日経平均株価は3万円台を回復した(写真:共同通信)
日経平均株価は3万円台を回復した(写真:共同通信)

普段は株価が上がりにくいはずの5月に、33年ぶりの株高が起こった。企業業績上は先行き不安が拭えないはずだが、市場の声を拾えば、2012年以降のアベノミクスでの株高局面と似た材料がそろっている。想定外の株高は果たして持続するのだろうか。

株式市場には「Sell in May and go away(5月に売り逃げろ)」「こいのぼりの季節が過ぎたら株は売り」という格言がある。株価は夏から秋にかけて下がりやすいので、夏前に保有株を利益確定しておくのがよいというものだ。決算期を迎えるヘッジファンドが多い、夏休みシーズンに入る前に投資家がポジション整理に入るなど、これには様々な説がある。季節的に下がりやすい地合いを迎えるということだろう。

 だが23年はそれが当てはまらないようだ。

 5月18日の東京株式市場では、日経平均株価が終値で前日比480円高の3万0573円と、17日に続き2日連続で1年8カ月ぶりの3万円台となった。22年末比では17%高と米欧の主要指数の伸びを上回る。日経平均に採用されている主要銘柄だけではない。16日には東証株価指数(TOPIX)も33年ぶりの高値をつけている。

 「5月に高値を更新するとは、少なくとも国内ではほとんど誰も想定していなかったはずだ」――。ある運用会社のファンドマネジャーはこう語る。なぜか。企業業績面で先行きの不透明感が強まっているためだ。小売り、運輸、サービスなどの内需関連業種で見れば、これまでは新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた消費者の需要が一気に回復することが相場をけん引してきたが、今年のどこかで一巡するとの見方が主流だ。増益を確保できたとしても、伸び率は減速すると考える投資家は少なくない。

一方、外需関連業種では、欧米の中央銀行が金融引き締めを継続することによる景気減速がいずれ日本企業にも波及し、業績の伸びも鈍化すると見られている。前出のファンドマネジャーは「普通に考えれば買える理由はなかった」と断言する。

 なぜ株高となったのか。需給面でけん引してきたのは海外勢だ。東京証券取引所のデータによれば、海外投資家は23年初からの累積で日本株の現物と先物を3兆円以上買い越してきた。では海外勢はなぜ買い続けているのか。