いつも想うのだが私にとって面倒なのがM (妻) の髪の毛をカットする仕事。何んと言っても面倒とは 「カットした髪の毛の処置」 などだ
部屋に大きめなレジャーシートを敷き、使用する器具などを用意、Mを椅子に座らせて髪の毛を集める防具を巻き、掃除機なども用意するなど、下準備も結構面倒だ
私にすれば 「街の美容院」 か、私が行きつけの 「千円カット店」 へ連れて行きたいのだが、Mは何としても 「お父さんお願いします」 と、頑として受け付けてくれない
そう言われると有難い気持ちにもなるが、いつも少しは虎狩り模様になってしまうので、それを見ると少し可哀想な気持ちが押し寄せてくる
先回は暮れにカットしたが二月に入ると髪の毛も伸びてきたから 「また、カットかあ~」 と、いわば諦めムードでカットするつもりだった
しかし、ある日、DSから帰った後、連絡帳を開けると 「その施設には定期的にヘヤーカットヘルパーなる人が来るのでカットや顔剃りなどを利用して下さい」 とのメモ書きが入っていた
熟慮してこれを利用しようとMに相談したが、答えは同じく 「嫌だ」 との返事だった
しかし、今回は私の勝手さを優先することにして、強引に 「カット」 と 「顔剃り」 を予約してしまったが 「何とかなるだろう?」 と思ったが少し心配でもあった
それと 「ヘヤーカットヘルパー」 とはどのような人かは判らないが、一般に言う 「美容師さん」 なのだろうかと思った。 「カット」 と 「顔剃り」 は任意でどちらでも選べるとのことだった
その当日は 「癖っ毛なので短めにカットしてください」 とのメモ書きを美容師さん宛てに送ったが、さて、一体どのようにカットされるのだろうか? と、DSから帰るのを興味津津(で待っていた
帰ってから明るいDKでMの頭部を確かめると 「流石に美容師さんのカット」 だと思った。短めに整うようにカットされていた。顔も産毛(なども綺麗に剃られていた
その髪の毛を見ながら私の想いも複雑だった。おそらくはMが美容師さんのお世話になったのは11年以上振りのことだった。でも心配だったがこのカットで私の気持ちもかなり安堵した
「カット代は千円」 そして 「顔剃り代は千五百円」 だったが、その値が安いのか高いのかは知る由もないが、綺麗にカットされたMの髪の毛は71歳とは思えぬ活き活きとした黒髪だった
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