。
としている。
●伊藤忠商事は、これまで岐阜や福井など七県と同様の協定を結び、商機の拡大につなげているとのこと。道も提携を通じて、人材や資金などが足りないために事業拡大ができない道内企業を国内外にPRし、道内の産業振興につなげたい考え。
●コンビニ全体を見回すと、道内のコンビニ店舗数は、第1位ファミリーマート900店、第2位セブンイレブン829店、第3位ローソン500店、第4位サンクス208店となっておりファミリーマートは10店に過ぎないが、セイコーマートと資本関係にあり、さらにセイコーマートは道内に100店舗を展開しているSPAR、函館市周辺に15店舗を展開するハセガワストア、根室市内に4店舗を展開するタイエーと業務提携あるいは傘下の関係にあるため、これらの提携関係を活用すれば道内一の店舗網とも言える。全国展開という面では、セブンイレブンが11,507店、ローソンが8,366店、ファミリーマートが6,841店、サンクスが6,290店となっており、ファミリーマートの年間売上は約1兆円となっていることから商機の増大という面でチャンスは大きいと言える。
●行政の場合、このような協定を締結すると、締結すること自体が目的化してしまいそこから先の具体的成果にたどり着くことが少ないケースも多い。また、「中立性」にこだわるあまり、単なる情報提供に止まってしまう場合もある。道でこの協定にどう取り組むか、経済部が農政部や水産林務部など経済系の他部局を巻き込んで真剣にやることができるのか単なる情報提供の協定に止まるのか、方向次第で経済が低迷している北海道のモデルケースになる可能性があると思う。